連載小説【夢幻世界へ】 4−4 イマージュとともに
【4-4】
22はコップの水を一口飲んだ。22がどこから来たのか誰も知らない。いつの間にかこの世界の自警者として頭角を現すと、その魅力的な風貌とともにフォロワーが殺到した。ショートカットの赤毛に燃えるような瞳、滑らかで女性的な身体を身に付け、それでいて最大級の火力を持つ武器と硬化したバリアをいとも簡単に扱う姿は、「稀代の戦う女神」「夢幻世界の阿修羅」と讃えられていた。
「このPCコンソールは使い物にならないわね。hackathonでもして、イノベーションが必要なのではなくて?旧式のインターフェースでは新しい敵に対応できないわ」
「なかなか予算が下りなくてね」賢志郎が言い訳がましく告げる。「これでも昔は最高級だったんだ」
「イマージュを構築する時の集中力が足りないわ。やる気あんの?このままでは、ヤンキー共の追撃もままならなくなってくるわよ」
「上層部からの情報では、今日にもまた刺客が送り込まれるそうだ。今度は複数、女もいる」
「ベロニカね。シンガポールから聞いてる。ややこしい石鹸を使うそうよ」
「彼らの狙いはこの世界構築に関わる何かを盗み出すこと。私達も知らない何かをえらく血眼になって探しているらしいよ」ニッキがベーグルを齧りながら言う。
「出し惜しみをして怪我をしないようにね、みんな。この世界の平和は、私達、DMにかかっているのよ」
「はいはい、22、わかってますよ。しっかり虫取りしますから、少しは休んでくださいね。でもなんで、ドリーム・マン、なんだろうね、女性名詞がないのは失礼だよ」
「京都人の考えることはわかりません。では、皆さん、出掛けます、合言葉を」
「合言葉を」一斉に唱和が始まる。
「イマージュとともに」
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