絵空事 -himno- 第7話「翠の眼」
スイ、と呼ばれたそれは、緩慢な動作で姿を顕した。
「御見事です。――よくもかわせたものですね。」
感心したかのようにくすくすと和やかな声を立て、翠の眼がきらりと笑った。
「…そうも鈴の音が聞こえてはね。――まったく、兄上は式を何だと思っているのやら」
――伏せられもしない式に何の意味があろう。見失わぬようにとでもいうのだろうか。
「我が主を馬鹿にされては困りますよ、銀翅殿。何かお考えがあっての事なのでしょう。」
そうは言いつつも、どこか揶揄うような表情を崩さぬまま、スイ―