自販機のダミー

・自販機の中に立っているハリボテのダミーって、何度も誰かから選ばれ続けるのに、本物ではないからたった一人の手に渡ることは永遠になくて、ある意味でそれは「恋心を向けられ続けているのに絶対に叶うことはないし天涯孤独が約束されているような感覚」や「自分とは真反対に満たされ続けるドッペルゲンガーを目の前で見せられる感覚」に似たものを永遠に受けているということだから、それはただ産まれては物理的に落ちて飲み干されるだけの本物の飲料たちより遥かに寂しいことだと思いませんか?

・仲間たちと共に出荷されては選ばれるその日を共に待つ彼らと違ってダミーはその間もずっと一人きりで、選ばれていると錯覚しているけどその視線が向けられてるのはダミーではなく本物の飲料へのものだし、念願叶って半透明越しじゃなく直に人に手に取られても、それは自分を回収して捨てに来た業者!

・そんなのってないよ……………

・↑こんなことを考えていたら電車を乗り過ごしました。


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