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【気象】地磁気

【宇宙天気】
【地磁気擾乱】URL> https://swc.nict.go.jp/trend/geomag.html


【臨時情報】(以下、上記URL情報内、上部に記載された「5月8日から連発している大規模太陽フレア、及び関連現象に関する詳細はこちらをご覧ください。」内の臨時情報より抜粋。)

《》大規模太陽フレア発生に関する臨時情報
・5月10日から数日間、宇宙天気変動に注意


URL> https://swc.nict.go.jp/extreme.html

【補足情報】(以下、上記「大規模太陽フレア発生に関する臨時情報」内の補足情報より抜粋。)

• 太陽フレア

 太陽の黒点付近で生じる爆発現象。強い紫外線やX線、電波等が放射されるほか、コロナガスが放出されることもあります。発生したフレアのX線強度の最大値により、小規模なものから、A、B、C、M、Xの順にクラス分けされています。

• コロナガス放出(Coronal Mass Ejection(CME))

 太陽の上層大気であるコロナのガスが惑星間空間に放出される現象。地球に到来すると大規模な宇宙環境変動を引き起こすことがあります。

• 宇宙天気による社会への影響について (社会システムとの関わり)


URL> https://swc.nict.go.jp/knowledge/guide.html

〜 [以下、「社会システムとの関わり」から抜粋。]
《》短波通信の障害
 大きな太陽フレアが起こるとデリンジャー現象が発生し、 短波通信ができなくなったり、ラジオ放送が聞こえなくなることがあります。 短波通信障害の発生確率は、以下のいずれかの現象のレベルが上がった場合に高くなります。

現象:「太陽フレア」「プロトン現象」「電離圏嵐」「デリンジャー現象」「スポラディックE層」

 中波(300kHz-3MHz)から短波(3MHz-30MHz)帯の電波は、電離圏で反射される性質があるため、古くから見通し範囲を超える通信手段として利用されています。現代でも航空や船舶無線、放送などで使用されています。この方法による通信は電離圏の乱れの影響を受けます。太陽フレアの発生直後には、太陽から放射される強いX線により、日照領域の電離圏D領域で異常電離が起こり、数MHzまでの電波が吸収されてしまいます。また、大規模なフレアの発生時には、極域のD領域に高エネルギーの太陽起源のプロトンが降り注ぎ、同様の通信障害が起こることがあります。電離圏の負相嵐が発生した際には、数MHzから数10MHz帯の電波が電離圏で反射されなくなり、通信に使用できなくなることがあります。また、スポラディックE層が発達した時には、通常は電離圏を突き抜ける数10MHzの周波数帯の電波が電離圏で反射されて異常伝搬し、遠方のラジオや防災無線などに混信を与えることもあります。一方、電離圏を通過する高い周波数帯の電波も電離圏の乱れによる影響を受けます。赤道域で発生し、時には中緯度域まで発達するプラズマバブルに内包される電離圏の不規則構造は、通信・放送衛星や観測衛星、測位衛星などに使われるGHz帯の電波の強度や位相を乱します。この現象は、電離圏シンチレーションと呼ばれ、その度合いが強くなると、衛星電波の追尾が出来なくなることもあります。

《》航空機の航路変更
 宇宙天気の乱れにより、地上管制との通信障害、測位誤差、 および搭乗員の被曝量に影響が発生する場合があります。 以下のいずれかの現象のレベルが上がった際は、各航空会社の判断により、 航空機の航路が変更される場合があります。

