Fujitsuka

99年生まれ/岐阜県不破郡垂井町出身

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99年生まれ/岐阜県不破郡垂井町出身

記事一覧

祖母の言葉と、寄せられた反応と… 私たちは“伝えることの価値”を見つけた

「え、あの時参加してなかったら、メイとも出会えてなかったんだ」 マコさん(野原真子)が感慨深そうに笑うと、メイさん(青木明衣)も呼応するかのように笑みを浮かべた…

Fujitsuka
2年前
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甲子園ベスト4の陰で… 打てなかったヒットと、高校野球の財産と

2019年8月。夏の甲子園。 岐阜代表・中京学院大中京(現・中京)は、優勝候補を次々と撃破した。 緻密な継投策で流れを呼び寄せ、終盤に試合をひっくり返す。 東海大相模…

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2年前
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刻まれた父の名前 祭りとともに、僕は大きくなった

同級生の声はため息交じりだった。 「曳やままつりが中止になったのは、戦争中と今のコロナ禍くらいかな。600年以上続けてきたのが、“コロナさん”で止まりました」 嘆…

Fujitsuka
2年前
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『ドラゴン桜』とは対極の担任 模試返却での言葉は人生の糧に

日曜はTBS系列のドラマ『ドラゴン桜』を観る。 阿部寛さん演じる桜木建二が、落ちこぼれの高校生を東京大学へ合格させるストーリーだ。 6月6日の放送では、東大専科の生徒…

Fujitsuka
2年前
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「3密も大事やけど…」コロナ禍に響くけんたろう先生の教え

中学校を卒業して、もう6年が経つ。 それでも、多くの先生方との関係が続いている。とても幸せなことだと思う。 パソコンの画面に映るけんたろう先生もその一人だ。僕たち…

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3年前
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「中京大中京を倒した男が、迷い続けて見つけたもの」今津貴晴

2017年10月24日。 バスから降り立った勝利の立役者は、歓喜の出迎えに目を奪われた。 校舎の窓から顔を覗かせた生徒が、駐車場のヒーローたちへ叫ぶ。 「おめでとう!」「…

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3年前
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「支えを力に!フィンランドで闘う挑戦者」杵渕周真(アイスホッケー選手)

17歳で選んだ道 北欧の地で続ける挑戦杵渕周真(きねぶち・しゅうま)(23)は根っからの挑戦者だ。 2014年。 高校2年(苫小牧東高校)の夏にフィンランドへ留学した。目…

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3年前
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「諦めることを、諦める。」笠川真一朗(スポーツライター)

 「諦めなければ何でもやれるって、本気で思ってるんで」——笠川真一朗さん(26)の言葉には、熱がある。真剣な表情で、言いよどむことなく言葉を口にする。関西弁を交え…

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3年前
9

「写真が原稿の切り口となる」武山智史(カメラマン兼ライター)

 真っ黒に日焼けをした武山智史(たけやま・さとし)さんは、自身を「カメラマン兼ライター」と名乗る。腕の皮が日焼けでめくれているのは、この夏もカメラを手にとり、取…

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3年前
13

言葉は人を幸せにするかもしれない

言葉の力に気付いたのは、中学生の頃でした。 僕の学年は「語り合う学校」を目指し、積極的に言葉を伝え合う風土をつくろうとした世代です。声が揃わない合唱、淀んだ人間…

Fujitsuka
3年前
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祖母の言葉と、寄せられた反応と… 私たちは“伝えることの価値”を見つけた

祖母の言葉と、寄せられた反応と… 私たちは“伝えることの価値”を見つけた

「え、あの時参加してなかったら、メイとも出会えてなかったんだ」

マコさん(野原真子)が感慨深そうに笑うと、メイさん(青木明衣)も呼応するかのように笑みを浮かべた。

2人は上智大学の学生団体「Go Beyond」に所属している。
マコさんとメイさんは、その団体で共に代表を務めてきた。

周りに流されているような人間で…2018年初夏。
平昌五輪を訪れた上智大学の学生により、「ソフィア オリンピッ

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甲子園ベスト4の陰で…  打てなかったヒットと、高校野球の財産と

甲子園ベスト4の陰で… 打てなかったヒットと、高校野球の財産と

2019年8月。夏の甲子園。
岐阜代表・中京学院大中京(現・中京)は、優勝候補を次々と撃破した。

緻密な継投策で流れを呼び寄せ、終盤に試合をひっくり返す。
東海大相模や作新学院を下し、ベスト4へ進出した。

しかし、勝ち上がるチームの陰で、一人の選手がもがいていた。
3番打者を任された増田大晟。左の長距離砲として、岐阜大会では2本の本塁打を放っていた。

勢いそのままに乗り込んだ甲子園。その夢舞

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刻まれた父の名前  祭りとともに、僕は大きくなった

刻まれた父の名前 祭りとともに、僕は大きくなった

同級生の声はため息交じりだった。

「曳やままつりが中止になったのは、戦争中と今のコロナ禍くらいかな。600年以上続けてきたのが、“コロナさん”で止まりました」

嘆き声の主は水谷光佑さん。僕の中学の同級生だ。
幼い頃から、祭りの舞台を踏んできた。22歳になった今も、地元で祭りを支え続けている。

祭りへの想いを問われると、水谷さんは堰を切ったように語り出した。

「俺、思ったことがあるんやけどさ

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『ドラゴン桜』とは対極の担任 模試返却での言葉は人生の糧に

