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Panic! At The Discoの話をするだけ

Panic! at the disco。
wikiによると、ほとんどのバンドがデモテープを作ってライブを地道に始める中、この人達はインターネットを使ってFall Out Boyのピートウェンツに曲を送り付けるという賭けに出たらしい。
それで結果ピートは自身のレーベルの第一弾アーティストとして契約するといった、とんでもない賭けがあったエピソードがあったんだけど、

そんな彼らはデビュー時は4人組とまだ人数がいた時期であり、デビューアルバムを出した時、年齢を逆算すると17歳やら18歳の時。
ビリーアイリッシュも今売れてる魅力に若さが一つあるが、P!ATDもこうしてみるとビリーアイリッシュ並みにかましてたんじゃないかと思う。

まあ1stアルバムは表向きには大成功だったけど、あんまり彼らの年齢を評価の一つとして見かけたことが無いのは不思議ですね。
その1st「A Fever You Can't Sweat Out」はインパクト沢山で長いタイトル曲、字余り気味の歌詞、風変りな風貌と色々と仕上げてきてますね。

A Fever You Can't Sweat Out

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今でもこのアルバム大好きっていう人は多いと思うけど、個人的には下から数えた方が早いくらいの位置で、それはただただ自分の好みでしかないんだけど、自分のポップパンクハマってた時を振り返ると割とオルタナ寄りの方が好きだったの多かったなという理由がこれに当てはまる。

この作品の代表曲、「I Write Sins Not Tragedies」は今でもライブで演奏される大大の定番曲であるんだけど、歌詞は面白い。

舞台は結婚式、歌詞中で「素敵な結婚式になりそうだね。でも花婿は可哀想、あんな尻軽な女が花嫁だなんて」みたいな会話が繰り広げられる歌詞の次に来るサビにて、意訳すると、

話の途中に割り込んで
「そういう話はドアを閉めてやるもんとはご存知でない?」
いや、実際はこういった場面に出くわすときは
冷静に合理的になって向き合わんとな

これは怒りの感情と即座に我に落ち着いたシーンを描いてるんだけど、曲も花嫁に悪い噂ある中、こういった悪い噂もあるけど、今それが分かって良かった、じゃあシャンペン注ごうかって感じで
どこかわだかまりがある中、虚構に振り切って楽しもうってのが結構皮肉が効いていて面白い。

こういうニヒリズムな姿勢や、当時のエモの流行らしい中性的なスタンスや、ライブなどでのクラシカルな衣装が人気爆発の理由なんだろう。

 それでその3年後に2ndアルバムである「Pretty. Odd.」をリリースするわけですけども、何とPanic! at the discoから「!」を除いてPanic at the discoに改名するわけだけども、その代わり「!」はリスナーのこの作品を聴いて得た印象へと移っていきましたね笑

Pretty. Odd.

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音楽性はスピーディーなエモロックからビートルズライクなポップ、60~70年代のトラディショナル感溢れるチューンで、1stからの激変にほぼ99%は驚かざるを得なかったと思う。後々P!ATDが分裂した現状を見ると、こっから来る音楽性はギタリストであるRyan Rossの趣味が大きかったのは間違いない。

ヴォーカリスト、Brendon Urieはというと、当時のライブでこれらの曲を演奏すると、スロウなジャムになることが気に入らなかったようで、今のP!ATDが何故このアルバムを演奏しないかについて語ってる動画を見つけたのだけれど、どうやら本人は思い出深い特別なアルバムではあるけれど、ライブでやるにはスピードの遅さが耐えられなかったよう。

しかしこの衝撃作はエモロック好きには肌に合わないっていう人が多いのだけれど、英ロック好きでビートルズとか好きな人には結構好まれてる割とマニアックな人気がある作品となっているよう。

そして、この作品を経て、ギタリストのRyan Rossと、ベーシストのJohn Walkerはバンドを離れてしまった。P!ATDの人気の片割れRyan Rossが抜けたのはかなりファンのショックを得たようで、次作の3rdが出た時でもしばらくはRyan Rossロスからなるツイートを当時結構見かけたような気がする。