現象:「太陽フレア」「プロトン現象」「電離圏嵐」「デリンジャー現象」「スポラディックE層」

 航空運用に対する宇宙天気の影響は大きく3つあります。まず1つ目に、「衛星測位」です。近年、航空運用にも衛星測位が利用されているため、電離圏の乱れにより増大する測位誤差の影響を受けます(「衛星測位」の項目を参照)。2つ目の影響は「通信」です。航空機では、近距離用のVHF帯通信に加え、洋上など遠距離用のHF帯無線通信が使われています。太陽フレアの発生直後や電離圏嵐が発生したときは、HF帯の通信ができなくなるなどの影響が出てきます(「無線通信・電波伝播」の項目を参照)。特に衛星通信の利用が難しい極域においては、大規模フレア発生時にHF通信もできなくなることを避けるため、極域航路を迂回するなどの対策が取られています。3つ目の影響は「被ばく」です。太陽高エネルギー粒子の増加により、乗員の被ばく量が増大する危険性があります。航空機乗務に伴う付加的な被ばく線量の管理目標値としては、年間5mSvに設定されています(「航空機乗務員の被ばく管理に関するガイドライン」、文部科学省、2006年)が、大規模太陽フレア発生時に推定される航空機乗員の被ばく線量は約4mSvと年間目標値に近く、注意が必要です(「航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討について」、文部科学省、2005年)。

《》人工衛星の障害
 太陽高エネルギー粒子や磁気圏プラズマ粒子の影響により、 以下のいずれかのレベルが上がった際に高くなります。

 現象:「プロトン現象」「地磁気擾乱」「放射線帯電子」

 人工衛星は、通信・放送、地球観測、宇宙観測等様々な目的のために打ち上げられ、私達の生活の中で利用されています。 人工衛星は、空気が極めて希薄で、電子やイオンなどがプラズマ状態になった荷電粒子のガスの領域で運用されているため、 宇宙環境の変動の影響を大きく受けます。プロトン現象(SEP *1)や銀河宇宙線等の高エネルギー粒子の影響によって、 衛星搭載のコンピュータやメモリに誤動作が生じることがあります。

 地磁気擾乱の原因である磁気圏・電離圏の電流変動、及び磁気圏内での粒子変動も衛星障害の要因となります。 地磁気擾乱の源となるサブストームと呼ばれるオーロラ活動の嵐によって、磁気圏尾部から内部磁気圏領域にプラズマの注入が起こり、 その際に静止衛星や低軌道衛星の宇宙環境が変化して表面に帯電したり放電を引き起こします。

 更にオーロラ活動に伴う極域電離圏電流変動によって、超高層大気の加熱が起こり、大気密度が増加します。 これによって、低高度衛星の軌道が大きく変化することがあります。大きな地磁気擾乱の発生が予想されている場合には、 これらの衛星障害リスクを想定する必要があります。

 静止軌道は放射線帯外帯の外縁に位置しています。放射線帯外帯の高エネルギー電子は、太陽風と磁気圏の作用によって大きく変動します。 放射線帯外帯に存在する500keV以上の高エネルギー電子は衛星構体を突き抜けて衛星内部の半導体素子やケーブルの被覆等の内部帯電を引き起こします。 蓄積した電荷が放電すると衛星搭載機器の誤動作や故障の原因となることがあります。

*1SEP = Solar Energetic Particles

《》測位(GPS)の誤差
 電離圏が乱れると、人工衛星からの電波到来時間から位置情報を得る測位機能に誤差が大きくでることがあります。 宇宙環境の乱れによる測位誤差は、以下のいずれかの現象のレベルが高い場合に発生する可能性があります。

 現象:「太陽フレア」「電離圏嵐」

 電離圏を構成している大気(プラズマ)には、そこを通過する電波の伝搬を遅延させる性質があります。GPS*1等を利用した衛星測位では、複数の衛星からの電波を受信して衛星-受信機間の距離を算出して受信機の位置を測定しますが、この電波の電離圏での遅延は測位誤差を引き起こします。例えばGPSの1周波のみを用いた測位では、誤差が10メートル以上になることもあり、衛星測位の最大誤差要因となっています。電離圏遅延量は、図に示すように、電波の周波数と、電離圏全電子数によって決まります。電離圏全電子数はTEC(Total Electron Content)と呼ばれ、単位面積を持つ鉛直の仮想的な柱状領域内の電子の総数で、一般的に、TEC Unit (TECU、1TECU=1016/m2) で表されます。

