公共の福祉で私有地が消えた話②

8歳くらいになったころ、またスーツを着た行政の人が来ました。

私の屋敷は高い塀で囲まれているのですが、塀の外も私有地でした。塀の外は緑が綺麗で、クヌギなど多様な植物が生い茂っていました。

私はその場所が好きで、小学校の頃、友達を呼び洞窟を作ったり、木を切って秘密基地を作ったり、夏はカブトムシを捕まえていました。

誰も来ない秘密の空間でした。小学校の夏休みも終わって、遊ぶ時間が減った時期のことでした。

私の秘密基地の周りに、沢山の大人が来るようになりました。数日見ていると、ブルドーザーとシャベルカーが来て、私の大好きなクヌギを全て抜き、私の秘密基地を破壊しました。とても泣きました。毎日頑張って作った基地も、沢山集めた丸い石ころも、おっきい石も全て重機で粉々にされました。泣きました。沢山泣きました。

そこが国の道になりました。
地域のみんなのために、私の秘密基地は消えました。

家の庭が、法律によって破壊される事が当たり前だと思って生きてきました。みんなそうだと思っていました。

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