Ryan Rossの脱退当時のインタビュー記事を見るに、円満な脱退では無さそうで、「ガールフレンドと別れるみたいな感じ」とは言ってるけど、音楽性の違いはあるにすれ、やっぱこういうのってライブし過ぎで精神的に疲労してたのもあるんじゃないかなあと思ってる。この記事には書かれてないことだけど。

数年経って、Ryan RossはP!ATDの再結成について「絶対無いことは無い」と可能性は否定してないみたい。音楽性の違いで別れたのが一番の原因だったと当時は思うけど数年たった時に再結成の可能性を否定しないってことは、何か後悔してることでもあるのかな?と勝手に妄想してしまうんだけど、

逆に印象的なのはBrendon UrieでP!ATDの全員含めたオリジナルメンバーとの再結成を確実に否定しているんだよね。海外のインターネット掲示板みたいなサイトでBrendonが再結成について問われたとき、「Nah」という一言だけっていうソースだけど、多分これは再結成に全く興味無いんだなっていう感じがする。

Vices & Virtues

話をP!ATD史の振り返りに戻すと、2011年の3rdアルバムを出すまでにメンバーはヴォーカリストのBrendon UrieとドラマーのSpencer Smithの二人となる。バンド名を再びPanic! At The Discoに戻し、そして新しい始まりの挨拶と言わんばかりに出した新曲「The Ballad of Mona Lisa」は今までのP!ATDとは違うオルタナ・ロックなライブ映えしそうなものをリリースした。これまで作詞はRyan Rossがやってきたが、新たにBrendon Urieが作詞をし始め、映画の挿入曲であるNew Perspectiveを除いて、アルバム先行シングルとして公に出したこの「The Ballad of Mona Lisa」はMVでこそ中世の衣装はこれまでのP!ATDらしさはあるが、このスピード感やロック感溢れる楽曲は新しいスタートをリスナーに知らせるものとなっていると思う。

で、この曲を筆頭に出された3rdアルバムの「Vices and Virtues」はこうしてみるとBrendon Urieはとにかくライブ映えしたい曲を書きたかったんじゃないかと思う程、疾走感溢れる曲であったり、「oh-oh!」とオーディエンスもシンガロングできる曲があったり、ご機嫌なチューンに溢れてる。
自分はこれが出た時は鬼リピするほど気に入ってたし、サマソニで観た時はとても楽しかった。

また、この時期の2011年はライブをひたすらしたようで、Setlist.fmによると2011年の公演回数は103回。3日に1回はライブをやり、その7割をアメリカでライブするなど新たなスタートとして、地道に活動していたようだ。

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実際はそこで報われたかどうか知らないけれども、次作となる「Too Weird to Live, Too Rare to Die!」はWikiによると3rdアルバムの二倍以上の売り上げとなる100万枚を達成したようだ。

Too Weird to Live, Too Rare to Die!

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まあこの年はFall Out Boyが数年ぶりに復活したこともあり、一緒にツアーを周るなど活動が活発したこともあり、結構リスナー間では人気のアルバムではあるみたいだけど、個人的にはこれがワーストのアルバムなんですよね。
何でかっていうと、どことなく前作と比べるとトーンとテンションが低いように感じたし、先行曲の「Miss Jackson」はなんか音がスカスカな感じでそんなに好きじゃないんだよね。因みにこの曲、ライブで観た時はハードロック風にアレンジされてて、それはめちゃくちゃ好きでした。

そしてこのアルバムでは新たにベーシストとしてDallon Weekesを迎え、ロックバンドとして新体制を作りながら基盤を作っていった。

また、この作品が出される前の4月に恋人のSarah Orzechowskiと結婚をしている。なんとキューピッドはParamoreのHayley Williams。下の動画を見る加限り、最初に出会ったときはSarahには恋人がいたようだが、8か月後にHayleyが連れてきたときにはシングルとなっていたので、そこで意気投合した模様だ。
因みに前作の収録曲に「Sarah Smiles」という曲があって、この歌は正にその彼女の事を歌った曲である。