 1周波GPS測位で利用されるL1帯は、1TECUあたり16cmの遅延を受けます。電離圏全電子数は、季節や地方時、太陽活動度等によって大きく変動しますが、日本の位置する中緯度では、昼間で数10TECU、夜間で数TECUほどです。そのため、L1帯は数メートルの電離圏遅延が発生し、単独測位の誤差に影響します。電離圏遅延を補正するためには、複数の地上GPS受信機等で取得された電離圏の補正情報を利用する方法があります。電離圏は日々変動し、さまざまな空間・時間スケールの現象が起こりますが、その中でも、プラズマバブルや電離圏嵐など、電離圏全電子数の増減量やその空間勾配が大きい現象が発生した場合は、補正情報を用いた電離圏補正も困難となります。また、プラズマバブルに内包される電離圏不規則構造に由来する電離圏シンチレーションにより、GNSSで利用される電波の強度や位相が乱れ、その度合いが強くなると、GNSS信号のロック損失が発生することもあります(「無線通信・電波伝播」の項目を参照)。

*1 GPS = Global Positioning System

《》宇宙飛行士などの被曝
 高エネルギー粒子の増大により、宇宙飛行士は被曝することがあります。 宇宙飛行士の被曝を防ぐため、以下のいずれかのレベルが上がった際は、 船外活動が中止される場合があります。

 現象:「プロトン現象」「放射線帯電子」

 宇宙空間を飛来する太陽高エネルギー粒子を含む宇宙放射線は、国際宇宙ステーションや月面・火星での有人活動に大きな影響を及ぼし、 場合によっては死亡事故にもつながります。国際宇宙ステーションでは綿密な放射線被曝予測が行われ、 通常の船内滞在時には実効線量当量は1日0.5mSv *1であるのに対し、太陽高エネルギー粒子現象時の数日間にはその値が数10倍になると予測されています。 また船外では被曝量が数倍となり、皮膚及び体表面に近い臓器の被曝量が相対的に増大します。 0.5mSvはレントゲン(X線)撮影10回程度の放射線量に相当し、宇宙飛行士の骨髄に対する線量基準値は、 その任務の特殊性から年間500mSv以下となっています。米国NASAでは宇宙天気の24時間監視体制が敷かれ、 国際宇宙環境情報サービス(ISES *2)による警報発令時には、国際宇宙ステーション運用チームに即座に伝えられ、 船外宇宙活動の中止等が判断されています。また将来の月面・火星探査の際にはシェルターへ非難を行ったり、 宇宙観光の際には速やかに地球へ帰還したりする方策が考えられます。

*1 国際放射線防護委員会2007年勧告(ICRP Publication103)の「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士 放射線被ばく管理規定」への取り入れに関わる検討結果報告書、JAXA、 2013年
*2 ISES = International Space Environment Service

《》送電施設のトラブル
 地磁気が大きく乱れることで、誘導電流が発生し、 その影響で送電施設に障害が生じて停電が起こることがあります。 以下の現象のレベルが高いときにトラブルが発生する確率が高くなります。

 現象:「地磁気擾乱」

 地磁気嵐やオーロラ嵐による地磁気変動は、電力網に影響を及ぼすことがあります。 地磁気が大きく変化すると、地磁気誘導電流(GIC *1)により、発電所の変圧器の過熱や、 保護リレーの誤動作などが発生することが知られています。磁気緯度が高い北米や北欧などでは、 GICによる電力設備の障害がこれまでに何例か報告されています。 例えば、1989年3月13日、カナダのケベック州では大規模地磁気嵐に伴うGICの発生によって、 約9時間にわたって約600万人が影響を受ける大停電が発生しました。また、2003年10月30日には、 南スウェーデンのマルモでもGICによる電力網障害のため約5万人が停電の影響を受けています。 日本は地磁緯度が比較的低いため、GICによる障害は報告されていません。 しかし、今後これまでにない巨大な地磁気嵐が発生した場合には、日本でも特に北海道など高緯度側の地域の電力網はGICによる影響を受ける可能性が有ります。

 一方、宇宙天気現象に伴う地磁気変動は、利用されるという側面もあります。地下構造を把握する磁気探査では、 自然現象に由来する電磁波を信号源として利用します。宇宙天気現象に伴う地磁気と地電流を測定・解析することで、 広く深い範囲の地熱や資源の探査を行うことができます。信号が強い方が良質のデータが得られますので、 地磁気活動が活発なときほど、磁気探査にとっては好都合となります。

