2018四国大会 TSEC「わたしの星」(2019.1/1初)

【「わたしの星2018」演出ノート①】去年(2017年)8月の東京・三鷹。ままごとの「わたしの星」再演を前回のスピカ、ナナホ、マナ、ココの4人と観に行った。初めて生で観た柴さん演出の「わたしの星」。初演版と話の大きな筋の部分は同じも、作品のテーマは違うなと感じた再演版。クールで美しい舞台だった。

【「わたしの星2018」演出ノート②】4月に柴さんから台本を送ってもらった。三鷹で話したときに、プロセニアムの劇場でやるのは舞台構造上、かなり難しいですよとアドバイスいただいていたが、これを桜井にいる間にいつか必ずやりたいと、再演版を観たときから思っていた。

【「わたしの星2018」演出ノート③】今年は1年が10人入部してくれた。男1女9。これで男子が2人になった。新入部員には毎年自分のできること(特技やこれまでの習い事)を聞く。アコギ、ダンス、ピアノ、パーカッション…あ、これ「わたしの星」上演チェックメイトじゃん!と思ったのがゴールデンウィーク前あたり。

【「わたしの星2018」演出ノート④】テキレジは6月からスタート。6月のノトス公演は同じ柴さんの「あゆみ」をやった。いろんな役をやらせて、どんなことができるか、どんな役が合っているか、そんなことを見極めることが演出的な目的。セリフや出番がキャストほぼ均等になるのもある。

【「わたしの星2018」演出ノート⑤】そのノトス公演をちょうど四国学院大学にWSに来ていた柴さんにも観ていただく機会にも恵まれて、部員たちも「これがあの柴さんかー」と思ったはずだ。柴さんと部員たちが一緒に写る写真を撮ることができたのは嬉しい思い出。

【「わたしの星2018」演出ノート⑥】柴さんの戯曲に紡がれる言葉の一つ一つが僕も部員たちも大好きで、とても優しい気持ちになる。それはたとえノスタルジアなものであったとしても、その心地よさと優しさが、多くの高校演劇の場で柴さんの戯曲が上演されている理由の一つだろうと思う。うちの部員たちとの親和性がとても高い。

【「わたしの星2018」演出ノート⑦】主役のスピカ/ヒカリとミレイは2年生。今年の2年は3人しかいない。男子1人女子2人。スピカ/ヒカリはとにかくうまい。県大会くらいまでは技量で持っていってしまう部分があったが、四国大会に向けての稽古になってからは観ていて心地いい良さがあった。地球を去るスピカ、火星を去るヒカリ、火星に向かうスピカ、地球に向かうヒカリ、そのイメージをしっかりもった演技だったと思う。

【「わたしの星2018」演出ノート⑧】ミレイは、本当によかった。毎回稽古のとき、内面から沸き立つ演技をするので、袖で控えているときとか苦しそうに見えることが多かったが、観ていて雰囲気のある美しい役者になったと思う。走る姿がイマイチなのはご愛嬌(笑

【「わたしの星2018」演出ノート⑨】1年キャスト7人は、キラリと光る個性をいかに活かすかをテーマにした。キャスティングを決めるのもかなり時間を要したし、僕自身悩んだのも事実。人物造形の背景を作り出すことを強く求めたので、県から四国でのレジでセリフを多く削ったユウカとチセは特に悩んでいた。吹っ切れてからはもうそれはいい演技だった。

【「わたしの星2018」演出ノート⑩】うちの子たちの持っている元気、溢れんばかりのエネルギーを舞台の魅力にしたいと思って演出を施した。「神は細部に宿る」のは分かっていつつ、そこにこだわることで小さな演技になるのなら、エネルギーが生み出す躍動する力を求めた。

【「わたしの星2018」演出ノート⑪】激流のような勢いを60分間持続させることを役者には求めた。観ている人たちが息をつけないような60分を作り出す、勢いを重視した。強弱のメリハリをつけることも考えたこともあったが、勢いを重視した。四国大会本番はそこが若干弱かったのは事実。

【「わたしの星2018」演出ノート⑫】柴さんの言うとおり、舞台構造の組み立て方にかなり苦しんだ。去年の「日本の大人」もかなり苦しんだけど、その比ではない。抽象的な具象を用いて、舞台を浮かびだす。装置を演技に活用するのも去年から意識していること。ソースフォーで舞台を切ることも考えたが、シンプルにいこうと決めた。

【「わたしの星2018」演出ノート⑬】テーマソングは「Cosmic」と「目覚まし」。どちらもチセの作曲。どちらも芝居の世界感を作り出し、想像を掻き立てる素晴らしい曲を作ってくれた。ボート大会の曲、ヒカリのテーマもチセの作曲。モノローグの曲もすべてチセ作曲。ほんとすごい。ほんといい曲ばかり。

【「わたしの星2018」演出ノート⑭】そしてそれらを全て生徒たちが演奏。特にキーボードを担当したノノカは、ちょこちょこ変更する僕の要望に即座に対応して、いい演奏だった。ほんとCDかなにかにしたいくらい。唯一の舞台装置である木製フレームの汚しをしたのも彼女。1年生ながら舞台をしっかり支えてくれた。

【「わたしの星2018」演出ノート⑮】音響はきっかけ合わせが多く、しかもスピカの声は吊りこんだスピーカーから出力したので、リハは大変だった。音量が大きかった県大会の反省から3年生2人を加えた音響スタッフは100点満点の仕事だった。本当に頭が下がる思い。

【「わたしの星2018」演出ノート⑯】来年の夏まで上演できるのだったら、レジでカットした部分を復活させて、公演したいなと思っていた。それが叶わないのが心残り。いいチームになった。だからこそもう少しこのチームで、夏までこのチームでこの作品を作っていきたかったので、それは残念。

【「わたしの星2018」演出ノート⑰】桜井スタイルはだいぶ定着して、多くの県外の方から桜井の舞台を観にやって来たとの声を聞くようになった。本当に嬉しい。特に「もう1回観たい舞台」と言われるのは本当に嬉しい。劇場でもSNS上でも多くの方にうちの子たちの舞台を見ていただき、多くの感想をいただくことができる、そんな演劇部に育ってくれたことが顧問として本当に嬉しい。

【「わたしの星2018」演出ノート⑱】桜井で作った2つの「わたしの星」。どちらの「わたしの星」も僕にとって忘れることのない作品になるだろう。今ここにある一瞬の煌めきのような舞台を作ってくれた部員たちに本当に感謝の言葉しか出てこない。

【「わたしの星2018」演出ノート⑲】ということで、4,5,6期生がつくった桜井の「わたしの星(2018)」の旅はここで終わり。応援してくださった皆さん、部員たち、OGOBたち、保護者の皆様、全ての皆さんに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。


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