マーロン(森雅浩さん)が語る(2)〜Be-Nature Schoolの成長、そして転機

2つの「ビーネイチャー」

今回20周年を迎えたのは「Be-Nature School」なんだけど、運営母体は「有限会社ビーネイチャー」という会社なの。会社としてはいろんな事業をしてるんだけど、基本は自然とかファシリテーションとがからんでるので、まあ同じようなもんかな。個人を対象にしているのが、Be-Nature Schoolで、それ以外が有限会社ビーネイチャーの仕事って感じでしょうか。この辺ちょっとわかりにくいみたいで、「会社とBe-Nature Schoolはどういう関係なんですか?」って社員にも言われちゃたりして。

一応会社ではありますが、あんまり組織然とはしてないかな。ボランティア組織みたいって言われることあるけど、とくにBe-Nature Schoolのほうはそうかもね。自発的に仲間が集まってきて、「今ここ」で立ち上がってきたものが形になっていく感じ。ファシリテーションとかワールドカフェでいうように、「テーブルの真ん中で立ち上がってくるような何か」をずーっとやってきた気がする。

ようやく社会が追いついた!?

Be-Nature Schoolを始めたときから、「こういうプログラム、絶対フツーの企業人に必要だな」と思って、結構いろんなツテをたどって企業にも相談に行ったんだよ。大手の研修会社の人に話してみたら、その人自身は自然が好きだったんで、「なんかいいねぇ~」とか言ってもらえたこともあった。でも、基本的にあんまり聞いてもらえないことが多かったな。当時はまだ、「自然と共に」なんて感覚が世の中になかったから、オレの思いは届かなかった。

転機になったのは、前回も話した1999年ごろの「トヨタエコファミリースクール」や「BE-PAL青空教室」。手づくりで主催事業をやるだけじゃなくて、もうちょっと社会性のある、もしくはお金になる仕事が始まったわけ。

どこと組みたいってこだわりはなくて、流れのままにいろんな仕事をしてきたよな。Be-Nature Schoolでやってるようなことを企業が買ってくれて、社会に受け入れられるようになった、ってことだからさ。時代が変わって、Be-Nature Schoolが社会に役立つ存在になってきた、ということかもしれないね。

長い間お世話になってるBE-PALなんかは、Be-Nature Schoolがどこの馬の骨ともわからない時代に一生懸命盛り立てくれたわけ。そういう人のつながりで頑張ってるんですよ。本当に。

まぁ、忙殺されてるなぁ~とは思うよね。請負事業は自分たちだけのペースでできないじゃん。でも「手を抜かない」ってことは自負してます。だから評価もしてもらえるし、仕事が続いてるんだと思う。

なぜか手伝いたくなるような感じ

オレが主催事業以外に一生懸命になっちゃったんで、そのころにスタッフで入ってたちょーこ(帖佐仁美)には、かなり負担をかけたよね。

BASICコース第1期生だったちょーこがかかわりだしたきっかけは、2年目に開催した「ADVANCEコース」っていう年間プログラム。これは結局1年しかやらなかったけど。そのときにプログラムに対する意見をいろいろ言ってきて、下見から一緒に行くという動きが出てきて、そうこうするうちに「もっとかかわりたい」ということで徐々にスクール運営の中心になってったんだよね。ちょーこ以外にも、BASICコースの1年が終わったときにそう言ってくれる人が何人かいて、実際に同じく1期生のピロリ(山口ひろみ)が手伝ってくれた時期もあった。

なんだか「手伝い」たくなっちゃうものが当時からあったのかな。アイサーチにしてもBe-Nature Schoolにしても、そうゆうのあるよね。

いろんな人がかかわりやすい「仕組み」が明確にあって、うまく機能してる団体もあるけど、Be-Nature Schoolの場合、ちゃんとした仕組みがないのが逆にいいのかなぁ。ホントは何がいいかは、わかんないんだけどね。

「人ありき」で変化するチームの文化

あとはね、やっぱ2002年にハセ(長谷部雅一)が入ったのは大きな転機じゃないかな。そのころ、ちょーこと2人で手が回らなくて「もうムリ! 人を採ろう」という話になって。そんなとき知人から、「森くんってさ、カフェやりたいって言ってたよね。南アフリカのカフェでインスパイアされたってヤツがいるんだけど」と、紹介してもらったのがハセだったの。

彼はプロのインストラクターを養成する「自然学校指導者養成講座」の卒業生。はじめはビーネイチャーの主催事業やBE-PALの仕事をやってもらってたんだけど、徐々に自分で仕事をつくるようになってきた。そうするとハセの世界がどんどん出てきて、「ソロキャンプ」「島旅」「バックパッキング」とか、従来にはなかったようなプログラムが生まれていった。やっぱり、どんな事業でも「人ありき」ってことだよね。

で、わりと最近では2011年ごろにハル(伊藤春美)やアン(安西直美)、ヤコ(帰山寧子)とかも加わって、事務局を複数のメンバーで回すようになって、それまでちょーこが一人で抱えてやってたことを分散できるようになったり。カフェをやろう!なんて思ったとき、本当のカフェね、お店。そのときヨーコ(蓮池陽子)を巻き込んだりして、けっきょくカフェは実現してないけど、今の事務所では飲食営業許可は取りました。あと、ウェブ担当としてナオ(石田直子)にもチームの一員として入ってもらったり。彼女は実はハセより古いんだよね。

そんなこんなでビーネイチャーにかかわる人が増えて、いまでは常時かかわってるスタッフが7~8人くらい。オレとちょーことハセで、もうなんか息の詰まるような濃ゆ~い時間を過ごしてた状況から、いろんな意味で少し分散されてきたかな。ハセが「合宿やろう」とか言い出してチーム合宿やったりして。人が増えるにつれて、なんか文化も変わってきてるなーって思うよ。

*第3回は、「マーロンにとってのBe-Nature Schoolって?」という視点で語ってもらいます。乞うご期待!

(聞き書き・鈴木慈子、構成/編集・小島和子)