気付き

重い猫背のせいか、時々全くといっていいほど枕が合わない日がある。
一日中寝転がる生活を数年もしているので、身体の構造がかなり歪んでいるんだと思う。
ずっとスマホを見ているから年中俯いた状態な訳で、そりゃあ身体だっておかしくもなる。

そういう生活を経て、三日月と同じ曲がり方をするようになってしまった頚椎は定期的に頭痛を呼び起こす。
そんな時は決まってバファリンを飲むんだけれど、効いてんだか効いてないんだかはよくわからない。

年に一度あるかないかくらいで、この症状の更に重たい版がやって来るときがあって、
それは吐き気とかも併発しているタイプなのでかなり厄介。
おまけにだいたい外出中に起きる。

経験上、寝不足や突然の運動などがトリガーになっているだろうということはわかるけれど、
正確な理由などはわからず、結局毎回救護室で30分ほど寝たら直るので、
病院に行っても偏頭痛としか言われようがない。
一度ちゃんと大きな大学病院的なところで調べたけどまあよくわからなかったし。

こういう、だいたいはわかったつもりでいるけれど
詳しいことはなにもわかっていない症状のような、
知っているつもりでいるだけで何も知らないこと、というのは身の回りにたくさんある。

日中玄関から射す虹の破片のような光は、
よく目にしているはずなのにその正体を説明できない。
真面目に理科の授業を受けていればわかるのだろうか?
きっとこうやって私はこれからも、
わからないことがわかるようになる機会より、
わかっていた気になっていたことが何一つわかっていなかったことを知ることの方が多くなっていくだろう。
そういうその場しのぎのわかったふりを積み重ねて今がある。

小さい頃から学生という時間はあっという間に過ぎ去るものだ、ということをいろんな媒体で目にしていて、
頭ではわかっていたつもりだったけれど、
わかったふりだけで何もしていなかったらあっという間に過ぎ去ってしまった。
青春の煌きは遅効性で、渦中の人間は本当のそれには気付かない。

そういう、頭では知っていたはずなのに本質的に知らなかったこと、というのはたくさんあるんだろうなあと思う。
でも気付くべきことを気付かないままに過ごすのは別に悪いことって訳でもなくて、
自分の中で適したタイミングでないと、ただ提示されるだけでは気付けない事が多いよな~とも思う。

例えば音楽を聞いていて、まったく自分の中に入ってこないなあと感じるとする、
その後しばらくして同じ作曲者が出した別の曲のよさに気づいた瞬間に、
今まで入ってこなかった過去のそれらの良さにも同時に気づいて、
視界がぱあっと開けるような感覚になる、という事は決して珍しい事ではない。
現に私も、そういう感じで本来好きじゃないなあと感じていたものが突然好きになった経験が結構ある。
それは他の分野にも通ずると思っていて、だいたいそういうのは流れに任せた方がきっと良い。

長い髪をばっさり切った日に、
足元にうつる自分の影が自分じゃないように見えて少し心が跳ねる、みたいな些細な気付きというのは
割と日常の其処彼処に紛れていて、
そういうことに少しでも多く気付けたら良いな~と思います

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