辞めるわ、ホスト。
タイトルはあとで説明するよ。
今日な、行ってきたんだ。2人で初めて出掛けた場所に。
覚えてるかい? 日本橋。
金魚アクアリウムの前か後か忘れたけど、iqos吸いながら話した場所。
下北沢な。
ギズモとかジャスミンとか、そんなんがある雑貨屋。と、ヴィンテージのMONK。
思い出の場所巡りも今日が最後だから、最初の場所に行ったんだけど。
ふと思い出したんだよね。覚えてないだろうけど、日本橋の駅の地下で寄った本屋。
おれ興味のある本を写真で撮っておくクセがあるんだけど。
一冊だけ、自分の未来には直接関係ない本を写真に撮った。
その写真は保存ミスって上書きされちゃったから拾ってきた画像になるけど、これ。
会ったばかりだから軽くだけどななみの仕事とか夢は聞いてたから。
会ったばかりだけど俺はもう、このときにはっきりと決めてた。
この子のポテンシャルを俺の『コーチング』でmaxまで引き出して、この子の夢を絶対に叶える。そのとききっと、俺の夢も一緒に叶ってる。
そのためには、嫌われるようなことがあっても必要なことは全部やる。そう決めた。
なんでそこまで思ったかは俺も謎だし、初めて会ったときの話はもう何度もしたからしないけど。最初から理屈じゃない感覚があったからな、ななみとの出会いは。
コーチングってのは簡単に言えば、スポーツにもいるでしょ? 色んなコーチ。導く人。
それをかなり高度な次元でやってるのが俺のホストする前からの師匠だから、俺も見様見真似でやった。
基本を学ぶ必要があるって思って買った本、一度ななみんちに持ってって、興味示してたの覚えているよ。
うちの師匠のコーチングは、ひとりの人生を変えるレベルだから。
もちろん俺がそれをそのままできるなんて思ってないし、
それを受け取れたのは、ななみが工夫して、ななみが努力したからだよ。
俺はただきっかけを、投げただけ。
ななみなら結果的には、俺がいなくても同じだけのところに辿り着けたと思うよ。
俺も、たくさんのことをななみから学んだしね。
俺は君をそれだけ凄いって最初から思ってる。
もう隠しても意味ないからはっきり言うよ。
当たり前に好きだった。大好きだったよ。
俺は一度離婚も経験していて、メンヘラの極みみたいな不倫も経験して。
ただ可愛い、好き、だけじゃ俺は女の子に対して未来なんて見ない。
なのにその壁をぶち壊してくるくらい魅力的な、しかも遥かに歳下の女の子がいたからさすがにびっくりしたけど。
それでも、好きだ、他はもうどうでもいい、君だけいればいい、みたいな恋愛を俺は二度とするつもりはない。
でも矛盾するようだけど。
俺はいつでも君を女の子として見ていたし。
過去の地獄みたいな失敗経験から学んでなかったら、セーブするなんて無理なくらいほとんど俺のすべてだったよ。本当に、大好きだった。
だから俺は、ホストを辞めることにする。
勘違いしないでね。
ホストやめるから戻ってきてくれってことじゃない。
ななみが戻っても戻らなくても、俺はホストを辞める。
てかもう辞める意思は統括に伝えて、辞める日も決まってる。
これはケジメだから。
ななみの心の傷の大きさを見誤ってたことに対しての。
最後に会いに行った日。
あれだけ大きなケンカをしてたのに、最後の最後ななみは、心を開いてくれた。
けど最後、今日お店に来て欲しいって伝えた瞬間からだもんね、心が閉じちゃったのは。
俺はななみと俺の夢のために、いっとき嫌われたとしても必ずやり切るって決めてたから。あの最後の瞬間まで、本当に後悔はないよ。
でも正直いつもの感じだと思って慣れ過ぎてたことは否定できないし。
こんなにかたく心を閉ざしちゃうとは思ってなかった。
そこまで深い傷だってちゃんと認識できてなかった。
だから人間としての俺は後悔してないけど。
男としての俺は、死ぬほど後悔してるよ。
ごめん。
ごめんな。
だから俺はホストを辞めた。
でも今日まで、ななみを取り戻すためにホストをやめるって選択をする気はなかった。
それはね、ホストをやめて一緒になった男女の多くが、ただ辞めただけでは長くは続かないこと、俺は知ってるから。
気づいているかわからないけど、ホストっていう肩書きはそれだけで魅力的なものだ。
ホストってだけでなんか良く見える部分もあるのが事実だ。
だから、ちゃんとその先がしっかりするまでその選択をする気はなかった。
ホストって仕事自体にも情熱があったしね。
いまでも辞めたいわけではないよ。
まだやろうとしてたことがたくさん残っているし。全員ではないけど、今のお店のみんなは本当に好きだ。
それでも、ななみの傷の深さを見抜けなかったことも含めて、俺はたしかにホストには向いてないんだろうから。ケジメをつけることにした。それだけ。
ただ。
ななみがしっかり考えて工夫して、頑張ったからって前提で。
ななみっていうひとりの女性のポテンシャルを、このコロナの状況で、普通ではあり得ないところまで引き出す手伝いができたってことだけは自信があるから。