何もかも上手くいっているように見えているが、しかしながら、ツアー事情はそこまで順風満帆とはいかず、ドラマーのSpencer Smithがツアーの最初らへんで自身の薬物とアルコール依存症を公に打ち明けた。そしてバンドは代役のドラマーを経ててツアーをまわしたようだ。
Spencerがいないことを気にしてかどうかは分からないが、翌年2014年のインタビューでBrendonが次作に関してはアルバムのアイデアはあるものの、バンドとしてやるか、ソロとしてやるか迷っていたらしい。

(グーグル翻訳を通して読みました)

この点に関しては、BrendonはRyan Ross等が脱退した時めちゃくちゃショックだったという事から、Brendonはバンドからメンバーが抜けるのがもう嫌でたまらないからSpencerがP!ATDに戻るまで待つか、P!ATDとは別名義で活動することで自身に妥協点を見つけようとした迷いなんだなと思う。

実際は、Spencer Smithは2015年の4月に脱退を発表した。そしてその同じ月にBrendonは新しいアルバムを作っているというメッセージを出したらしい。これは脱退というマイナスなイメージを引っ張りたくなく、この時点でBrendonはPanic! at the discoは一人でやろうという強い決意の表れだと思う。

というのも、ベーシストとして活動していたDallon Weekesが正式メンバーからツアーメンバーへと立ち位置が変わったのもそういう決意が関わってるのだと思う。実際はメディアに出してるメッセージとして、作品を作るにあたって誰かとやろうとすると少なからずうまくいかないこともあるというメッセージを出している。

Dallonも初期からいたメンバーではないので、根本的にBrendonと音楽性がぴったり合うわけではなかったのかもしれないし、いつか脱退してしまう可能性もあったとすると、この時点でバンドメンバーから抜けてもらったのは、P!ATDからもう人が抜けるのは嫌だというBrendonの不安から来てるような気もする。先ほど書いたようにBrendonは再結成に全く興味なさそうというのも、これまで見てきた悲劇を繰り返すのも嫌なんじゃないかなと思う。オリジナルメンバーのSpencerがいなくなった時にはBrendonは一人でPanic! at the Discoを背負おうという覚悟を背負ったのではないか。

その証拠に次作となる2016年作、「Death of a Bachelor」はとても力強い作品となっていて、バンドとして会心の作となる素晴らしい作品になった。

Death of a Bachelor

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セールス的には先行シングルの「Hallelujah」は1stの「I Write Sins Not Tragedies」に次いでビルボードで売れたシングルとなり、この作品自体もビルボードで一番を取った作品となっている。アルバムの売り上げは200万枚と前作よりも遥かに売れ、3rdよりも4倍以上売れ、成功の結果を得ている。

また今作から、ライターチームと一緒に書き上げたことにより、ロック以外のバラエティに富んだ作風として成功していて、どの曲も際立ったクオリティを保っている。

しかしながら、まず何より目立っているのはBrendon Urieの途轍もなくレベルの高い歌唱力である。前作ではそれほど目立ってなかったような気がするけど。今作においては兎に角、Brendonの歌唱力が暴れており、彼の歌のうまさが目立っている。もう発声方法からしてかなり変わったように思う。

一人になって、なんでこんなに頑張れるんだろうって思うんだけど、多分Brendon Urieって人は歌うのが好きだし、ライブが凄い好きな人なんじゃないかなと思う。実際ライブ見に行ったときも歌唱力はめちゃくちゃ安定してるし、不調な時なんか全然動画で見かけない。
こうP!ATDの記事を書いてて思うんだけど、Brendonってかなり仕事にストイックな人なんだなあって思う。そりゃ勿論、バンドからメンバーが抜けて凹んだりすることもあるんだろうけど、Brendon自体にドラッグやアルコールの依存に溺れる話を見たことないし、歌唱力の飛躍も陰ですごい努力してきたんだろう。なぜなら初期からこの歌唱力は目立っていたわけでもないし、P!ATDのコンテンツとして彼は命を懸けて良いものを仕上げてるんだなと考えてしまう。

バンドの誰かがソロになると言われがちな音楽性のバッシングに関してはこの作品で全く見かけない。勿論前のP!ATDの音楽が好きだ!って思う人もいると思うけど、結果としてこの作品における、ドラマチックなオルタナロックは受け入れられていると思う。