*1 GIC = Geomagnetically Induced Current

《》オーロラが見える
 オーロラは、宇宙環境が荒れているときに活発になります。 以下の現象のレベルが非常に高いときには日本でも赤いオーロラが見られる可能性があります。

 現象:「地磁気擾乱」

 オーロラは高度100km以上の超高層大気で生じる放電現象です。通常は、オーロラ帯と呼ばれる北極と南極を取り囲むリング状の領域(図3 オーロラ帯)でよく観測されます。 オーロラは、極域の地磁気擾乱と密接に関係しており、地磁気が乱れる時にオーロラ活動が活発になります。 更に、地磁気嵐と呼ばれる大きな地磁気擾乱が発生すると、オーロラが活動する領域が低い緯度の領域まで拡大し、 時には日本でもオーロラが見られることがあります。(日本が真夜中になる時間帯に、 地磁気嵐の指数であるDst指数*1の値が-250nT以下に下がるような大きな地磁気嵐が起こる時には、 日本でオーロラが見られる可能性が高くなります。)

 地磁気擾乱は、太陽から地球方向に放出されたプラズマ雲(CME*2)や、コロナホールからの高速太陽風などによって引き起こされます。 CMEは突発的に発生するため、発生した後、いつ頃CME自体の影響で地磁気が乱れるのかについては、予測が難しいです。 コロナホールからの高速太陽風に関しては、構造がある程度長期間維持されている場合には、太陽の自転周期と対応して、 27日回帰性の地磁気擾乱が発生することがあります。

*1 Dst指数=赤道付近で観測された平均的な地磁気変動量から算出した地磁気変動指数
*2 CME = Coronal Mass Ejection

〜[以上、上記「社会システムとの関わり」より抜粋。]



【用語解説(Wikipedia情報)】
【地磁気】
Wikipedia JA(日本版) URL> https://ja.m.wikipedia.org/wiki/地磁気


 地磁気(ちじき、英: geomagnetism、Earth's magnetic field)は、地球が持つ磁性(磁気)及び、地球により生じる磁場(磁界)である。
 磁場は、空間の各点で向きと大きさを持つ物理量(ベクトル場)である。地磁気の大きさの単位は、国際単位系の磁束密度の単位であるテスラ(T)である。通常、地球の磁場はとても弱いので、「nT(ナノテスラ)」が用いられる。以前に地球物理学で地磁気の磁束密度を表すのに使用されたガンマ (γ) は、10−9テスラ = 1ナノテスラ (nT) に等しい。
1ナノテスラ (nT) = 10−9テスラ (T) = 10−5ガウス (G) = 1ガンマ (γ)
 地球の大気や水の宇宙空間への拡散を防ぎ、地球に降り注ぐ宇宙線や太陽からの紫外線を減らす一助を担っており、地球の生命を守る役目も果たしている。
 日本の緯度・経度・年月日から、最新の地磁気の偏角・伏角・全磁力・水平分力・垂直分力などを、国土地理院の地磁気ページから知ることができる。

〜[以上、上記Wikipedia「地磁気」より抜粋。]



【国土地理院の地磁気ページ】
【地磁気を知る】URL> https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu01_index.html







【地磁気観測所】
Wikipedia URL> https://ja.m.wikipedia.org/wiki/気象庁地磁気観測所


 気象庁地磁気観測所(きしょうちょうちじきかんそくじょ)は、茨城県石岡市柿岡にある気象庁に所属する施設等機関である。
【正式名称】
気象庁地磁気観測所
【英語名称】
Kakioka Magnetic Observatory