俺は、ドバイに行くよ。
何日か前に北海道時代からの友達の、リヒトさんってドクターから誘われてたんだ。
リヒトさんは師匠のコーチングの弟子でもある、いま沖縄で心臓血管外科医をしてる人なんだけど。
「僕はホストじゃないから、タカユキがホストとしてどうなのかはわからないけど。
ホストとして出した結果だけ見たら君のコーチング能力は次のステップに移行させるタイミングだと思うから、
何年か修行してきたらいいよ。紹介できるから」って。
マッキンゼーっていう、
コンサルティング(コーチングを会社単位でする仕事)の会社。
今の時期でも海外に渡航するコネがあるから、
(向こうの空港近辺で、しばらく隔離はされるけどね)
ドバイの支社か日本の支社に、
とりあえず契約社員としてだけど紹介できるけどどうするって。
言われた段階ではホストを辞める気なんてなかったけど、でもとても魅力的な話だったから保留にしてた。
けどこうなった以上、思ったところまでは行けなかったけど、
ななみのおかげである意味やり切ったって言えるところまではできたし。
どの道どこかで区切りをつける必要はあったから、俺はホストを辞めて次に進むよ。
コンサルティングの仕事は独立すれば、
細かい経費を除けば利益率100%の仕事だから。
例えば500万のコンサルティングオファーを個人で請け負えば、そのまま500万が収入になる。
ホストみたいに半分はお店、てことじゃない。ホストはあのステージやお店のみんながいなきゃ成り立たないし、それでもやる意味があった仕事ではあったけど。
そもそもそれがなきゃこの話も無いしね。
最低でも5年は、行くことになる。
俺はね、最後の最後。
ななみの傷をちゃんと見れてなかったって意味ではきっと最初から、失敗していたことには後悔してるけど。
ななみにはいつでも全力で向き合ってきたから。
信じても信じなくても任せるけど、
ここ最近の連絡とかもわけわからなくなってるんじゃなくて、
誤解されたまま終わるのは悲し過ぎると思ったから。冷静にいまできる俺なりの精一杯を尽くしてた。どうしたら伝わるだろう、、てさ。
でも脳内お花畑じゃないんで、
ななみがいま俺のことまだ好きなはず、とか思ってるわけでもないし。
それだけひどいことを、きっとしたんだろうなと思うから。
ただ、
俺は女性としても人間としても、俺の全部をぶつけてななみと向き合ってきたから。
幾らか情みたいなものは残ってるんじゃないかな、とは思ってる。
もしそれがあったとしたら、とりあえずそれだけでも今は十分だ。
だから。
ななみが戻ってきてくれるなら、俺は港区のマッキンゼー日本支社で働く。
やれること、勉強できること自体は変わらないからね。
ホストにはこだわりがあったけど、俺にはななみが隣りにいてくれることの方が大切だってわかったから。それだけで十分だ。
マッキンゼーで勉強しながら働けて、ななみもいるなら文句は何もない。
ドバイに行くことは俺の夢の一つだけど、それは別の機会に個人的に行けばいいし。
ただ、
ななみが戻らないならとくに日本にこだわる理由もないし、ドバイ支社へ行く。
ドバイは、イメージをとんでもないスピードでカタチにした国だから。
その空気を感じに必ずいつか行きたいと思っていたからね。
いま見ても俺の心がブレるだけだし意味がないから、ななみのスケジュールとかはしばらく見てないけど。
サイクル変わってなければ、たぶん月曜休みでしょ?
リヒトさんにはどちらに行くか火曜(14日)に返事をすることにする。
ななみは自分が支えた結果に関してはかたくなに結果とは認めてくれなかったけど、
本質的には俺の可能性は少しは示せたと思う。ななみのおかげだけどね。
だから俺の可能性をまだ信じられて、
まだカケラでも好きが残ってるなら。
もう少し、俺と一緒に未来を見よう。
俺はまだまだ凄くなる。
ななみもまだまだ凄くなるだろうけど、俺は男としてななみを支えるよ。
ななみが、ここまで俺を支えてくれたように。
ななみの傷に、ちゃんと気づいてあげられなくてごめんな。
本当にそんなつもりではなかったけれど。
ごめんな。だから俺はななみが戻る戻らないに関係なくホストは辞めた。
もしほんの少しでも今の俺を許してくれて。
少し未来の俺を、信じてくれるなら。
月曜(13日)が終わるまでに、連絡して欲しい。
許してくれなかったとしても仕方ないけど。
俺は最初から最後まで、ふたりのことを考えて動いたってことだけは自信持って言えるから。
楽しかったよ、ありがとう。
連絡待ってるけど、あまり期待はしないでおくね。今でも俺は好きだし、つらくなっちゃうから。
ほんとはななみと一緒に行きたかったけど。
少しだけ先に、夢を実現する国へ行くね。
遠くから、応援しているよ。愛してる。
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