ももクロの『MOON PRIDE』を聴いて泣いた話

Moon Pride
あなたの力になりたい

2014年にリリースされたももいろクローバーZの『MOON PRIDE』を、7年たった今ちゃんと聴いて、泣いた話をします。きっかけは私のフォロワーさんの呟きから。その人はSound Horizonのジャンルで楽しく過ごしていて、たまたまタイムラインに流れてきた情報からこの曲がSound Horizon主宰のRevoさん提供のものだと知ったというだけ。
ももクロがセーラームーンのアニメ主題歌を歌っていたのは知っていたし、曲も聴いたことあった。現代風で強くて元気な曲だなくらいの印象もあった。でもRevoさん提供の楽曲と知った上で改めて曲を聴いた今、あまりにも優しくて暖かくて感激して泣いてる。
ちなみに私はSound Horizonは知ってるけど深く考察はしないタイプ。Revoさんはめちゃ難解な音楽を作る人という認識。さらに音楽的なこともわからないので、これから書くのは完全に私の主観で私自身の感想文。断定口調で書くけど、すべてに「私にとって」がつくよ。

まず、この曲は恋愛の気持ちを歌ったものではない。セーラームーンとセーラー戦士たちの絆の歌。

涙は頬を伝い 瞳は紅く燃える
稲妻のように激しく 誰かが愛を叫ぶ
例えどんな 暗闇でも 一人じゃないよね?
私達を 照らす Moonlight

水、炎、雷、愛が表すのはもちろんセーラームーンの最初の友人たち。彼女たちは最初からうさぎちゃんと仲が良かったわけではない。それぞれ周りと馴染めないところがあり、とっつきにくさのある登場だった。しかしうさぎちゃんと共に行動するうちに打ち解け、相互に影響しあい、運命で結ばれた仲間になる。
ここで描かれているのは一人だった女の子たちがお互いを認め合うことで強くなれる瞬間。見えてなかった部分が見えるようになった、友人の好きなところを見つけた様子を、月の光が照らすって表現してあると思う。

嗚呼 女の子にも譲れぬ矜持がある
それは 王子様に運命投げず 自ら戦う意志
Shiny Make Up 輝くよ 星空を集めて
ただ護られるだけの か弱い存在じゃないわ

サビ、これはもう強い。言葉が強い。そのまま。私が戦うんですっていう表明。でもAメロのおかげで、ひとりで戦うわけじゃないことがわかる。みんなといるから戦えるし、ひとりではか弱くてもみんなとなら強いっていう自信。

ただここで言っておきたいのは、誰かと一緒というのは元々あんまりいいイメージじゃないんだよな。特に小中学生女子の場合。コソコソ話したり一緒にトイレいったり女子はとにかく群れる。群れたりはぐれたりしながら複雑な人間関係を築いて日々を渡っていかなければならない。正直うんざりする。仲間の曲だと理解したとき、そのしんどさも同時に思い出させられた気がした。でもRevoさんのすごいところは、それって女の子の強さだよねってキラキラしたメロディーで包んでくれる。最初は変わってるな〜と思った人でも、友達になれたでしょって。確かにいいことばかりではなかったけど、気の合う友人もいた。ずーっと一緒にいたし同じものを見て大笑いしていた。誰かといると強くなれるとは、仲間への信頼と思いやりがあるということ。びっくりした。女の子特有のグループ気質がこんなにもポジティブに描かれることある?

悲しみの波に揺られ 怒りの焔に灼かれても
稲妻のように眩く 永遠の愛を誓う
例え今は 離れてても 独りじゃないよね?
私達を 繋ぐ Moonlight

また4人の友人が出てきたけど、これ、みんな成人してると思うんだよね。ここで大きく時間が過ぎてると捉えていいと思う。1番の歌詞が幼く見えるほど2番はあらゆることを経験してきた感じがする。それぞれ結婚したりでひとりひとり自分の人生を生きているんだと思う。でも独りじゃない。あの頃のように友人と毎日毎日一緒に過ごすことはないけれど、その経験があったから今の場所で自分でいられる。

嗚呼 女の子には無敵の武器がある
それは 弱さに寄り添う眼差しと 全て受け入れる強さ
Shiny Make Up 煌めくよ 星空に抱かれて
時を超えた絆が 私に勇気をくれる

ほら、完全に自分の武器を見つけて、ひとりで輝いて戦えるようになってる。きっとあの子もあの子の場所で強く生きているんだろう。そう思って前に進むんだよ。
えっ私のことかな?ってなるでしょ。子供の頃セーラームーンが大好きだった私が大人になってセーラームーンの曲を聴いてる今のことかな?少女時代を思い返すだけのコンテンツにしない…今でもセーラームーンが好きな気持ちを強く強く肯定してくれる歌詞…!本当にキラキラしている…!