【気象庁地磁気観測所】
URL> https://www.kakioka-jma.go.jp/index.html




【グローバル地磁気観測ネットワーク】
URL> https://www2.nict.go.jp/spe/gmo/geomag.html


 地球は大きな磁石で出来ている天体の1つです。地球の磁場は、太陽から吹いてくるプラズマの風、太陽風との相互作用によって変形し、地球磁気圏を形成して います。
 磁気圏の中では太陽風との相互作用によるプラズマの対流運動によって、様々な電流が流れています。太陽から高速太陽風やCME(コロナ質量放出)現象が地 球に到来すると、地磁気嵐などのじょう乱現象が発生して電流系が発達し、その影響が地磁気変動として観測されます。すなわち、地磁気変動を観測すること で、じょう乱現象に伴なう磁気圏内の電流系変動をモニターし、分析することができるのです。磁気圏内のグローバルな電流系をモニターするためには、地磁気 を局所的に観測しているだけでは不十分で、その観測ネットワークを地球全体に広げる必要があります。
 当グループでは独自に開発したリアルタイムデータ収集装置を実装した地磁気観測ネットワークを展開すると同時に、国際的な協力体制に基づいた地磁気データ のリアルタイム収集を行なっています。
さらに、収集した地磁気データを用いて地磁気じょう乱現象を詳細に解析したり、電離層電流やエネルギー流入量変動を推定する等の地磁気データの高度利用に 関する研究を行なっています。


〈リンク〉
【宇宙天気】宇宙天気予報、米国 SWPC




【用語解説(Wikipedia情報)】
【磁気嵐】
Wikipedia URL> https://ja.m.wikipedia.org/wiki/磁気嵐


 磁気嵐(じきあらし、英: Magnetic-storm)とは、地磁気が通常の状態から変化し、乱れが生じること。

【概要】
 通常は中緯度・低緯度において全世界的に地磁気が減少する現象のことを指す。
典型的な磁気嵐では地磁気は数時間から1日程度の時間をかけて減少し、その後数日かけて徐々にもとの強さまで回復していくという過程をとる。このうち地磁気が減少し磁気嵐が発達する過程を主相、回復する過程を回復相と呼ぶ。磁気嵐にともなって変化する地上の磁場は通常時の1000分の1程度だが、大規模な磁気嵐のときは通常時の100分の1程度の変化が観測される場合もある。

 このような地上の磁場の変化は、主にリングカレントの発達による効果と考えられている。磁気嵐が発達するのは南向きの磁場をもった太陽風が地球磁気圏に吹きつけているときであり、リングカレントの発達に太陽風中の磁場が重要な役割を果たしているものと考えられている。

 大規模な磁気嵐の多くは太陽フレアに伴ってコロナ質量放出(CME)と呼ばれるプラズマの塊が太陽から放出され、それが強い南向き磁場をともなって地球磁気圏に吹きつけた場合に発生する。このような磁気嵐はフレア発生から1~数日後に観測され、太陽フレアが太陽黒点の活動と関係していることから太陽黒点数が多い太陽の活動が活発なときに発生しやすい。

 また、太陽のコロナが希薄な領域から吹き出る高速の太陽風によって弱い磁気嵐が起きる場合もある。このような磁気嵐は、太陽活動が最も活発な時期から数年経過した頃によく観測される。

‪【地上への影響】
 磁気嵐の主相時は激しいオーロラ嵐も一緒に発生する場合が多く、その場合、特に高緯度地域ではその効果による激しい磁場の変化も観測される。このような磁場変化は地上の送電線などに誘導電流を作るので、まれに高緯度地域の人々の生活にも影響を及ぼすこともある。例えば1989年3月13日、太陽フレアによる強い磁気嵐が起きた際には激しいオーロラ嵐による磁場の変動が原因となってカナダのケベック州にある発電所の送電システムが障害を起こし長時間の停電が発生した(1989年3月の磁気嵐#ケベック州大停電参照)。

 その他、磁気嵐が発生すると人工衛星の電子精密機器の故障、無線通信の障害などの悪影響が出る場合がある。これらを未然に防ぐため近年、磁気嵐を予測する宇宙天気予報の研究が進められている。

 1988年6月、フランスからイギリスへ向けて行われた国際伝書鳩レースは、たまたま強い磁気嵐が起きている日に行われてしまったので、放たれた5000羽の鳩のうち、2日後のレース終了までにゴールに到着したのはわずか5%程度という、まれに見る悲惨な結果になってしまった。鳩の体内には磁気コンパスがそなわっており(つまり磁場で方位を感じ取る能力があり)それを用いて旅をしているようだ、とは以前から言われていたが、この事件をきっかけに学者らにより鳩の帰巣能力と鳩の磁気コンパスとの関係を検証するいくつもの実験が行われ、鳩が磁気コンパスを用いていることが証明されることになった。[要出典] (cf.磁覚)

