読書ノート 「日本歴史学会編集 人物叢書 明恵」 田中久夫
ありゃこれは一度前に借りていましたか。前回きっちり読んでないしまあ、いいか。
摧邪輪(ざいじゃりん)とは、鎌倉時代初期の建暦2年(1212年)、華厳宗中興の祖といわれる明恵上人高弁が法然が撰述した『選択本願念仏集』に対し、それを邪見であるとして反駁するために著述した仏教書。全3巻。書名は「邪輪(よこしまな法説)を摧(くだ)く」の意。
つまりは明恵は、「南無阿弥陀仏」を唱えるだけで、誰でも救われますよと説いた法然を、いやあ、それじゃあ自分自身を向上させようという「悟りを求める心」をないがしろにしてしまいませんか、それってどうなんでしょう、と言っているのである。基本、真面目な人なのです、明恵は。
法然の立場を擁護するなら、人は救いようのない不幸な環境にいる人もいる、そして自分自身でその闇の底から抜け出る力を持たず、弱々しく死んでいくことも多い。そのような悲劇的な人々にすら、救いを与えるために、誰でも己を動かしてできる一番簡単なことは発話であり、その一番簡単な呪詛を「南無阿弥陀仏」とし、救えるように設計した。幻のような救いの世界を現出させたのである。同じことを言うようだが、その救いは幻なのである。
明恵は、その立場からみると、健全すぎるのかもしれない。彼の根本には、どんな状況であっても人は自らの意思で、救いを自らのものにできるという深淵なる信念がある。彼の人生を振り返ると、その強さを育む道筋が垣間見える。明恵は強いのである。だいたい、主体的に夢を見続けるということを一生涯ずっとできるような人間が、弱いわけがないではないか。しかし世の中はそんな強い人ばかりではないのである。
というわけで今回もしっかりは読み通せていませんなあ。まあ、いいか。
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