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コラム 快楽の先にあるもの

紀元前ヨーロッパのほとんど何もかもを破壊したアングロサクソンですが、なぜか書物だけは後世に伝えられる形で残りました。これはなぜかというと、王族・貴族たちが「書き取り」「書写」」に使ったからだと言われます。書き取りするほど重要な書物だったかというと別にそういうことではなくて、書き取りする、書くという行為そのものが大事だったらしいのです。

ヨーロッパの王族・貴族たちには十分なお金と時間がありました。その時間とお金で食欲を満たし、性欲にふけっていると、通常の感覚が麻痺して行くことがお決まりで、同性愛やサディズムをはじめ様々な過激な変態趣味にハマっていく。やがて麻薬を好み、廃人に至る。

人間の欲望は暴走すると危ない。
欲望は自制しないといけない。

古典書物を書き取りするというのは、王族・貴族たちが自分たちの生活を自律させて通常の人間としてコントロールするための手段の一つだったそうです。快楽を追い続けると行き着く先は廃人。そうならないために己を鍛え、あえて苦しく時間のかかる作業を自らに課す。

有名野球選手の薬物逮捕のニュースが話題ですが、そんな有名人に限った話ではなく、デフレ社会の今の日本では痴漢、同性愛、薬物汚染などのニュースが絶えません。我々が生きる現代社会は食べ物が余り時間が余ったかつてのヨーロッパの王族たちが置かれた状況と大変似ているのではないか?と思います。満腹になり快楽にふけることは簡単ですが、その行き着く先は危ういところなのだ…ということをよくよく知っておく必要があります。日々の仕事や家事や掃除や手伝いをすることは、お金儲けになるとかならないとか以前に、人間が人間らしく生きていくための重要な営みであるということを歴史から学ぶと同時に、流れるニュースからも再認識したいものだと思います。

(2016年2月5日のFacebook記事を転載)


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