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劇団炎舞さんを観に行った話。ヒアウィゴゥ、浅草木馬館。

TLで見かけて行ってみたくってたまらず、浅草木馬館で劇団炎舞さんをみました。

役者っていうのは、これはもうすごい仕事だと、客席で観ながらさながら愛知県の片田舎の実家に帰った気持ちになって(?)、ものすごくものすごく胸に迫るものがありました。

っていう、そんな話なんですが。。

きっかけ

Twitterで何の気なしに「ああ、この人おもしろいな」と思ってフォローした方が、どうやら大衆演劇を熱烈に観に行っている方らしい、というのをじわじわと感じ取り、その方のRTでふとした時に読んだのが大衆演劇のプロデューサーの方のインタビューだったんじゃないかと思います。
(うろ覚え…。)

まったくなにも知らなかったけれど、宝塚や歌舞伎を好きだという観劇の諸先輩方が、歌舞伎座や新橋演舞場から国立劇場や前進座や、そこからひろく大衆演劇にハマっていかれる流れ、みたいなのをうすうす感じていたので、「そこに観劇玄人を惹き付ける何かがあるに違いない」と、じわじわと興味を持ちました。

それでしばらくしてなんだかとても観てみたくなって、ふとした拍子に公演情報を見つけ、スケジュールも合ったのでLINEで予約(できるんです!)して木馬館に行ってみたのですが、観ている間にいろいろな気持ちがよぎるのを止められず、気がつくと訳のわからんタイミングで号泣していました。

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浅草木馬館、劇団炎舞

出演者に直接お花を渡す文化とか、そのための祝儀袋や着物のえりに挟んであげるピンが売られていたり、お茶屋で売られる軽食のあったかいおにぎりや、客席にいるとほのかにかおる舞台袖で出演者やスタッフの方が喫っているかもしれない煙草?の匂いとか。

場内で流れる歌謡曲などがじわじわと効いてきて、ある瞬間、座長の炎鷹さんに差し入れを渡そうとしたおばあさんがはじめ下手側から行ってうまくいかず、一度そろそろと席に戻り、次の出番のときに真ん中の花道からゆっくり渡しに行き、それを受け取った炎鷹さんが肩にそっと手を添えたのは、えも言われずエモーショナルな瞬間でした。

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座長!

おばあちゃんが呼び起こす記憶 そう、マドレーヌのように

なんのこっちゃという話なのですが、これは地元の、自分のや、他のうちの数々のおばあちゃんを思い出したんだと思います。

それはつまり森さんであり、桜井さんであり、わが祖母貞子であり、子供の頃によく近所で見かけていた、数多のおばあちゃん。

そのおばあちゃんが、こうしてこの公演を楽しみにして劇場へ足を運び、贔屓の役者さんのソロの時にそろそろと舞台に近寄り、俯き加減で、ステージの邪魔にならないようにビニール袋に入った差し入れを渡そうとしている。

腰が曲がっているから、舞台上の炎鷹さんを見ずに、そっと差し入れだけ手渡す。

劇場で鳴り響く歌謡曲と、客席の皆さんのあたたかい、気楽に楽しんでいるアットホームな雰囲気。

そうしたものが一体となって、なんだか子供の頃に、家のなかで父や母を眺めながらずっと嗅いでいた平成の空気や、昭和の残り香的な気持ちを呼び起こされて、強く強く揺さぶられました。

名古屋の松竹系の映画館で、暮れにお弁当を食べながら寅さんの映画をみたことや、自分自身ほとんど忘れかけていたそんな記憶(1993年くらいの)が自分の喉元を強く鷲掴むのを感じました。

初めてなのに懐かしい、とても濃いい空間でありました。

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(木馬館のおにぎりは、あたたかい。おいしい(三個たべた)。)

役者さんは尊い ずっと尊い

そんなみんなの期待を受けて毎日休みなく舞台に立って、日々お稽古をし、本番中でも次の舞台のための台詞を覚え、旅から旅へ、朝から夜までみんなを楽しませる役者さんは、何て尊いんだろうと思いました。

自分のメインフィールドである小劇場とはまた全然ことなる、家族で、日々芸事で精進されている劇団の凄みというのを随所に感じました。

家族と家族の交流があり、息子さんがいて娘さんがいて、そして今月その娘さんが21歳の誕生日を迎える。元々のハレの日の芝居小屋の中に、家族の節目が大事に刻み込まれている。
(オウジと呼ばれていた役者さんがかっこよかった、あとおっちょこちょいの小さな女性の方(小並感…))

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くれぐれも、皆さん素敵な役者さんでありました。
「あ、このひと気になるな、」と検索したりして深入りしたら最後、ハマっていくであろう沼をビシビシと感じました。

そういえば12時開演、11時半の開場時にはスタッフの皆さんの「おはようございます」という挨拶で迎えられました。
堅気の勤め人はオフ・リミット(by宮本研)というこの空気感もまたたまりません。
半日浅草でフラッと大衆演劇というのは、これはものすごく贅沢な経験でした。
しかもチケット代(木戸銭)は1800円という、この凄さ。

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(マ、マスクケース、買った…。500えん)

木馬館の場内スタッフさんはやさしい

「お前、なにしに来た?」という、明らかに場違いど素人のでかいやつがキョドキョドしているのを場内の人たちも気にかけてくれ、なにくれとなく席を按配してくれたり、グッズを紹介してくれたり(御祝儀袋のこととか)してくれて、とても楽しく過ごせました。本当にありがとうございました。

終演後、私が座席付近に落としていた財布も、しっかり拾っていただきました(ごめんなさい)。

もう、あれです、また必ず観に行きます!!!!!

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