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おれとノクトと大五郎

※本稿にはFINAL FANTASY XV本編および各種DLC、小説FINAL FANTASY XVの決定的なネタバレが含まれます。未プレイ未読の方におかれましては今すぐブラウザバックしろ。早く戻れって。もう読むなって!戻れ!今すぐ!




ノクトはずーっと「だりー」「あちーな」「ねみー」「帰りてえ」「しょーがねえな手伝ってやんよ」「もう一回…もう一回だけ…」「相変わらずクールだな」「お前の正体がどうとか考えたこともねえし」っておれが思ってることと同じこと言ってくれるから、ずーっとおれはノクトだと思って旅をしてたの。
おれはノクトだからグラディオ、イグニス、プロンプト、そしてレガリアはゲームのキャラクターじゃなくておれの仲間だったわけ。そんな奴らと楽しく旅をして遊んで、まあいろいろあって、最後の戦いに挑んで。
で、最後のエレベーターでまードバドバ泣きながら写真を1枚選んだわけよ。200枚って制限あれシブいね。それなりの数に見えるけど毎日宿やキャンプで写真選ぶのが楽しくて、すぐ容量いっぱいになっちゃって。でも毎日楽しい思い出が増えてくからうんうん唸りながら厳選に厳選を重ねていって楽しかった思い出の結晶200枚ができあがる。その中から最後に1枚選べってさあ。そんなお前…無理だよ1枚だけなんて…って言いながらカエムの灯台前で撮った写真を選んだわけよ。
んでぐちゃぐちゃになりながらアーデンボッコボコにしてエンディング迎えて声あげて泣きながらStand by meとともに旅の思い出を思い返して…

最後に「やっぱつれえわ」ですよ。

あの最後のキャンプでおれはそんなこと考えてなかった。初めてノクトがおれが思ってないこと言った。ノクトはおれじゃなかった。
そしてタイトルロゴにノクトが現れて夜が明ける。
ノクトはおれじゃなかった。
ノクトはノクトだった。

その時おれの魂はルシス王国からパーッと離れて現実に戻ってきた。それからもオメガ殴り倒しに行ったり、クソダンジョンを潰しにいったり、結構FFXV遊んだけどもうおれはノクトじゃなくて画面のこっち側のプレイヤーとしてゲームを遊ぶことしかできなかった。
だからエピソードDLCはむしろすんなり受け入れられたのかもしれない。おれがノクトのときにノクトと離れていたときの話をそれぞれの視点から見るのは難しかったのかもしれない。まあここは二度と検証できないことだから知らんけどで済むけど。

しばらく時間が経って小説FINAL FANTASY XVが発売された。その中でノクトはこう言った「楽しいことも嫌なこともあったけど全てが大切な思い出だ。それをなかったことにしたくない」。
よく言ったノクト!
おれがノクトだったとき、200枚に厳選された中から1枚の思い出だけを持っていった。おれではそれが限界だった。だがノクトは2000年いやこの星の歴史の中生まれ生きて死んでいった全ての者の思い出を守ると!
おれにそんな真似はできねえよ…ノクト…お前こそが真の王だ(肩ポン)。

これはおれがノクトではできない。というのは気持ちの上でもそうだがシステム上も難しかっただろう。ゲームという媒体で操作キャラクターが「この星の歴史全ての思い出を見てその全てを守ると決心する」なんて表現はできない。小説だからこそノクトがおれとは違う真の王というところを見せられたのではないだろうか。DLC開発が中止されやむなく小説という形になったとはいえ、これはその境遇を逆手に取った素晴らしい逆転劇だったのではなかろうか。知らんけど。

かくして、おれはノクトではなくなり、俺の親友ノクトはノクトとして全ての思い出を守った。やがておれはノクトだったときに撮ってもらった写真のことは忘れていき、たった1つだけ最後に選んだ写真だけを心に、今日も胸を張って生きる。

そうかおれとノクトはバスチアンとアトレーユだったのか。

ノクトとルーナの新婚旅行はきっとルーナがリベルトの言葉を覚えていてガラードにいくんじゃろな。
とか。
夜の星と月の時代が終わり太陽が昇るのか。
とか。
ソルが新たな世界を冒険するエピソードソラーラことFFXV-IIがやりたかったなあ。
とか。
ファンタージエンでの冒険を終えて現実に帰ってきたおれは次の人にこのアウリンを渡すのだ。
などといい感じっぽいこと言ってこの妄言を終わらせる。

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