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雑感:前橋市の交通情報タブロイド紙を作るにあたり

前橋市交通政策課の情報タブロイド紙、「mooove!」が発行されました。友達が働いている広告代理店を経由して、ユザメは写真撮影、文章周りのお手伝いをいたしました。以下、制作を終えての雑感です。

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チームはありがたい

・広告代理店という業種がなにをしているのか、の一部を垣間見ることができた。僕が苦手なことを全部やっている会社だ。ゼロから企画をし、提案しに行って、通ったら方々と調整しながらプロジェクトを進めていく。スケジュールを組む。エキストラを手配する。撮影場所に許可をとる。機材、道具の用意。当日のディレクションと雑用。レギュレーション違反がないか調べる。クライアントと発注先の双方がニッコリできるように間をとりもつ。いかに自分が普段そのへんを人任せにしているかを実感した。

・個人的には、他の案件が立て込んでいて、過去一忙しいタイミングでの仕事だった。ITサポートのため筑波で1週間出張した翌週に前橋で丸1週間撮影と取材、そしてまた翌週に筑波に戻りITサポートの合間で原稿をやる生活。しかも筑波での生活は中南米の現地時間に合わせているため昼夜逆転。体ぶっこわれるかと思った。しかし、「僕はこの日しか動けません」という要望に対して撮影日程を見事に調整してくれたのも代理店の素晴らしい仕事だった。写真撮影のモデルさんは何名もいたし、ロケ地のスケジュールもあるというのに。すごい。

どんなに頭のおかしい原稿が上がってきたとしても最終的には「ギリ常識」に着地させなければいけない

・あらためて書くが、今回お手伝いしたのは、前橋市交通政策課が発行するタブロイド紙である。自治体発信、しかも交通という減点方式で評価されがちな領域で、ちょっとリスク取って加点的なことをやってみようよ、という企画だったのかなと認識している。交通政策課に求められている情報発信とは、時刻表、渋滞情報、電車の遅延情報、事故の啓発、とかである。つまり、わかりやすくて便利であることが期待されている。そんな中、「公共交通の課題ありすぎやばすぎ」「未来の前橋の交通はどうなる?」「自家用車を使わない生活ってどんなもん?」みたいな、めんどくさくて、その場では役立たないメッセージをたくさん込めることができた。

・目の前の顕在的な課題に「間違いのないように」対応していくことは、もちろん大切である。生命に直結することも多い交通という分野では、特にセンシティブにやっていかなくてはいけないだろう。ただそれと同時に、余裕のあるときには「メタなレイヤーから要るか要らんかよく分からないことをホニャホニャやる」みたいなこともやっていかなくてはいけないと思う。なぜなら現に合理的・生産的にやろうとしすぎた結果課題を抱えているわけだし、社会的に要るか/要らないかに関係なくやりたくなっちゃう遊びのようなところにしか、それを突破するきらめきはないからである。今回の自分の役割は、いかにその要素を生成できるかだった。だからなるべく引っかかる写真、変なコピーを心がけた。

そうして、上がってきた成果物の質を常識と非常識のはざまで調整するのは、代理店の役割だ。今回は自治体仕事ということで多くの配慮が必要になるから、どんなに頭のおかしい原稿が上がってきたとしても最終的には「ギリ常識」に着地させなければいけないのだから大変だったと思う。そこで常識側に寄りすぎれば、それこそ何も前進しない「従来どおり」なプロジェクトになってしまうし、非常識に寄りすぎると、伝わる前に拒否されて目的が達成されないからだ。

お酒飲みたい

・あとは単純に出身大学でロケできたこと、この仕事を通じて友達が増えたことも嬉しかった。また普段はWEB上の仕事が多く、自分の写真や文章が印刷物に載ることは割合としては少ないので、物理的な制約があるのも新鮮だった。文字数の自由度の低さとか、トリミングする前提で写真を撮ったりとか。そのあたりに経験の少ないユザメを指名するのは勇気のいることだったんじゃないかと思う。とりあえず打ち上げが楽しみ。

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