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俺の言葉を信用できるやつだけがレヴュースタァライトを7話まで通しで見ろ

少女歌劇レヴュースタァライト。俺は正直いけ好かなかった。だが第七話で手のひらを返した。その顛末をだらだらと書き記すのでこの文章を信じられる者はレヴュースタァライトを見ろ。


そもそもなぜ俺がこのアニメを見ようと思ったのかというと、インターネット・クラウドがこのアニメを勧めてきたからだ。インターネット・クラウドは高度に暗号化された集合知識体であり誰がとかどうしてとかそういった雑念めいた理由付けをしてこない。ただ俺は銀河連邦警察のエージェントとしてインターネット・クラウドによる「レヴュースタァライトを見ろ」という信号を受信したに過ぎない。

視聴前にインターネット・クラウドから送られてきた情報は女の子が演劇をするアニメであるということくらいだった。アクションが見どころというのもなるほど演劇でアクションというと思い当たるアニメはいくつかある。加えて「シンフォギア」だとか「プリティーリズム」だとかそういった補足情報もこのミッションに俺があてがわれたことも頷ける内容であった。

そしてレヴュースタァライトを見た(今後レビュースターライトでも許せ)

おれは第1話冒頭に戦慄した。主役となるであろう少女たちが「出席番号と名前」を言いながら十何人と現れるのだ。とっさにネギまを思い浮かべたエージェントも少なくあるまい。これはつらい。キャラクターが多いということは1クールアニメにおいて欠点でしかない。これからこれら全員にフォーカスを当てたエピソードが続き、物語は陳腐に完結するのだろうといった予感が十分にある。これをシンフォギアだの、プリティーリズムだのといって勧めてきたエージェントたちへの信頼が崩れてしまう。

1話後半にて作品のキャッチコピーである「アタシ再生産」のバンクと、演劇をオーバーアクションバトルとしたシーンが続き面目躍如かと思う。だがこのバンクと演劇バトルは毎話繰り返され、3話(現代アニメにおいて3話は視聴者が今後の視聴を継続するかどうかの試金石)において陳腐に成り下がる。だいたい舞台に上がるバンクシーンというものはこれから私は舞台の人になるという強い意図のあるシーンだというのに、この「アタシ再生産」では髪留めが解けてボタンになる程度のシーンでしかない。そのカットのスチームさは多分に評価できるが、だいたいこのバンクは4話、5話となってくると存在すらしない。唯一の評価点であったバンクすらなくなり虚無を見ることとなった。

展開される物語も陳腐の一言だ。やれ私とあなたのどっちがどうのだの、私はエリートだからお前はどうのだの、幼馴染だから私はお前のことをよく知っているか私には才能がないから努力してるのに才能があって努力してないお前のことがにくいだの。俺はエージェントだぞ!こんな話のアニメは無限に存在するしなんならそれを高いレベルで昇華した作品を何本も知っている!わざわざこの2018年平成最後の夏休みに見る価値があるのか!?そう思いながらも、俺にこのアニメを見ろと言ったインターネット・クラウドの司令を信じて腑抜けきった顔でポテチをバリボリとしながら見続けた。だいたいこのアニメ「どうなったらいいのか」「どうすれば正解なのか」「どうしたいのか」が全く見えてこない。これは物語上の欠陥と言っても差し支えない。

そして7話だ。

まさかここまでの陳腐さが伏線だったとは思うまい!アニメ6話分がどのような労力で作られているかある程度知っているだろう。白箱とかで!
つまりこのアニメは俺に「これまで何度も繰り返されてきた陳腐なアニメ」を見せて「あーこのアニメつまんねえな」と思わせることが7話の重要な構成要素となっているのだ。こんなおまえ……バカだろ!!しかしそれで得られたのはこのアニメ見ててよかったなという俺の気持ち、だけだ!
あまりにもリスクが大きすぎる、おれはインターネット・クラウドからの司令でなければこのアニメは1話の時点で「あーはいはいそういうアクションが面白いって人向けねー」といって切っていたし実際にそうしていた。いわゆる3話切りのルールに基づいて3話まで見たときは「3話で何も起きねえのかよ!?」となったしそれ以降は半分Twitterを見ながらただ流していた状態ですらある。そしてそのとき無料配信されてた6話まで、あくまでインターネット・クラウドの意思に沿って見ていたが、つまらんの一言だった。むしろ6話までの段階で「これシンフォギアみたいでおもしろいよ」とか「これプリリズみたいで面白いよ」とか言っていたエージェントたちはシンフォギアの、プリティーリズムの、何を見ていたんだ!という気持ちにすらなった。そして7話においてこれまでの陳腐さそのものが伏線だったと判明したとき、シンフォギアのようだ、プリティーリズムのようだとインターネット・クラウドへ報告していたエージェントたちへの信頼が根本から崩れてしまった。7話を見たおれは『彼女』と同調してしまったのだ。

レヴュースタァライト、あまりにもコンテクストが高すぎる。高すぎるコンテクストは不和を生む。7話において『彼女』と同調するためには6話までが見かけだけきれいな陳腐な物語でないといけないのだが、そのためのリスクがあまりにも大きすぎてこれまでもこれからもこのリスクを負って6話までを作る作品は存在し得ないだろう。そういった冒険的作品といった意味でいまおまえはレヴュースタァライトを見るべきだと言いたいのだが、これは物語づくりをしているものでないと理解できない次元のものなので、6話までにこのアニメつまらんなとおもっても7話まで見るという覚悟をしたものだけがいまから通して見るべきだ。なお8話以降に何が起きても当局は関知しない。

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