絵空事 -eclipsar- 第4話「手許の光」 ~ eclipse blanca
村に近づくにつれ、緋色が強くなる。
…あちこちから、炎が上がっているせいだ。
「…! 十六夜!」
「っ!」
叫ぶのとほぼ同時に、ばつん、と音がした。――村全体に結界が張られている。
「あいつか…!」
十六夜は悔しそうな声色を漏らした。
「…恐らく、本家に居る筈だ――」
炎の熱と渦巻く闇の濃さに、汗とも冷や汗ともつかない雫が伝った。――尤も、生者ならばの話だが。
「…大丈夫か?」
此方の様子を窺い、十六夜が尋ねる。…霊魂とはいえ、様子を察するのは相変わらず得意な様子だっ