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兄の話


職場に兄がいる。

兄、とはいうが別に実の兄ではない。
私は燦然たる一人っ子である。
まあ、所謂ごっこ遊びに過ぎないが、最近「兄」として扱っているこの男めちゃくちゃ仕事はできるがめちゃくちゃ変人だ。この男がこの職場を辞めると社員の存在云々通り越して職場の存続すら左右するほどである。
でもめちゃくちゃ変人。人目気にせずでかい声で歌っている。職場はお前の家の風呂ではない。

なぜこの男を兄と呼んでふざけているかというと、私の部署には実は私の母が一緒に働いている。私の古巣に母が来たような感じなのだが、まあ、これは説明するほどでもないので省く。
私の慣れ親しんだ職場に偶々母が舞い込んできただけだ。私は「私の職場だよ」と言ったのだが嘘だ〜と面接を受け普通に受かりこの部署に回されてきた。まあ私がな。上と仲良いからそら親子と分かれば回されるわな。
それはそれでサポートを任せられるので良い。まあ度々喧嘩はするのだが。

というわけで私の部署には同じ苗字が2人いる。
私は大概下の名前で呼ばれるので、母のことを苗字で呼べばいいのになぜか皆母のことを「ママ」と呼ぶ。男女問わず。ママ、お母さん、母、様々だがとりあえず母と呼ぶ。私のことは名前呼びのくせに。
ちなみに私は母のことを基本的には「お母さん」と呼ぶ人なのだが職場では一切呼んでない。
かと言って苗字で呼ぶのも白々しいので、母の名前をもじったあだ名で呼んでいる。

話が脱線したがここから、兄としている男がうちの母のことを「ママ」と叫ぶために娘である私がふざけて兄扱いをしている。
彼は管理のメインブレインだし私は自部署のメインなので連携もよくするわけだが内線の時も「何お兄ちゃん」とふざけている。仕事中である。
彼は私のことを基本的には「市井ちゃん」と呼ぶのだがここ最近は「妹!!!」と呼び出すようになった。何だこの職場?
言っておくとアットホームな個人経営の職場などでは決してなく、誰もが名を知っているような大手である。
ちなみに兄ちゃんの苗字も私たちと一文字も掠っていない。
傍目から見たらマジで滑稽だろうなと思う。

大の男がママと叫んでるのも私たちはいいがお前の尊厳は大丈夫なのか?とも思う。

私「兄ちゃん辞めたら管理部門死ぬね」
兄「俺が辞めたら妹が管理すればいいから」
私「もう二度と戻りたくないんですけどこんな胃痛のする部署」
兄「俺はいつでも大歓迎なんだけどなあ!!!!!!」

管理部門 かつては私もいた(兄と同時に在籍してはいない)がマジで胃痛もんなので勘弁願いたい