‪【指標】
 複雑で空間的広がりを持つ地磁気の擾乱(変動)、磁気嵐の活動度を示す指数はいくつかあり、それぞれ性質が異なっている。

《》K指数(Kp指数)
 地磁気の値から算出するのがK指数やKp指数である。地球上の観測所における地磁気擾乱の振幅を、対数的に区分された28段階で表現するのがK指数。強度が小さい順に0,0+,1-,1,1+,...,8-,8,8+,9−,9と表現される。Kp指数はサブオーロラ帯(オーロラ帯のやや赤道側)に位置する13か所の観測所におけるK指数を基に算出される。なお、Kp指数のグラフは、その形が楽譜に似ていることから、考案者であるユリウス・バーテルスの名を冠して、"Bartels musical diagram"と呼ばれる。

《》Dst指数など
 ほぼ軸対称に分布する磁気圏内のリングカレント(環電流)の値から算出するものとして、Dst指数やSYM-H指数がある。Dst指数は比較的古くから用いられていることから、過去との比較に適している。

《》AE指数
 上記の他に、極域オーロラジェット電流(オーロラ内を流れる電流が特に強い「ジェット気流帯」)の値から算出するAE指数がある。

《》NOAA宇宙天気スケール
 アメリカ海洋大気庁 (NOAA)の宇宙天気予報センター(英語版) (SWPC)が行っている宇宙天気予報の中には3種の「NOAA宇宙天気スケール」があり、磁気嵐の強度を表すのは「Gスケール」である。

《》Gスケール
〜…〜
レベル イベントの呼称 Kp指数の目安 頻度の目安
(太陽活動周期=約11年 毎)
 G5
Extreme Kp = 9 4回(4日間)位
 G4
Severe Kp = 8
Kp = 9-を含む場合もあり 100回(60日間)位
 G3
Strong Kp = 7 200回(130日間)位
 G2
Moderate Kp = 6 600回(360日間)位
 G1
Minor Kp = 5 1700回(900日間)位
 G(None)
none
〜…〜

《》Gスケール 各レベルでの影響・頻度(SWPCのWebページによる)
 レベル 電力系統/宇宙機の管制/その他のシステムへの影響
・G5 広域で電力の電圧制御の問題や電力保護機器の問題が発生しうる。送電網の中には、制御範囲を超えた変動が起きたり、停電に陥るところが出る可能性がある。変圧器は損傷を受ける可能性がある。宇宙機では、広範囲に及ぶ表面帯電が生じ、位置制御、アップリンク/ダウンリンク、衛星追尾に問題が発生しうる。パイプライン[要曖昧さ回避]では数百アンペアに達する誘導電流が流れる。短波放送では多くの地域で1 - 2日間にわたって電波が伝搬しなくなる。衛星測位は数日にわたり精度が低下し、長波を用いた電波航法は数時間にわたり機能しなくなる。オーロラは、磁気緯度40度付近まで見える。
・G4 電力系統では広い範囲で電圧制御に問題が発生する可能性があり、一部の重要な機器では、保護システムの誤作動により電力供給が遮断される可能性がある。宇宙機では表面帯電が起こったり衛星追尾に問題が生じたりする可能性がある。パイプラインでは誘導電流が流れる。短波放送では電波の伝搬が散発的になる。衛星測位は数時間の間精度が低下し、長波を用いた電波航法は障害される。オーロラは、磁気緯度45度付近まで見える。
・G3 電力系統では電圧調整が必要な場合があり、一部の電力保護機器では警報の誤作動を起こす可能性がある。衛星機器では表面帯電が起こりうる。低軌道衛星では抗力が増加しうるため、軌道の補正が必要になる可能性がある。衛星測位や長波を用いた電波航法は間欠的に問題が起こる可能性がある。短波放送は途切れ途切れになる可能性がある。オーロラは、磁気緯度50度付近まで見える。
・G2 高緯度地域の電力系統では、電圧異常が起こりうるほか、長期に及ぶと変圧器がダメージを被りうる。地上管制されている宇宙機は、抗力が軌道予測に影響するため、軌道の補正が必要になる可能性がある。高緯度地域の短波放送では、電波の減衰が大きくなる可能性がある。オーロラは、磁気緯度55度付近まで見える。
・G1 電力系統の弱い変動が起こりうる。宇宙機の管制に僅かに影響する可能性がある。渡り・回遊をする生物はこのレベルでも影響を受ける。オーロラが見えるのは、通常のオーロラ帯(磁気緯度60 - 70度)。

