それから

大切な人を失った僕は
またその人に会いたいと思った。
どうすればその人と再会できるのかをときどき考えた。

僕はその人が住んでいたアパートに行ってみた。
アパートは白い壁にやや年季が見て取れる風貌で無機質に立っていた。ここもだいぶ住宅地が増えた。
しかしそこはあの人がいたときとなにも変わらず、時間だけが過ぎていて、あの人というピースだけが空白の世界だった。その空白はほんの些細なもので、僕以外は特に誰も何の違和感もないみたいだ。

家の裏手には公園があって、誰もいない公園のベンチに僕は座って考えた。

もし生死を超越した世界があるとしたら、あの人はいま僕を見ているだろうか。曇り空を仰いでもそれは確かめようがなかった。もしそういう世界がなかった場合、僕はもうあの人に再会することができないのか。そう考えると最期に会えなかったこと、話ができなかったことが本当に

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