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【🍓】小萩

小萩
よみ: こはぎ
本: 河出文庫 古典新訳コレクション 源氏物語 1 角田光代 訳 

宮城野の露吹きむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ
 (宮中に吹く風の音を聞くにつけても、あのちいさな萩ーー若宮がどうしているか、ただ思いやられる

20ページ(桐壺)

高校古文の授業でこの部分を学んだときには「幼い光くん=小萩ちゃんということね、OK♪」とすんなり受け止めたのだけど、時を経て母となり婆となった私には看過できない。なぜ小萩?

この和歌の箇所まで今三度読み直したが光君の小萩要素は皆無である。桐壺の部屋からよく見える場所に萩が植っていたとか、この時代の幼児は萩模様の着物を着るものだった、とかの(私が知らない)暗黙の了解があるのだろうか?

もう一度読み直したらこの歌の詠まれたのが「秋のはじめ、野分のような風が吹き、急に肌寒くなったある夕暮れのことである。」(p.17)とあるので秋の七草の筆頭である萩なのは了解した。またwikiによると宮城野というのが宮城県仙台市宮城野区にその名を残す萩の歌枕の宮城野であることもわかった。

ということは、この和歌の宮城野とは歌枕の宮城野と宮城の広い庭をかけていて、「宮城野といえば萩だよね、宮城(きゅうじょう)にいるはずの小萩ちゃんはどうしてるの?秋だよ、寒くない?さみしくない?パパは寂しいよっ、涙が風に散ってるよっ」という意味なのかもしれない。(ぃゃ、きっとそう。)

追記: トップ画像に萩を探していて、小さな赤い花がたくさんつく低木だったよなくらいに思っていたけれど、「赤くて」「小さい」花、「丸っこい」葉、風に揺らぎやすそうな「か細い枝」を目の当たりにして、帝の(というか紫式部の)作歌センスに脱帽している。

追記2: さらに調べたらwikiには萩・露・鹿が宮城野の縁語と書いてありました。枕詞と縁語の違いは?とさらに広がる謎。日本語難しいw

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