そしてこの作品をBrendonは自分自身の過去を振り返って作ったらしい。下の記事を見るに、これは自分が子供の時一人で過ごしたことを表してるらしい。昔テレビで見た音楽を聞いてピアノのとこに駆けつけて演奏しようとしたとか、この作品におけるクラシックな出来栄えはBrendonのそういう思い出を形にしようとしたものとなっている。

やっぱりこういった過去への投影もPanic! at the Discoが1人になった出来事に際してだと思う。また新たなスタートを切る事になり、ある意味原点回帰した結果がこの作品なんだろう。

でも更にP!ATDの今の人気を決定つけたのって多分QueenのBohemian Rhapsodyのカバーがデカいと思うんだよね。カバーするのが圧倒的に難しそうな曲をここまで完璧かつ、圧倒的パフォーマンス力で演奏した人、そうそう見つからないでしょう笑

Pray for the Wicked

wikiによるとDeath of A Bachelorの成功に次いで、Brendonは休みをもらったらしいけど、その期間でも曲を書いていたらしい。
そして自身のブロードウェイのデビューが始まる数か月前にこの曲「High Hopes」のコーラスを仕上げたとか。

生活のためには大きな希望を持たなきゃいけなかった
上手くいかなくても目標を追い続けなきゃいけなかった
お金が無くても、いつも未来は描いていた
いつもいつも希望は高く持っていたんだ

ここまでBrendonのことを書いていると、とても彼の気持ちが素直に出た素敵な歌詞だなあと思います。

2018年に出た6thアルバムの「Pray for the Wicked」はこの歌のようにめちゃくちゃテンションが高い曲が多い。そしてスピードが速い。これはびっくりした。
アルバムが出る前はジャケットを見て、何となく「そこまでかな・・・」と予想してたのだけどアルバムを聴いた時はびっくりした。「テンション高いな!」って笑

そして特徴的なのはポップロックの域を超えた様々なジャンルが潜んでいることにあって、アルバム全体的にテンション高いんだけど、楽曲はバラエティ豊かで、ロックだったり、オールドスクールな雰囲気を持つ曲だったり、トラップを意識したようなトラックもある。
割とそれが奇怪な印象を与えるのもあり、なかなかのアイデンティティを保っている面白いアルバムだなと思う。

今作でもBrendonの歌唱は冴えわたっており、テンション高めなトラックの上を持ち前の抜群の歌唱力で魅力を何倍も上げており、まさにPanic! at the Discoにしかできない世界となっている。

Panic! at the Discoにしかできない世界がここにあると思った時、やはりBrendon Urieという男はすごいなと思った。

まとめる

この記事を書く前からずっと思っていた。Panic! At The Discoは何人もメンバーが抜けてるのに、抜けた後に全盛期を迎えたのだろうと。
幾つものポップパンクバンド達が解散していくの見かけた。新作を作れずやっぱ時代に逆らえないんだなと。
でもP!ATDは違った。寧ろ逆境をバネにさえしてると感じる。
それは「High Hopes」の「上手くいかなくても目標を追い続けた」という歌詞にあるように、Brendonは諦めず努力し続けてるんだろうなあと思った。
そして繋げた結果を見ると、継続は成功の秘訣といいますか、一人になっても、Panic! At The Discoの看板を背負い、元バンドメイトとの再結成もその気じゃないのも、P!ATDとして積み上げてきた事に現在進行形で誇りを持ち続けているのではないかと考えてしまう。

Panic! At The Disco、なんと2018年のウォールストリートジャーナル紙の「史上最も人気のあるロックバンド100選」で48位を獲得。これは2000年代以降のバンドで4番目に人気だとか。

これだけの人気を獲得したのも勿論昔の活躍もあるけど、Brendon Urieの諦めの悪さがデカいんじゃないか。

上手くいかなくても目的を追い続けた結果、アメリカンドリームを得たBrendon Urieを見て、尊敬せざるを得ない。

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#PATD #PanicAtTheDisco #BrendonUrie

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