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絵空事 -前日譚-

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自創作『絵空事 -十六夜月と銀の翅-』シリーズの【-irreal-】の前日譚にあたる物語たちです。【蒼ノ章】【白ノ章】【紅ノ章】【玄ノ章】【黄ノ章】に分かれております。
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2020年10月の記事一覧

絵空事 -remota- 第5話「翅の傷み」

それからも銀翅は式神を用いて、或いは自身がその地に赴いて、村人の助けとなるように力を尽く…

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絵空事 -remota- 第6話「泡沫」

『不治の病』の悪化もあって、ほとんど山に籠りきりになってしまった銀翅に、 或いは『不治の…

絵空事 -remota- 第7話「金の月」

声のする方を見れば、幽かな姿ではありましたが、確かに銀翅の姿が見えました。 「君の怒りは…

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絵空事 -remota- 第8話「銀の月」

「――ほぅか。…あんたら、うちに楯突いたらどうなるか、解ってるんやろうな…?」 『黙れ、…

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絵空事 -remota- 第9話「風車」

十六夜は、赤子を山に連れ帰り、木の実を砕いたものなどを与えて育てました。 時折、僅かに残…

絵空事 -vana- 第5話「根差す葵」

一方、その頃。 山に戻った銀翅は、十六夜に問いかけました。 「十六夜は、彼の何処がそんな…

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絵空事 -vana- 第6話「蔓延る根」

神域の山の麓に下りると、既にひと気は無かったが、山に行ったことが分からないように、念の為、少し遠回りをして帰った。 戸を開けると、おれを捜していたらしい朱鳥と鉢合わせになった。 「葵。――少し前に銀翅さまがお前を訪ねてくださったぞ。だというのにお前は、何処に行っていたんだ。」 「そうだったのですか、ごめんなさい。川の近くで遊んでいました。――銀翅さまなら、先程偶然お会いしましたよ。」 「そうか。それなら良いが…。」 「長く話せないので、また改めてお出でになるそうです。」

絵空事 -vana- 第7話「葵と悠」

複雑な気持ちを抱えたまま、その日は夜を越えた。 「――銀翅さまのこと。気になるのか?」 …

絵空事 -vana- 第8話「匣の外」

「――また、あのガキのとこ行くんか?」 出る間際、十六夜にそう尋ねられた。 「ああ。そうす…

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絵空事 -vana- 第9話「白の匣」

おれは、銀翅と並んで途を歩きながら、なんと声をかけたものかと考えていた。 『…。』 銀翅は…

絵空事 -himno- 第6話「満ち潮」

こうして、銀翅は山に留まることとなりました。 十六夜の許しがあるとはいえ、本来ならば濫り…

絵空事 -himno- 第7話「翠の眼」

スイ、と呼ばれたそれは、緩慢な動作で姿を顕した。 「御見事です。――よくもかわせたもので…

絵空事 -himno- 第8話「まれなひと」

四季がいくつか廻った頃、銀翅はまたも十六夜の山を訪ねました。 銀翅があの日、十六夜より授…

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絵空事 -himno- 第9話「たずねびと」

何処か騒々しい気配を感じ、目を開けた。 差し込む月明かりがいやに眩しく感じる。 どんどん、と、戸を叩く音が響いた。 「…今開けるよ。」 ――思ったより遅かったな…。 そう思いながら、私は戸を開けた。 『――銀翅さま。よもやとは思いましたが…お帰りになられたのですね』 現れたのは、はじめに私を村へ導いた男だった。 「ああ。――久しぶりだね。変わりはないかい?」 『はい。…突然この地を去られて、驚きましたよ』 「私の役目はとうに終わっていたからね。…とはいえ、碌な説明も