2016四国大会 TSED「わたしの星」(2017.1/9)

 【わたしの星 演出ノート①】今年の新入部員は8人、そのうちキャストが7人。2年のキャスト3人と加えて10人。6月のノトスでやった「あゆみ」の稽古の様子を見て、コンクール作品として候補に上がったのは2つ。そのうちの1つが「わたしの星」。6月中旬からテキストレジを始めた。 

【わたしの星 演出ノート②】夏休みに入って、その2つの台本を2年生に渡して読ませて、どちらがいいか考えさせた。「全国に行きたい」といいに来たのはちょうどその頃。「甘い」と言い返したのもちょうどその頃。広島の全国大会に向かったのもちょうどその頃。 

【わたしの星 演出ノート③】広島の全国大会には2年4人、1年2人の6人で行った。初めての全国大会に興奮していた部員たち。全国レベルの作品を可視化できたことが広島遠征の最大の財産。見えてこないと分からないことがある。コモンは新幹線の中でもひたすらテキレジしていた広島への旅。

 【わたしの星 演出ノート④】高松に戻ってきて、オリザさんのWS。わざわざオリザさんに呼ばれて、部長(つまりスピカ)のことに言及していただいた。スピカとナナホ。2人がこの芝居の軸となる。去年の少年王と一緒。本当につながっている2人をこの役に据えないといけないと考え、核が決まった。

 【わたしの星 演出ノート⑤】スピカとナナホはプライベートでも仲がいい。去年のヨブナとカオルと一緒。そんな2人のために書かれたのではないかと思えるような戯曲。初めて読んだときに、うちの部に対してアテガキしてくれた台本のように思えたほど、初めて読んだときの震える感覚は今も忘れない。

 【わたしの星 演出ノート⑥】宇宙を舞台に描きたい。球体と星。どのようにしたら視覚的にそれを作り出すことができるか。本家の「わたしの星」は見ていない。だからこそ自由な発想ができた。とにかく球体の円形舞台。それは初めて台本読んだときから決まっていた。 

【わたしの星 演出ノート⑦】アクティングエリアになる半径2間のマル。これが地球であり、そしてあの子たちの部室でもある。そこであの子たちは生きている。でもそれゆえに出られない。そのことを表現するために、マルとその円周にLEDを仕込んだ。県も四国もきれいな円形を作ってくれた。 

【わたしの星 演出ノート⑧】ナナホが出ていく星はやっぱり地球、そしてスピカが出ていく星は火星。ラストで真ん中のマルは消えて銀河になる。スピカとナナホ以外の8人のキャストも一つ一つの星。それがわたしの星。円周は消え、銀河の中で彼女たちは生きる。冒頭はLEDがあるけど、ラスト(続く) 

【わたしの星 演出ノート⑨】はLEDもマルも消えるのは、そのことを表現したかったから。同じことのリフレインのように見えて、そうではない。県も四国もこちらの要望した照明を作ってくれて、本当にありがとうございます。袖のモニターで見てましたが、本当に綺麗でした。 

【わたしの星 演出ノート⑩】冒頭の曲を除いて、劇中の曲は全て部員が作曲したもの。テーマソング的に使った曲はシャインが作曲。「わたしの星」のメロディは3年の前部長Sが作曲。ドラムができるメグ、音楽の授業でコードは勉強したシャイン、ピアノが抜群にうまい舞台監督T。

 【わたしの星 演出ノート⑪】みんなこの曲を気に入って、稽古中も移動中もよく歌ってた。コモンが出勤中の車の中で口ずさむくらい。うちの同好会のテーマソング。ラストのラップは何度見ても心地良い。篠原先生にも褒めていただいたけど、本当によく練習した。

 【わたしの星 演出ノート⑫】美術と照明は、10月から入ってくれた男子2名の存在抜きには語れない。有形無形の存在。あれだけ複雑な照明プランをよくこなしてくれたし、繊細な仕事をしてくれた。LEDの処理もこの2人の存在あってのもの。女子とも仲良くなって本当によかった。ありがとう。 

【わたしの星 演出ノート⑬】90分の戯曲を60分にテキレジ。1年のエピソードを大胆に削ぎ落とす以外に方法がなかった。あと、エピローグ的な部分。全国に行けたら、どこかでフルバージョンの「わたしの星」をやろうと言ってたのに、叶えられなくて(特に1年役の3人へ)ごめんなさい。 

【わたしの星 演出ノート⑭】上演後古田先生には気づいて頂けた演出意図。とにかく舞台上で役者たちが生きるように、そこで生きている人間として佇めるような仕掛けを考えた。生き生きとまるでその役の人生を生きてきたかのように演じる。その演出意図に最も応えたのがマナ。県大会のMVPは彼女。 

【わたしの星 演出ノート⑮】頭を真っ白にして、役に没入し、舞台を楽しむ。ここ数年ずっと役者に求めてきたことです。舞台を楽しめるように、何も考えなくていいように。そのことをある意味体現化できたのが、今の3,4期生だと思います。袖から見てて、実に楽しそうでした。 

【わたしの星 演出ノート⑯】フレームの掃除道具入れは、スピカの様子を観客に見せたいため、演劇でなければできない手法だと思います。昨日スピカも言ってましたが、あれは演技的には難しい。うまく表現できていたと思います。スピカだからこそできたのだと思います。 

【わたしの星 演出ノート⑰】アカネ、メグ、サイトウ、シャインの3年組は全て1年生。実によかった。特に文化祭をやりたいという3年だけのシーンは稽古の時から本当によかった。楽しそうに演じる4期生の真骨頂でした。シャインは唯一の男役で苦しんでいましたが、よく頑張ってました。 

【わたしの星 演出ノート⑱】ライブ感のある芝居でした。今日もある2年生に「見たかった」と言われたけど、そのときその場所にいないと観れない上演だったなと思います。20回近くした通し稽古だけど、一度も飽きることがない60分間でした。役者がその瞬間を生きていたからだと思います。 

【わたしの星 演出ノート⑲】火星に旅立つスピカ、それを見送るナナホたち。スピカと過ごした時間は一瞬で、あっという間に過ぎ去ってしまう。でもその時間はきっとあの子たちにとって永遠で、だからこそあの60分を、ここに至る道程を一生懸命に歩んできたのだと思います。

 【わたしの星 演出ノート⑳】あの子たちの、桜井の「わたしの星」を応援していただいた全ての皆様に感謝しています。こんな舞台を作ってくれた16人の部員たちに感謝しています。本当にありがとうございました。桜井の「わたしの星」はこれにておわり。

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