ヒゲさん(長谷川孝一さん)が語る(1)〜コンセプトを決めるのに1年半!

お待たせしました!
「聞き書きインタビュー」シリーズの第2弾は、ヒゲさんこと長谷川孝一さんです。Be-Nature Schoolでは、川や海など水辺のプログラムでお世話になりました!
いまは地元鎌倉をベースに、一般社団法人「地球の楽校」代表理事及び「海の子森の子クラブ」校長として、人材育成や地域活性化に奔走していらっしゃいます。
今回のインタビューでは、とくにBe-Nature Schoolの立ち上げ期について熱く語っていただきました。

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もともとはスクーバダイビングの指導団体や自然観察の案内役としてかかわったりした中で、「人を自然に連れ出したい」っていう強い思いが変わらずあって、それを本業にしたいと思ってたのね。それで同じくダイビングのインストラクターだったメグ(松元恵)を誘って、イルカクジラ会議で知り合った岩谷孝子のとこに行き、「お互い海のことやってるし、何か教育プログラムなどを一緒にできないか」って持ちかけたら、すぐに意見が合ったんだ。森くんや長野修平くんと出会ったのはその後だよね。

そんな縁でかかわるようになったBe-Nature Schoolで印象的なのは、「自然の心にふれて自然な自分に出会う」っていうコンセプト、これを決めるのに1年半もかかったことだよ(笑)。どうしようか?って何度も話し合ったことをよく覚えてる。

立ち上げにかかわってたのは、みんなプロの講師たち。各分野で一生懸命やってきてる面々だし、みんな物わかりよさそうだから、きっと「じゃ、こうしましょうよ」って、わりと簡単に決まると思ってたの。ところが実際には、「あーじゃない、こーじゃない」って、まったくまとまらない! お互いすごく近いこと言ってるんだけど、なぜか集約していかないわけ。

それぞれが専門家なわけだけど、Be-Nature Schoolという全体として何を伝えるのか、ひとことで言うと何なの?っていうのが決まらない。それがないと外に発信できないじゃない? それでお互いに得意のプログラムをやってもらったりして、どこに集約すべきか探ってたの。

といっても、みんな仕事しているわけで、毎日会ってるわけにいかない。で、ときどき集まってはワークショップ形式でいろいろ話しながら、「まだ決まんないね」なんてやってた。で、1年半たっちゃったんだよ。

それでも徐々にだけど段々わかってきて、つたないけど言葉にできてきたことをみんなが出し合って、「これは大事だよね」と言えるものが見えてきた。

はっきり覚えてるのは、いろいろ話し合った最後に民ちゃんがポツリと、「みんなで見つけたかったことって、こういうことだよね」って言ったときのこと。ここがゴールかな、みたいな。それがもとになって、最終的に「自然の心にふれて自然な自分に出会う」というコンセプトが生まれたわけ。

ただ言葉にしちゃえばいろいろな主義主張があって、こういう方法論やこういう考えが大事だっていうけど、一番大事なのは、もっと深く落とし込んだところにあるんだよ。それは、自分自身が立っている確かな場所を確認する作業だったんだと思える。

これって、禅の世界で確信とされていることと同じなんだよね。で、その確かな立脚点を自分たちで見つけたかなって思ったの。こう、感覚的にね、言葉じゃなくて。はじめから言葉で詰めたのでもなくて、みんなで繰り返しワークショップやった最後のところで、自分の腑に落ちる場所として、「あ、ここなんだよな」と思ったわけ。

(つづく)

*第2回は、コンセプトを決めるワークショップでの呼吸法やリラクゼーションがよかったー!という思い出を語っていただきます。お楽しみに!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)