《》NICT宇宙天気予報
 日本の情報通信研究機構 (NICT)の宇宙天気情報センター (SWC)が行っている宇宙天気予報の中にはフレア予報、地磁気予報、高エネルギー粒子(プロトン現象)の予報の3種があり、それぞれ15:00(JST, UTC+9)から24時間後までの予報を行っている[6]。地磁気予報の解説は以下の通り。

《》NICT宇宙天気予報 地磁気予報
 レベル 説明
・非常に活発 (Major storm) :K指数 = 6の活動が起こると予想される。
・活発 (Minor storm)    :K指数 = 5の活動が起こると予想される。
・やや活発 (Active)    :K指数 = 4の活動が起こると予想される。
・静穏 (Quiet)        :K指数 = 4未満の活動が起こると予想される。

〜[以上、上記Wikipedia「磁気嵐」より抜粋。]




【用語解説(Wikipedia情報)】
【太陽フレア】
Wikipedia URL> https://ja.wikipedia.org/wiki/太陽フレア


 太陽フレア(たいようフレア、Solar flare)とは、太陽における爆発現象。別名・太陽面爆発。
 太陽で不定期に発生する爆発的な増光現象で、小規模なものは1日3回ほど、地球に影響を与えうるほど大規模なものは数年に一度程度発生している。大きな太陽フレアは白色光でも観測されることがあり、白色光フレアと呼ぶ。太陽の活動が活発なとき(特に太陽極大期)に太陽黒点の付近で発生する事が多く、こうした領域を太陽活動領域と呼ぶ。
「フレア」とは火炎(燃え上がり)のことであるが、天文学領域では恒星に発生する巨大な爆発現象を指している。現在では太陽以外の様々な天体でも確認されている。一例として、日本の国立天文台が運用するアルマ望遠鏡がプロキシマ・ケンタウリで観測した。

【概要】
 太陽を観測していると、時折太陽表面の一部で瞬発的な増光が見られることがある。これが太陽フレアである。太陽フレアは観測的には「数分から数時間のタイムスケールで起こる多波長の増光現象」と定義される。多波長の増光とは具体的に、電波、マイクロ波、Hα線、極端紫外線、軟X線、硬X線、ガンマ線における増光が見られる。ただし、光の強度を時間の関数で示した図(ライトカーブ)の形状は波長ごとに大きく異なっている。これはそれぞれの波長の光を放出する物理メカニズムが異なるためである。

 物理の立場からは、太陽フレアは太陽周囲の磁場エネルギーが急速に光・熱・非熱的な粒子のエネルギーに変換される現象であると理解されている。そのエネルギー解放量は1029 ergから1032 ergであり、水素爆弾10万〜1億個のエネルギーに相当する。太陽系内で起こりうるエネルギー解放現象としては最大のものである。

 太陽フレアに伴って形成される特徴的な構造物としてフレアループがある。フレアループは大きさ1~10万km程度のループ状の磁力線にプラズマがまとわりついたものである。フレアループは数千万度の温度に達し、熱的な軟X線放射により輝く。よくある誤解として、太陽フレアを"太陽の内側からプラズマが噴き出してくる現象"とイメージされることがあるが、実際は逆で、後述の磁気リコネクションにより上空からプラズマが降り注ぐことでフレアループのような構造物が形成される。

 太陽フレアに伴って多量の非熱的粒子が加速されていると推定されており、これらの高エネルギー粒子が硬X線放射やガンマ線放射を引き起こすと考えられている。このような非熱的粒子の加速機構、加速場所、輸送については分かっていないことが多く、研究の段階である。

