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お知らせ(ふたつ)

こんにちは。

松本一歩です。

この年明けにはなまる学習会王子小劇場にて開催されたディレクターズワークショップなるものに参加したり、こないだは1970年5月に上演された早稲田小劇場の『劇的なるものをめぐってⅡ』の幻の舞台映像を目撃して震えたりなどしつつ、しみじみと感じているのは「いよいよ自分(と自分の団体)のつくる作品が変わっていくだろう」という、手前味噌ですが僕個人の中で起きた演劇観の変化に対する、ごくごくポジティブなワクワク感です。

特に王子小劇場のディレクターズワークショップに関しては忘れたくないことや書き留めておきたいことがそれはもう膨大にあるのですが、先日書きかけの記事が(結構な分量だったにも関わらず)あえなく吹き飛んだのでいったん保留して、後日時間があるときにまとめようと思います。

ディレクターズワークショップの参加者の方々の感想などのまとめはこちら。https://togetter.com/li/1186445

ひとつ、目に見える具体的な変化としては稽古の際に朝と晩の二回、一緒に演劇をしてくれる人達に対して「みんな大好きです。感謝しています。ありがとうございます。」と言葉にして伝えるようになりました。

みんなからしたら「なんのこっちゃ」という感じで概ね気持ち悪がられてますが、でも真実大切なことだと思うので言葉にして伝えるようになりました。ともすれば顔を出す自分のいやな険も、すこしはやわらいでるんじゃないかなと思います。

(おかげで稽古場の雰囲気がとてもよいです。DWSで同じ班だった皆さま、本当にありがとうございます。ご迷惑をおかけしました。。)

はい。

そんなこんなで、ただいまありがたいことにお知らせしたい公演を2つ抱えています。
絶賛稽古中です。
こうなるともうほぼほぼ単なる宣伝で恐縮ですが、お付き合いいただければ幸いです。

1.1月末、神奈川芸術劇場(KAAT)で行われる第3回かもめ短編演劇祭にて『机上の空論』(作 武重守彦)という作品の演出をします。
2.2月中旬、主宰する平泳ぎ本店の第4回公演『ボーク』があります。(出演します。)


1.かもめ短編演劇祭『机上の空論』
神奈川県芸術劇場で開催されるかもめ短編演劇祭に「戯曲選抜チーム」として出場します。
武重守彦さん(めがね堂)の『机上の空論』という作品を上演させて頂きます。

公募されて集まった59本の中から選ばれているので、『机上の空論』はとても面白い台本です。
その面白さを十全に生かした上で「俳優主体のカンパニー」たる平泳ぎ本店によってもっとおもしろい上演にするべく、鋭意稽古をしています。
思えば昨年まではそもそも台本がない中での俳優の集団創作によって作品作りを進めていたこの平泳ぎ本店というカンパニーですが、それがきちんと面白い台本と出会った時にどれくらい飛べるのか、というチャレンジでもあります。(僕自身、自分の団体で初めて演出を担当します。)

そしてこれまで平泳ぎ本店では出演者は男性のみだったところを、作品を一読して「これは…!」と、久門海さんに出演してもらうことにしました(あえて男だけで上演するのはまるで作品のためにならないという判断)。

今回久門さんにお願いしているのは早織という役ですが、稽古で見るに思った通り、というか思った以上に早織が素敵なので、お願いしてよかったなと思っています。
(久門さん、とは言うもののその実くもんは研究所の同期でもあります。)
もちろんほかの皆ももっともっと魅力的にして、本番を迎えたいと思っています。

劇場にいらっしゃる観客の皆さんに作品と、そして何より魅力的な俳優に出会ってもらうというのが演劇の上演の殆ど唯一の意味だと、最近はもっぱらそんなことを考えています。

また個人的には、神奈川芸術劇場の大スタジオという場所に対しては尋常ならざる強い思い入れがあります。(学生の頃にKAATのインターンに参加したり、他ならぬここで地点やチェルフィッチュや快快といった自分にとって大切な作品を観てきました。)

そんな場所で初めて平泳ぎ本店として上演できることのありがたみを噛みしめながら、目いっぱい面白い上演にしたいと思います。

ぜひ横浜、神奈川芸術劇場へお越しください。

第3回 神奈川かもめ短編演劇祭
2018年 1月25日(木)〜1月28日(日)
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ
Aブロック
戯曲選抜チーム(平泳ぎ本店)
〇1/25木19:00
〇1/27土14:00
〇1/28日12:00
『机上の空論』
作 武重守彦
演出 松本一歩
出演 小川哲也 久門海(OFFICE SUNDAI) 宍倉直門 鈴木大倫 丸山雄也

●あらすじ
「激しい雨の降る夜である。山奥に向かう高速道路をひた走る1台の車があった」
締切に間に合わない小説家と編集者、そして小説家志望の男と関係が危うくなっているその妻が、現実と小説世界の中で交錯する・・・。

●戯曲選抜チームとは
公募より集まった59本の戯曲の中より選出された『机上の空論』を上演するための特別編成チーム。
作者の武重守彦は、演劇ユニット「めがね堂」として、東京を拠点に活動している。また、演出と上演を担当する「平泳ぎ本店(マグカル・フェスティバル実行委員会推薦)」は、今後の活動が注目される、俳優主体のカンパニーである。
ご予約はこちらから可能です。http://ticket.corich.jp/apply/88507/GIK/
演劇祭の公式サイトはこちら。http://kanagawakamome.com/


