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イヴ・サンローラン展の作品を観て、ある旧作日本映画を思い出した話

国立新美術館で開催中の「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」に行ってきた。

4月に行った「ディオール展」(東京都現代美術館)に比べると、会場の展示は非常にシンプルで(ディオール展は各展示会場のデザイン自体も凄かった)通常の美術展のような見せ方だったが、逆にサンローランの作品に集中して鑑賞できたので、私はかなり気に入った展覧会だった。

サンローランやモード作品については、多くの方がすでに書かれているし、私は女性服を論じるような知識も、着用した経験も無い(笑)ので、タイトルに関連した別の話(おそらく誰も書いたことのない話)を書く。

サンローラン展のポスターやチラシのメインデザインとなっている、モンドリアン・ドレス(1965)=下記写真
今回の展覧会のアイコンのような代表作。

会場外の看板
会場内の展示

私はこの作品を見て、ある昔の日本映画のシーンを想起した。

その映画とは、私が敬愛する川島雄三監督(現存する50作品をすべて観ているマニアの一人)の『縞の背広の親分衆』という映画。東宝よりDVD化されている。

この映画は川島映画の数多い傑作の中ではそれほど語られることの少ない映画で、やくざ映画のパロディのようなコメディタッチの面白い作品。
出演は森繁久彌、淡島千景、フランキー堺、団令子、有島一郎など。
珍しい脇役としては渥美清、そして愛川欽也も出演している。

この映画の中盤。万里子(団令子)が着ている服の柄が、上記モンドリアン・ドレスに良く似ているのだ!。
1961年の作品なのでサンローランが発表する4年ほど前になる。
参考の画面写真

団令子
団令子、フランキー堺

よく見ると柄のデザインは異なるし、色も違うのだが、服の感じはすごく似ている。団令子の服は「赤」「黄」「青」なので「信号」をイメージしたギャグセンスを入れたデザインかもしれない(笑)。

しかし、サンローランの発表の4年近く前に、このような斬新なデザインとカラーの衣装を着せるというのはなかなかのお洒落センスだと思う。
着ている団令子も綺麗だ。
この衣装デザインを誰がしたかは私の読んだ資料には書いていないのだが。

この映画とは無関係だがサンローランに関連してもう一つ。

会場展示のキャプションには名前はなかったのだが、最後の方の会場展示で、サンローランの1963年の初来日の時の写真などの展示があった。
実は私とは遠い関係の親戚の一人が、当時日本でファッションモデルをしていて、1963年の初来日の時にサンローランに気に入られ、そのままパリへ行き、パリでサンローランのモデルを務めた。60年前の話だが・・・
インターネット検索すると、1963年当時の「週刊新潮」のグラビアでも紹介されていた。これは私も最近知ったのだが。名前は高島三枝子さん。
「ディオール展」の会場の中で、当時の日本のファッションショー(確かカネボウ主催)の映像の中にも登場していたのだが。(ディオールのモデルはしていない)。

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