 太陽フレアはしばしば衝撃波やプラズマ噴出(太陽風)を伴い、時おりそれらは地球に接近して、突然の磁気嵐を起こすことがある。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、2012年7月には巨大な太陽フレアに伴う太陽風が地球をかすめた 。次の10年間に同程度のフレアが実際に地球を襲う確率は12%であると推定される。

【等級】
 太陽フレアには大小様々な規模のものがある。太陽フレアの規模を評価する指標として、以下のようなものがある。

《》X線等級
 X線強度による等級は、現在最も広範に普及している太陽フレアの規模の指標である。太陽全面から放射されるX線強度の最大値によって、低い方からA, B, C, M, Xの5つの等級に分類されており、Xが一番強い。10倍ごと(1桁上がるごと)に1つ上の等級となる。各等級はさらに1-10未満の数字で区分され、これらを組み合わせて「C3.2」というように表される。例えば、X2フレア (2 x 10-4 W/m2)は、X1フレア (10-4 W/m2) の2倍の強度、M5フレア (5 x 10-5 W/m2)の4倍の強度であることを示す。Xクラスの上はないため、Xクラスの数字は10を超えることがある。
 この値は、アメリカのGOES衛星が常時観測している大気圏外の波長100 - 800ピコメートルのX線の流束(単位:ワット毎平方メートル = W/m2)に基づく。

《》X線による太陽フレア等級
等級 100 - 800pmでの流束 [W/m2] 最大値
A 10-8 - 10-7
B 10-7 - 10-6
C 10-6 - 10-5
M 10-5 - 10-4
X > 10-4

《》Hα等級
 Hα等級は、GOES衛星の打ち上げ以前、太陽フレアの観測初期から用いられている太陽フレアの等級である。Hα線(Hアルファ線、バルマー系列のうち656ナノメートルの電磁波)の観測画像から得られる。Hα線の強度と放射面の広さの2要素からなる。強度は(f)aint(淡い), (n)ormal(並), (b)rilliant(鮮やか)の3つの等級で表され、放射面の広さは観測できる半球の太陽表面積6.2 x 1012 km2に占める百万分率によりS, 1, 2, 3, 4の5つの等級で表される。例えば並の強度・広さSクラスであれば"Sn"(normal subflare, 並のサブフレア)と表される。

《》Hαによる太陽フレア等級
等級 観測半球全体を100万とした時の割合
S(sub) < 100
1 100 - 250
2 250 - 600
3 600 - 1200
4 > 1200

【地球への影響・被害】
 フレアが発生すると、多くのX線、ガンマ線、高エネルギー荷電粒子が発生し、太陽表面では速度1000km/s程度で伝播距離50万kmにも及ぶ衝撃波が生じる事もある。またフレアに伴い、太陽コロナ中の物質が惑星間空間に放出されることがある(コロナ質量放出 )。高エネルギー荷電粒子が地球に到達すると、デリンジャー現象、磁気嵐、オーロラ発生の要因となる。さらに、大規模なフレアの発生により太陽風が爆発的に放出されて太陽嵐となり、地球上や人工衛星などに甚大な被害を及ぼす恐れがある。

 2003年には、大規模なフレアが頻発し、デリンジャー現象により、地球上の衛星通信、無線通信に多くの悪影響を与えた。また、地球磁気圏外では、フレア時のX線、ガンマ線による被曝により、人の致死量を超えることもある。

 フレアの活動は、太陽活動周期や黒点の蝶形図(コロナの蝶形図)によって、関係付けを説明されることもしばしばある。

 フレア時の高エネルギー荷電粒子の地球への到達、あるいは、フレアの発生そのものを観測・予報することは宇宙天気予報と呼ばれ、太陽研究者にとって重要課題となっている。

〜[以上、上記Wikipedia「太陽フレア」より抜粋。]






〈リンク〉
【ライブカメラDB】
《》なよろ市立天文台きたすばる流星群ライブカメラ(北海道名寄市日進)
URL> https://livecam.asia/meteor-shower/kitasubaru-meteor-shower.html

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