事業再構築指針の分かりやすい解説

事業再構築補助金を受けたいなら・・・

2021年話題の補助金制度である事業再構築補助金、現時点では公募は始まっていませんが、要件の一つに「事業再構築指針に基づいて事業計画を作ること」というのがありまして、その事業再構築指針がなかなか発表されないでいました。

この事業再構築指針、3/17にようやく発表されたわけですが、これが非常に複雑で分かりにくい!とネット上で大きな話題になっていました。そこで今回、この事業再構築指針を分かりやすく解説していきたいと思います。

事業再構築の5つの類型は3+1+1で理解

事業再構築指針には、事業再構築の5つの類型として新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編の5つを挙げています。

文字面だけだと本当に分かりにくいのですが、前の3つ、新分野展開・事業転換・業種転換が一括り、業態転換で一括り、事業再編で一括りの3+1+1で理解すると分かりやすいです。

新しい事業に挑戦するのが「新分野展開・事業転換・業種転換」
事業のやり方を大きく変えるのが「業態転換」
これに加えて会社法上の組織再編行為を行うのが「事業再編」です。

分かりやすく、申請しやすい順に解説していきたいと思います。

一番申請が楽なのは「業態転換」

この3つの括りのうち、最も当てはまりやすく、申請が楽なのは「業態転換」だと思います。

製品の製造方法や商品・サービスの提供方法を、新規性のある製造方法・提供方法に変更することが求められており、単に量を増やすとか、過去にやっていたやり方の復活だとか、ちょちょっと変えただけのナンチャッテ事業再構築だとか、そういうものでなければよし、とする制約の緩い類型です。

ただし、製品を製造する場合は、製品自体が上記とは別の新規性が必要とされており、過去に製造した実績がなく、主要な設備を変更する必要があり、競合他社の多くが既に製造している製品であってはならず、定量的に性能の違いが分かることといった条件が必要です。これは製造業向けに書かれたものと言えます。

また、商品またはサービスを提供する場合は、既存設備の撤去や既存店舗の縮小などを実施するか、あるいは非対面化・無人化・省人化・自動化・最適化などをデジタル技術を活用して行わなければ、事業再構築とは認められません。これらは製造業以外の企業に向けて書かれたものです。

単に楽天に出店するだとか、とりあえずテイクアウト始めますだとか、そういうものは不採択になる可能性が高そうですね。

新分野展開・事業転換・業種転換はひとまとめでよし

新分野展開・事業転換・業種転換の3類型はひとまとめで理解しても大丈夫です。新規性のある製品を製造したり、商品・サービスを提供したりする必要があり、それを新規性のある市場に投入することを、事業再構築指針では事業再構築と言います。

新規性のある製品・商品・サービスというのは何か

さて、ここで「新規性のある商品」「新規性のある市場」という聞きなれない言葉が出てきました。これはキチンと定義されている言葉ですし、重要単語ですのでキッチリ解説していきます。

新規性のある製品・商品・サービスというのは何かというと、自社で過去に扱ったことがなく、それを製造したり提供したりする設備や施設がこれまでとは異なるもので、競合他社の多くが既に製造したり提供しているわけではないものであり、また製造業の場合は定量的に性能が違う、ということも要件に含まれます。

新規性のある市場とは何か

次に「新規性のある市場」です。

これは、自社の既存の顧客層とは異なる部分が大きい市場のことです。全く同じであってはいけないし、また既存の顧客層の一部であってもいけません。これまで顧客層にしてこなかった新しい層を対象にしなければいけません。

新分野展開・事業転換・業種転換の違いは?

前章までで説明してきた新分野展開・事業転換・業種転換の3類型ですが、これまで一括りにしてきたこの3類型の違いについて解説していきたいと思います。

この3類型の違いはカンタンで、これまで書いてきた事業再構築を実施した結果

売上構成比の最も高い業種や事業が変わらない(ただし事業再構築によって行う分野の売上が総売上の10%以上になる)ものを新分野展開

売上構成比の最も高い分野の業種が変わるものが業種転換

売上構成比の最も高い分野の業種は変わらないが、事業が変わるものが事業転換

と言います。ここでの業種とは、日本標準産業分類に定める大分類のことを指し、事業とは、日本標準産業分類に定める中分類以下のことを指します。イマイチ分かりにくいですが

例えばラーメン屋さん(大分類:飲食・宿泊サービス業、中分類:飲食店、小分類:専門料理店、細分類:ラーメン店)を営む会社が事業再構築を行ったとして

最終的にラーメン店の売上が最も大きくなる場合は新分野展開に

最終的に飲食・宿泊サービス業以外の売上が最も大きくなる場合(例えば製造業になる場合)は業種転換に

最終的に飲食・宿泊サービス業の売上が最も大きいけども、一番売上が大きいのはラーメン店ではなく別の事業(例えばホテル、お寿司屋さん、うどん屋さん、お好み焼き屋さんなど)になる場合は事業転換に

それぞれ該当します。

一番めんどくさい事業再編

事業再編は、会社法上の組織再編行為を行う必要があります。合併・会社分割・株式交換・株式移転・事業譲渡などを行わなければならず、さらにこれまで述べてきた事業再構築を実施する必要があります。

非常に難易度が高く、普通の中小企業には馴染まない可能性が高いといえます。中小企業卒業枠やグローバルV字回復枠の説明は割愛します。対象となる方は弊社までご連絡ください。個別対応します。

やっぱり難しい事業再構築指針

今回、相当頑張って分かりやすく説明してきましたが、それでもなお、相当複雑なものになってしまったと思っています。実際、これを正しく理解して正しく申請できる中小企業がどれだけあるのでしょうか?悲観的な気持ちになります。

しかし、それでも事業の立て直しが必要だ、と思う方は、中小企業診断士を味方に付けることをお勧めします。中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格であり、補助金申請のサポートに対し強みがあります。

弊社は中小企業診断士のプラットフォームとして中小企業診断士を紹介できますので、申請をお考えの方はこちらからご相談ください。会社の個別事情に応じた中小企業診断士をご紹介できると思います。


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