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読書ノート 「永久平和のために/啓蒙とはなにか」 カント 中山元訳 

 

 啓蒙(暗さを開く)、英語ではエンライトゥンメント、フランス語ではリュミエール、ドイツ語ではアウフクレールング。啓蒙の標語があるとするならそれは、知る勇気を持つこと、自分の理性を使う勇気を持つことを促す。

 怠慢と臆病を追いやること、それが「成人」するということ。

 人々を楽な未成年の状態においておくために、様々な法律・決まり事が設けられている。これが足枷。公衆の啓蒙には様々な反発があり、時間がかかる。公衆が理性を使う自由があれば、それは可能である。

 生き物はいつかその目的にふさわしい形で完全に発達するようあらかじめ定められている。人間において、理性の利用が完全に発達するのは、類の次元においてである。自然は人間に、動物からはみ出た部分、本能からかかわりのない箇所で、自己の理性に拠って獲得できる幸福や完璧さを実現することを指向させている。対立に拠ってそれはドライブさせられている。そこに悪の起源もあるが、これは自然の摂理である。そのなかから人間は、市民社会を設立する。人間が最後に解決すべき課題は、上位たる支配者をどこから、誰が就くかということ。概念、経験、意志が満たされるもの、それが上位の支配者となるであろうが、これらが揃うのは極めて困難である。エピクロスの言うような僥倖がそのためには必要かもしれない。自然の隠された計画、すなわち完全な国家の設立には、世界市民の樹立が必要である。完全な市民連合を作り出すために、自然は促進する。

 すべての悪徳は、自然と道徳の対立から始まっている。文化が自然となること、これこそ人類の道徳的な規定の最後の目的にほかならない。

恒久平和・永遠平和のために

戦争原因の排除。

国家を物件にすること(売り買いすること)の禁止。

常備軍の廃止、軍事国際の廃止。

内政干渉の禁止。

卑劣な敵対行為の禁止。

自然状態(戦争状態)の廃棄。

どの国の市民的な体制も、共和的なものであること、共和的な体制の維持。

国際法は、自由国家の連合に基礎を置く。

世界市民法は、普遍的な歓待の条件に制限される。

ツム・エーヴィゲン・フリーデン(永久の安らかな眠りのために)

カズイスティック(決疑論)

アーヘンの和約

スカンダル・アケプトゥム(認められた蛮行)とスカンダル・ダトゥム(与えられた蛮行)

ギリシア歴のカレンダエ(いつまでも来ない日)

ヴァンディレッシュグレーツ伯爵

アイオーン(人間よりも高次の理性的な存在者)

マレ・デュ・パン

フーゴー・グロティウス

エーメリッヒ・ド・ヴァッテル

「あなた達は皆、慰めるふりをして苦しめる」(ヨブ「ヨブ記」)

ウェルギリウス『アエネーイス』

「汝は災いに屈せずに、更に大胆に進むが良い。されど汝は逆運に、決してたじろくことなかれ、むしろ運命打ちこえて、より大胆に進むべし」

バルバリアの海賊

砂糖列島(カントの時代における西インド諸島の呼び名)

コンクス・オムパクス

ゲオルギウス

ラ・クローズ

ホラティウス神父

イカロスはダイタロスの息子

摂理

命じれば常に従う(セネカ)

グリュプスと馬をかけ合わせる

バウムガルテン「単独の原因は助力しない」

オスチャーク人(ハンティ)西シベリアの狩猟漁労民

サモイエード人

ネネツ族

フエゴ島

オナ、ヤーガン、アルカルフ(ペシュレ)

ブーガンヴィル

オビ河

カラ海

レナ川

エニセイ湾

セネカ『道徳書簡集』

F・ブーテルヴェック

バーゼル条約

秘密条項はブラックユーモア

「何人もその力以上に義務を負わず」(『ローマ法学説集』)

「私はあなた方を遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」(『マタイによる福音書』)

 定言命法…経験的な目的の実現を目指す仮言的な命令とは異なり、いかなる目的なしでも客観的に必然なものとして、誰もが認める命令。これを否定することは自己矛盾をもたらす。

「権利はなされよ、世界は滅びよ」(アウグスティヌス)

「正義はなされよ、世界が滅ぶとも」(ドイツ皇帝フェルディナンド1世)

ライプニッツ『弁神論』悪と神の関係において、神を弁護する議論

 カントは、道徳的な定言命法の実在性を信じることができなければ、人間の悪は弁護することのできない性質のものとなってしまうと考えていた。人間の悪の起源とその性質については、「人類の歴史の憶測的な起源」とともに、いまなお考えるべき重要な問題。

 超越論的なもの…「対象そのものではなく、対象一般についての人間のアプリオリな概念にかかわるすべての認識」(『純粋理性批判』)

 哲学とは学ぶべきものではない。哲学的にものを考えることこそが、哲学の営みである。

カルロ・ギンズブルグ『チーズとうじ虫』

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