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絵空事 -前日譚-

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自創作『絵空事 -十六夜月と銀の翅-』シリーズの【-irreal-】の前日譚にあたる物語たちです。【蒼ノ章】【白ノ章】【紅ノ章】【玄ノ章】【黄ノ章】に分かれております。
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#紅ノ章

絵空事 -himno- 第1話「流れ者」

とある一族に伝わりし伝承 されど偽りか真かは、当事者にしか判らぬ噺 *** おかしい。 此…

絵空事 -himno- 第2話「意思」

それから、数日したのち。 日が暮れる頃になってから、男はまたも、私の山に踏み入ってきた。 …

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絵空事 -himno- 第3話「満ちる月」

「それにしても、あんた…、のこのこうちについて来て、大丈夫かいな。」 よくよく考えると、…

絵空事 -himno- 第4話「欠ける翅」

銀翅の声を合図に目を開けると、がらんと開いていた筈の地には一軒の家が建っていた。 「…よ…

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絵空事 -himno- 第5話「畏怖」

「――という訳で、暫くこの地で世話になる事になった。宜しく頼む」 『…は、はい。承知致し…

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絵空事 -himno- 第6話「満ち潮」

こうして、銀翅は山に留まることとなりました。 十六夜の許しがあるとはいえ、本来ならば濫り…

絵空事 -himno- 第7話「翠の眼」

スイ、と呼ばれたそれは、緩慢な動作で姿を顕した。 「御見事です。――よくもかわせたものですね。」 感心したかのようにくすくすと和やかな声を立て、翠の眼がきらりと笑った。 「…そうも鈴の音が聞こえてはね。――まったく、兄上は式を何だと思っているのやら」 ――伏せられもしない式に何の意味があろう。見失わぬようにとでもいうのだろうか。 「我が主を馬鹿にされては困りますよ、銀翅殿。何かお考えがあっての事なのでしょう。」 そうは言いつつも、どこか揶揄うような表情を崩さぬまま、スイ―

絵空事 -himno- 第8話「まれなひと」

四季がいくつか廻った頃、銀翅はまたも十六夜の山を訪ねました。 銀翅があの日、十六夜より授…

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絵空事 -himno- 第9話「たずねびと」

何処か騒々しい気配を感じ、目を開けた。 差し込む月明かりがいやに眩しく感じる。 どんどん…

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絵空事 -himno- 第10話「流れつく処」

銀翅の亡骸は、とうとう見つかりませんでした。――どこか川の深みにでも沈んでしまったのでし…

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