幸せに導く牛 1
「アハハハ!めっちゃ楽しい。テンション上がるわー。」
大学の教室で友達数人とで談笑している。
その中にかわいい女子も2人いて、タイプの方の子と僕とで話が盛り上がっている。
「楽しい学生生活だ。青春だなー。」と浸っていた。
そんな幸せな時間なのに、何か、違和感を感じはじめていた。
そういえば、周りの色がぼやけてるような・・・。
どうも現実ではないかもしれない。
いやな予感がしてきた。
だんだん意識が覚めてきた。どうやらこれは夢らしい。
目に差しこむ光がうざい。
まだ眠みー、もう朝かー。
徐々に現実を思い出してくる。
そう、あの時ケガした、この後遺症も現実ね。
左手人差し指の先、1,5cmだけ切ってしまったことがあるのだ。
学校に行ってる夢を見ていたが、学生なんてもう10年以上前に終わっている。
心の隅にある、現実逃避の願望からか、たまにそんな夢を観る。
あー。今日もまた、やっかいな事が目白押しだなー。
心配な事柄がどんどん頭に浮かんで、気が重くなる。
以前はもっときつかった。
朝、ふとんから出る時、憂鬱(ゆううつ)で、不安とめんどくささに襲われてけっこう大変だった。
「この生身の体で、丸腰のままで、シラフのままで、リアルな社会、ふとんの外に出て行かなくちゃいけないのね」と思いつつ、弱い自分を起こした。
外に出ちゃえば、何てことなくやってけるのだが。
今はそれほどの苦痛ではなくなり、以前より楽にはなった。
目覚ましのアラームがなる。
急がなきゃ、と仕事に行く準備をする。
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