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連載小説【夢幻世界へ】 断片1 プロティノスの世界

【断片1】



「そうね、むこうではみんな透き通っていて、影なんてどこにもないのよ。影がなかったら立体的じゃないわよね。でもたくさんのものがそこには『ある』の。不思議でしょ。

 そこは光が満ち溢れていて、息苦しいかと思いきや、そんなでもないの。ひとつひとつはあるんだけれど、どれもそのなかに他のものが含まれていて、言って見れば一心同体がいっぱいあるってことかしら。そう、涯(はて)らしきものは見えなかったわ。そのなかの小さくて可愛いものをよくよく見ていると、その中に宇宙が見えたわ。

 その宇宙をどんどんクローズアップして、中に入っていくと、最後の方には、見慣れた太陽系や地球、私たちの世界が見えてきて、そうするとやっぱりいるのよね、私が。私たちが見えてくるのよね、不思議」(彼女1)

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