恋しくて 切なくて 泣きたくなるよ
会いたくて 淋しくて 駈け出しそうな恋心(ハート)

そしてCメロ!こことその次で涙腺崩壊したんだよ歌詞の積み上げと、私が知ってる限りのRevoさんの楽曲の特性を意識したらもう…ただの恋愛ソングじゃない。
この曲の恋とは仲間への信頼を表すんだけど、ここの歌詞は1番の女の子と2番の女の子とでは意味が変わってくるんじゃないかなって思ってる。
1番の女の子は、仲間といるときの切なさ。5人とも大の仲良しだけど性格も違うし使える技も違うし、こんなに一緒にいるのにどうして同じじゃないんだろうっていう気持ち。自己を確立する時期の悩み。
2番の女の子は、もう戻れないあの頃への切なさ。セーラームーンになりたかった自分…後悔とかはまったくないけど、20年の月日を思うと遠い気持ちになるものだよね。
ここまできて、セーラームーンとその仲間たちの歌詞が徐々に自分のものとなっていく。淋しさを抱えながら戦う女の子が私に重なっていく。

この広い宇宙で 何度生まれ変わっても
あなたに恋をする

そして、セーラームーンからのメッセージ。20周年でアニメがリメイクされたとき、昔のアニメを見返したとき、あるいは娘がセーラームーンを見ているというような世代を越えて受け継がれたとき、物語が始まるたびに、セーラームーンは私に恋をしてくれる…!!王子様に頼らない女の子にとって、恋とは強い想いを示す言葉。セーラームーンは今の私にも味方でいてくれること、ずっと応援してくれることを歌っているんだよ!!!

Revoさんが作る曲は難解と言ったけれど、リスナーを意識しているからだと思うんだよね。読めないと評判の歌詞を読み、積極的に音を聴く人たちに向けて作られてる。音楽作ったよ聴いてね、じゃなくて、これを聴いたらこう思ってくれるんじゃないかなってリスナーにすごく期待をして音を届けてくれてるような。
だからこの『MOON PRIDE』がRevoさんだって知ったとき、こんなに簡単な日本語で、普通に読めるし、もしかしたら私にもなにか受け取れるんじゃないかって…思って…読んでみたら…ドストレートに「あなたに恋をする」が胸に刺さりました……泣いた。
Revoさんセーラームーンなのかな…いや…それよりも…私のことを知ってるのかな…私はRevoさんを知らないのに…

Shiny Make Up 羽ばたくよ 星空の彼方へ
罪が廻る世界でも 未来を信じられる

これだけ自分語りマシマシで好き放題喋っておいてなんだけど、「罪が廻る」というのがよくわかってない。「罪」も「廻る」もRevoさんのSound Horizonの楽曲でよく出てくると認識してるんだけど、そこで歌われる、人の生死に関わる秘密みたいなものはこの曲には合わない。セーラームーンが戦ってるものを言ってるのかなあ?とも思ったけど、これだけ女の子の気持ちを歌っている中でここだけ他人事のような、なんか浮いてる感じがして謎。でももしかしたらこの「罪が廻る世界」というのはSound Horizonの世界を少し覗けるフレーズとして入れてあるのかもしれない。さっきも言ったように、リスナーのことを思ってるはずだから。Sound Horizonの元々のファンがももクロを聴いたときに、ここにRevoいますよって合言葉のように添えてあるのかもしれない。

――だから
Shiny Make Up 戦うよ 星空を纏って
新しい伝説が 今ここから始まる
La La Pretty Guardian SAILOR MOON

良い曲だなって思った気持ちが冷めないうちに、勢いのままたくさん書いてしまった。言いたいこと全部言った!

改めて本当に、素敵な曲でした。Revoさんにしか作れない音楽で、ももいろクローバーZにしか歌えない歌で、私の心に響く曲です!

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