デモ活動してる隣で待ち合わせするとその一員みたいで気まずいよね
駅前でやってるデモ活動。見たことある?
ああいうのって大体世間から冷たい目で見られてて、社会から距離を置かれてるイメージ。
今日もいるな。「コロナワクチン反対」ね。
まだやってるんだそれ。
体に悪影響?政府の闇?
聞いていられなくて拡声器から聞こえる訴えに思わず耳を塞いだ。
みんながワクチンを打ち始めたその当時、付き合っていた人がいた。
優しくて、真面目で、私がふと言った「ピアスつけてる人かっこいいよね(小並感)」を真に受けて次の日に震えながらも穴を開けてくるような人だった。
そんな人が初めて私に感情的になったのが
「その日ワクチン打つけん会えない」って私が言った時だった。
必死な顔をしてた。大きな声、別人みたい。
お願い、打たないで死んじゃうから!と繰り返してた。
”反ワクチン”まさかこんな近くにいるとは…
好奇心旺盛な私は詳しく話を聞いてやろうとその人を落ち着かせた。少しワクワクしてた。ごめん。
賛同はできない。でも、理解できた。
正義は人の数だけある。本当にそうなんだなって思った。
ワクチン賛成の人もワクチン反対の人も、守りたい人のために声を上げる。お互いを不正義だと思いながら。
優しく真面目な彼は世間から冷たい目で見られようと家族や友達、私を守ろうとしていたんだろう。
なんだか急に申し訳なくなった。陰謀論?そんなわけないでしょって言えなかった。
でも私は仕事上、ワクチン接種は必須。
予定通りワクチンをうちに行こうと家を出たその時、彼から電話があった。
「やっぱり考え直して欲しい。
個人情報抜かれるよ!死んじゃうよ!!」
「うんうん、わかったよ。でもごめんね。」
「打つの?打つなら別れるよ!!」
「うんうん、わかったよ。……へ?!」
「別れる。お母さんもそれがいいって。」
呆れた。マザコンが。別れる?こっちから願い下げだわ!
そこからは音信不通。
だから私がワクチンを打った直後、過去に数時間に及ぶ陰謀論を聞かされたことを思い出して気分が悪くなりぶっ倒れたことを彼は知らない。
と、言うわけでワクチンを巡って恋人と別れるというどう考えても酒のネタになる体験をしたわけです。
ちなみに彼と彼の家族は数週間後に全員コロナになったと友達伝いに聞き、その日の仕事の調子はすこぶる良かった。
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