2.平泳ぎ本店第4回公演『ボーク』
こちらは平泳ぎ本店の4回目の本公演です。
今回、(劇)ヤリナゲの越寛生さんに書き下ろしをお願いしました。
(これまでの台本なしでの創作にそれなりに限界を感じ、次の展開を模索していたため。)

(劇)ヤリナゲは今年三鷹市芸術文化センターのMITAKA “Next” Selectionに選出されるなど、越さんはほんとに文字通り気鋭の若手作家です。
僕が越さんの作品についておもしろいと思っていることについては下のコメントに書いてある通りですが、日々送られてくる台本の1ページ1ページを読むに、その確信は強くなる一方です。

内容にすこしだけ触れると、登場人物に「ピッチャーA」「 死刑囚K」 「教師Y」 「盲導犬F」などが出てきます。
『ボーク』というタイトルからおよそ想像しうるあらゆるイメージをやすやすと飛び越えて、びっくりするほど尖っていて、それでいて間違いなく「その笑いは、あなたに返ってくる」(劇)ヤリナゲ越さんの作品です。
こんなのおもしろいに決まっています。

平泳ぎ本店としては俳優主体のカンパニーとして、越さんのテクストを「テキレジ・カットなし」でしみじみと、それでいて作家も俳優もお互いの想像を越えられるような上演にするのだと一同腹を括っています。

こちらもご予約受付中です。ぜひぜひ、劇場に観にいらしてください。


平泳ぎ本店第4回公演
ボーク
作・越寛生((劇)ヤリナゲ)
早稲田小劇場どらま館
●公演日程 
2018年2月
16日(金) 19:30
17日(土) 14:00/19:30
18日(日) 14:00/18:00
19日(月) 14:00
受付開始は開演の45分前、開場は30分前/上演時間は約90分を予定
●会場 
早稲田小劇場どらま館
●作
越寛生((劇)ヤリナゲ)
●出演
小川哲也 宍倉直門 松本一歩 丸山雄也
●チケット 全席自由・税込
前売2500円(要振込orクレジット決済)
当日精算  3000円
ペアチケット4000円(要振込orクレジット決済)
学生1000円(振込、クレジット決済、当日精算とも 要学生証)
カルチベートチケット 2000円(公演当日、劇場受付のみでの取扱)
●取扱い 
【当日精算・銀行振込でのご予約】カルテットオンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/hiraoyogihonten4th
【クレジット決済でのご予約】演劇パス 
http://engeki.jp/pass/events/detail/356
●スタッフ
舞台監督:水澤桃花(箱馬研究所)/照明:舞台美術研究会/音響:人見ユウリ
小道具協力:辻本直樹(Nichecraft)/映像製作:岡本俊/当日運営:つりはるこ/宣伝美術:荒舩亮/広報協力:月館森
主催・企画製作:平泳ぎ本店

●越寛生 コメント
演劇にボークがあったら、平泳ぎ本店はボーク連発なんじゃないかと思います。「ボーク」というのは野球用語で、ピッチャーが「ちゃんと投げなかった」場合に取られる反則のことです。詳しい説明はややこしくなるので省きますが、ピッチャーにはこれこれこのように投げるべし、という決まりがあります。だからみんなそれに違反しないように、気をつけながら投げています。でも松本さんたちは、そういう投げ方を身に着ける気がないようなのです。むしろどうしたらボークになるかに、全力を傾けているように思われます。その力の入れ具合が、へんてこりんなオモシロに転じるぐらいに。そんな人たちを、よもや矯正してしまうようなことにならないか、脚本を書く身としては恐々としています。一方、きっと何を渡してもボークに仕上げてくれるのだと思うと、安心して『ボーク』を渡せるとも思います。

●主宰 松本一歩 コメント
(劇)ヤリナゲの越さんの作品には普段の何気ない私たちの日常のデッサンそのものみたいなどこまでもナチュラルなシーンがあるかと思うと、デウスエクスマキナ的に力づくで展開していくゴリゴリの嘘でしかないシーンがあり、気がつくといつの間にか詩的でただただリリカルな瞬間を迎えていたりします。
総じて作品全体の挙動が不審ではあるものの、とても”演劇っぽい”ドライブ感があり、それがたまらなく魅力的だなと思います。
今回はそんな越さんのテクストに「テキレジ・カットなし」でしみじみ向き合い、上演します。言葉でもって言葉を超えるような、わからないけどわかるような、そんな変てこなシーンをいくつも見られたらと思います。

●平泳ぎ本店 Hiraoyogi Honten
2015年、主宰の松本一歩を中心に結成。
メンバー全員が俳優であり、稽古場では俳優達自身が言葉と理屈と身体を徹底的に尽くした上で「言葉にできない!理屈じゃない!」
というおもしろさを追求している。
稽古場で生まれる様々なアイディアを俳優自身が揉み、新劇から現代口語まで様々な演劇方法を節操なく駆使しつつ、結果一人一人の想像を超えて凝ったシーンを造形していく創作方法に特徴がある。
「真剣に演劇について悩んで、真剣に演劇を愛する」演劇大好きカンパニー。
オリジナル作品での海外公演を当面の最大の目標とする。

●最新情報
Blog http://hiraoyogihonten.com
Twitter @hiraoyogihonten
TEL:090-4099-2941
Mail:hiraoyogihonten@gmail.com

長々とお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
KAATか早稲田小劇場どらま館か、劇場でお会い出来たら、こんなに嬉しいことはありません。


松本一歩

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