腎不全+高K患者への GI療法 +ジルコニウムナトリウム環状ケイ酸塩(ロケルマ®について)
学生ですが、将来教育に興味がある身として
初めて知ったことや気になって調べたことを調べてみたいと思います
高K血症は致死性の不整脈を起こすために緊急対応が求められることがある病態ですよね
皆さんご存じのように治療の戦略は
心電図上の変化を確認してからテントTなど高K血症を疑う状態であれば
①不整脈予防
・グルコン酸カルシウム(心筋膜電位保護)
②血中Kの移動(体内での分配)
・メイロン(アルカレミアにしてKの細胞内移行を促進する)
・GI療法(糖の取り込みでKを細胞内に移行させる)
・β刺激薬吸入
③体外へのK排泄
・利尿薬(主にループ系 ラシックスなど)
・イオン交換樹脂(腸から排泄)
・透析
の3つを駆使し
治療の即効性から①+②を行い
心電図モニターで監視しながら
適応があれば、透析の準備をするのが一般的な流れですね
グルコン酸カルシウム使用での注意点は
ジギタリス中毒時と高Ca血症がある場合は通常通りに行えないため
既往歴にAfがある場合に薬歴を確認したり、
多発性骨髄腫などに伴う急性腎不全に伴う高K血症ではCaにも注意しましょう
ここから本題ですが、つい最近腎不全患者では、GI療法は適さないという話を聞きどういうことか気になったので調べてみました
まずGI療法ですが、
血中のグルコースが細胞内に取り込まれる際に血中のKも移動する原理を利用して行う治療です
インスリン10単位で0.6〜1.2mEq/LのKを下げる効果15分程度で見込めます
一般的にはヒト型インスリンを用いて
ヒューマログ5単位+50%グルコースを緩徐に静注を血糖やKを確認しながら必要に応じて繰り返すのが一般的なGI療法です
当たり前ですが、注意すべき副作用は低血糖ですね
インスリンの作用など考えてみても、高Kの補正している間に低血糖で昏倒してしまっては意味がありませんよね…
報告されている低血糖のリスク因子はGI療法の
治療開始前から低血糖<150㎎/dl
糖尿病既往がない
女性
腎機能障害
低体重<60㎏
https://www.jem-journal.com/article/S0736-4679(19)30250-1/fulltext
低血糖が元からあることがリスクなのは納得ですね…
糖尿病既往がないこと、低体重、女性という因子はインスリン抵抗性が低いことが関係しているのでしょうか…
腎機能障害はインスリンのクリアランスが落ちることが影響するのかなと考えてます
Dynamedで調べてみると、
腎不全患者にはあえて、速攻型のインスリンを使用する場合がある
低血糖が予測される場合は持続で10%グルコースを静注するなどありました。
50%グルコース自体が浸透圧的に非常に高いため、血管痛を引き起こすことも考えられ、慢性腎不全などで抹消の血管がぼろぼろの患者で繰り返し、高浸透圧のグルコースを入れることで頻度は高くないものの、血管炎や血管外漏出が起こることが考えられるそうですね
基本的には
https://www.emalliance.org/education/dissertation/journal-20200115
上記のサイトを見て、勉強しつつ、Dynamedや原著調べてみました
皆様の勉強の参考になれば
追記 2021 8/5
ジルコニウムナトリウムナトリウム環状ケイ酸塩(ロケルマ®)について
高カリウム血症の治療でKを体外排出することを主においた治療にイオン交換樹脂の話を上げていましたが、
いわゆる、これまで一般的に使用されてきたタイプのポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート®)などと異なるのは
①非ポリマー性の薬剤のため腸管内で膨張しないこと
⇒腸管を圧排しくいため、腹部膨満感などの腹部症状が少ない
※カリメートは腸閉塞の患者さんでは禁忌です
②微細孔の構造が、K+と結合するときにNa+やH+を放出する仕組みで、一価の陽イオンであるK+を選択的である。
⇒CaやMgを吸着しにくいため低Ca血症や低Mg血症を起こしにくい
この二点で非常に有用なのではないかということでした
上の新薬情報オンラインというサイトが非常に分かりやすい図があったので引用させていただきました。
薬価も高い新薬で、研修医で使用する機会は少ないかなと思いつつ、カリメートは膨張するから腸閉塞で禁忌ということを学べた良い機会でした。
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