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ウィトゲンシュタインの本を買ってと次男に言われて考えたこと

以前、本屋に立ち寄っている人にどんな本を買ったのかインタビューをするというテレビ企画があったのですがそれを見ていると20歳ぐらいの若者がウィトゲンシュタインの本を買いましたと言ってるのを見かけました。その時は別に何とも思わなかったのですが、この度、高校2年生になるうちの次男が本を買って欲しいと言うので何の本?と尋ねたところ、ウィトゲンシュタインの本だと言うんです。

あ、この前のテレビの若者と同じだと思いました。

おそらくこれは偶然ではないだろうなと思います。

音楽やファッションにその時代の流行があるように、思想や哲学にも時代の流行と言うのはあると思います。1980年代ポストモダンと言われた時代にはその時代によく読まれた思想家がありましたし、それよりもっと前の1960年代学生闘争の時にはその時代によく読まれた思想がありました。

ウィトゲンシュタインの特徴は、とにかく著作が少ないと言うこと。そして。哲学が色々と問題にしてきたことを全く問題にしてないと言うこと。

哲学の欠点として、よくわからない言葉の語尾を捉えてあだこうだと論争に持ち込むというのがあります。

私もあれが大嫌いなのですが、ヴィトゲンシュタインはその辺をもう取り上げもしないというか、一切無視してしまっている。ボクシングで言うと殴り合いのリングに上がってすらいないと言う事は特徴として言えるのではないかと思います。

インターネットの時代になって長ったらしいプロセスや下積みと言うのは省かれてさっさとスピーディーに結果と答えを求める、求められる、求めることができる時代になりました。この今の時代に何か人生の問題について哲学的に考察することはあまり意味がない。この今の時代にウィトゲンシュタインは1つの思想のトレンドなのだろうと思います。

私も哲学が好きですが、言葉尻をとらえて論争に持ち込むような。ああいうのがとても嫌いで。私はメタ言語をとっかかりにした構造哲学、構造主義と言うのを自分の思考のフィールドにしてきました。言葉尻をとらえてあーだこうだと論争するのではなく簡潔な記号の交換で物事を考える。いわゆる記号論をフィールドにしてきました。

ウィトゲンシュタインはその記号論ともまた違います。

おおよその思想の考えも、おおよそなら数式で出せるでしょ。と言うような論理的な考え方です。

はっきり言ってあまり深く考えない。深く考えればいいと言うものではないしざっくばらんに答えが出るんだったら早いしそっちの方がいいと言う意見もあるでしょう。

良いとか悪いとか、好きとか嫌いとか、そういうことではなく、今のインターネットの時代にウィトゲンシュタインの思想というのは。おそらくぴったりのトレンドなのだろうと思います。

そんなことをぼんやりと考えた日曜日でした。

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