『ドラゴン桜』とは対極の担任 模試返却での言葉は人生の糧に

日曜はTBS系列のドラマ『ドラゴン桜』を観る。
阿部寛さん演じる桜木建二が、落ちこぼれの高校生を東京大学へ合格させるストーリーだ。

6月6日の放送では、東大専科の生徒たちが「東大模試」を受験する様子が描かれた。初めての模試に、ある女子生徒は自信を失いそうになる。人生で何かを頑張ったことがないというその生徒は、東大受験を思い悩んでしまう。

模試の返却前、桜木はその生徒に「お前は生まれ持っての幸運

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「3密も大事やけど…」コロナ禍に響くけんたろう先生の教え

「3密も大事やけど…」コロナ禍に響くけんたろう先生の教え

中学校を卒業して、もう6年が経つ。
それでも、多くの先生方との関係が続いている。とても幸せなことだと思う。

パソコンの画面に映るけんたろう先生もその一人だ。僕たちの学年を3年間担任して頂いた。

2020年12月上旬。
コロナ禍での学校現場のインタビューを求めると、けんたろう先生は二つ返事で快諾してくれた。

「久しぶりやね。ここは2階の教室です」

黒縁メガネのけんたろう先生は、相変わらずラジ

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「中京大中京を倒した男が、迷い続けて見つけたもの」今津貴晴

「中京大中京を倒した男が、迷い続けて見つけたもの」今津貴晴

2017年10月24日。
バスから降り立った勝利の立役者は、歓喜の出迎えに目を奪われた。

校舎の窓から顔を覗かせた生徒が、駐車場のヒーローたちへ叫ぶ。
「おめでとう!」「すごいぞ!」
カラフルな色彩を放った声が、田んぼに囲まれた公立高校に弾けた。

こんなことあるんだな…。
キャプテンの今津貴晴は、その時初めて、数時間前の勝利を実感した。

☆   ☆   ☆

岐阜県立大垣西高校。ほとんどの生

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「支えを力に!フィンランドで闘う挑戦者」杵渕周真(アイスホッケー選手)

「支えを力に!フィンランドで闘う挑戦者」杵渕周真(アイスホッケー選手)

17歳で選んだ道 北欧の地で続ける挑戦杵渕周真(きねぶち・しゅうま)(23)は根っからの挑戦者だ。

2014年。
高校2年(苫小牧東高校)の夏にフィンランドへ留学した。目的は異文化理解だったが、受け入れ先のホストファミリーの計らいもあり、国内のジュニア4部リーグでプレーした。翌年6月の帰国予定日が迫る一方、ジュニア2部の試合を観戦した杵渕は、ある決意を固めていた。

「プレーのスキルやトレーニン

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「諦めることを、諦める。」笠川真一朗(スポーツライター)

 「諦めなければ何でもやれるって、本気で思ってるんで」——笠川真一朗さん(26)の言葉には、熱がある。真剣な表情で、言いよどむことなく言葉を口にする。関西弁を交えた勢いのある語りには、笠川さんの真っ直ぐな人柄が滲(にじ)み出ているようだった。
 笠川さんは異色の経歴の持ち主である。龍谷大平安高校野球部でマネージャーを務め、3年夏に甲子園に出場。その後は立正大学へ進み、野球部のマネージャーを続けた。

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「写真が原稿の切り口となる」武山智史(カメラマン兼ライター)

「写真が原稿の切り口となる」武山智史(カメラマン兼ライター)

 真っ黒に日焼けをした武山智史(たけやま・さとし)さんは、自身を「カメラマン兼ライター」と名乗る。腕の皮が日焼けでめくれているのは、この夏もカメラを手にとり、取材に駆け回った証だろうか。
 武山さんは身振り手振りを交えながら、カメラマンとライターの両方に取り組む自身の経験を語った。ここでは、武山さんの講義を5つの項目に分けて書き起こす。

(熱心に語る武山智史さん 撮影=筆者)

1.「カメラマン

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言葉は人を幸せにするかもしれない

言葉の力に気付いたのは、中学生の頃でした。

僕の学年は「語り合う学校」を目指し、積極的に言葉を伝え合う風土をつくろうとした世代です。声が揃わない合唱、淀んだ人間関係、行き詰まった学級活動。そんな学校生活のなかで、それぞれが言葉で伝え合うことを大切にした世代でした。

中学生は大人の世界へ半歩ほど足を踏み入れる年ごろです。
背伸びをして何かを語ることやキレイな言葉を口にすることに、抵抗感を抱く年齢

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