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学問とオカルトの線引き

小学校・中学校で習う理科の法則に「パスカルの原理」というのがありました。その他にも台風の大きさを示すヘクトパスカルというのもありますが、これはどちらもブーレーズ・パスカルという偉大な学者が確立したものです。

言うまでもなくパスカルの法則は学校で教えられる歴とした学問です。

しかし、そのパスカルが途中から物理学の世界を引退して別分野に移行したことはあまり知られていません。大科学者だったブーレーズ・パスカルはある出来事をきっかけに数学・物理学のフィールドを去り、まったく別の研究を始めることになります。

なんということでしょう、パスカルの残りの半生の研究は、奇跡についての研究であったといっても過言ではありませんでした。不治の病に侵された妹が、あっという間に治癒したという体験がパスカルの人生を変えたと言われます。

そして、偉大な物理学者から神学者へと転身したブーレーズ・パスカルが書き上げたのが、「パンセ」という本でした。

人間は考える葦である

この有名な言葉を生み出したパスカルの「パンセ」は、人智を超えた奇跡について研究したパスカルがその思いを十二分にぶつけた快著であると私は思います。

奇跡だとかなんだとかになると怪しい、オカルトだと言われて図書館からは抹殺されがちなのですがパスカルの「パンセ」は図書館にもしっかりと置かれて世界名著シリーズにも入っていますからさすがはパスカルだと思います。これはパスカルが物理学者として多大な功績を残したからであり、最初から奇跡だけを研究していたらきっと変な人の一人で終わったのではないかと思います。

パスカルと似たような経歴の持ち主にルドルフ・シュタイナーがいます。

霊と霊魂について語りまくり霊学者のNo. 1になったルドルフ・シュタイナーも、そのキャリアを紐解けば元は偉大な数学者でした。数学を真面目にやってかなりの功績を残したシュタイナーも、突然、残りの半生はオカルトの研究に没頭することになりました。

そして。

パスカル、シュタイナーの共通点を挙げるとすれば、キリスト教のかなりディープな部分に突っ込んだ研究になっているということが挙げられます。我々、日本人にはあまりピンと来ない部分ですがキリスト教は真っ向から奇跡的な出来事を肯定するところがあり、それもあってか、アメリカではよく神秘体験や奇跡的な体験を語る本が何百万部も売れてベストセラーになることがあります。

キリスト教というのは、宗教という一面にとどまらない、何か不思議な要素を持っていると私は思います。それはかなり前から思っていて、キリスト教のそういう不思議な部分を解明したくて一時期教会に通ったこともありました。いわゆる「引き寄せの法則」と呼ばれるもののヒントがそこで掴めるのではないかと思ったのです。

ところが、教会に通う理由を牧師から尋ねられて、正直に「引き寄せの法則」とか「富の法則」に興味があると答えたら動機が不純過ぎるとかなり叱られました。(笑) 10年ぐらい前のことです。

しかし、キリスト教会に通って勉強したり調べたりしたらかなり面白いこともわかってきました。いわゆる「引き寄せの法則」の王道であるジョセフ・マーフィー、或いは、ラルフ・ウォルド・エマソンなども間違いなくキリスト教における奇跡、つまり、パスカルが着目したところから端を発していて、それが後の数多くの引き寄せの法則にまつわるさまざまな潮流を生み出してあるということです。

こうしたオカルト的なことはタブー視されたり学問的に無視されたりするわけですが、しかし、中世ヨーロッパの魔導士パラケルススに影響を受けたのが哲学者のデカルト、カントだと言われますし、それは目に見えない宇宙、目に見えない世界をどのように認識するかの思考法のヒントにもなったと言われます。

闇雲にオカルトを好むわけではありません。極端にオカルト的なものを遠ざけてしまうと、余計に物事の本質が見えにくくなったりもするのです。

日本人初のノーベル賞受賞者、あの湯川秀樹博士。湯川博士も物理学の世界を研究してその研究が極みに達してからは「神の存在を認めないわけにはいかないのではないか」みたいなことを著作に書いてて、パスカルと一緒の道を行ってるなと思ったりもします。

正統的な学問と異端のオカルトとは線引きされるべきだとは思いますが、何気に線引きが難しいのではなかろうかと素人感覚に思ったりするわけです。

#koko書房

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