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国連本部でのインターン②仕事内容/Networking

2023年9月1日から翌年2月末まで、Department of Operational SupportにてTrilingal Partnership Projectのサポートを行っています。国連PKOの行う平和維持活動の能力構築訓練を実施する部署です。

Outline
・能力構築トレーニングのAdministration
・国連事務次長の会議・外交サポート
・予算獲得やプロジェクト計画のための各国代表部との調整
・チームマネジメントのためのサポート
・他部署や他機関の方とのネットワーキング

★能力構築トレーニングのAdministration
TPPチームでは年間20個前後、PKO隊員派遣のためのCapacity Building Trainingを運営します。私のここまでの任期内だと、インドネシア・ブラジル・カンボジア・ケニアでのOnsite Training、日本・ウガンダでのOnline Trainingが実施され、Program Officerの下で調整業務のサポートを経験しました。契約書に関するやり取りや訓練準備/運営はProgram Officerが行い、その他のロジ周りや予算との紐づけはAdmin Staffが行いますが、日本とのやりとりでは、見積書の翻訳や細かな仕様調整などのお手伝いも行います。主なタスクは下記のとおりです。

訓練開始前
: Training Staffや訓練生の移動支援(航空券や移動手段、滞在場所、実施場所の手配)
: 食事やインターネット、訓練に使用する機器の情報収集と調達
: 訓練支援業者の選定/契約
: 通訳さんの契約手続き
: トレーニングMaterialの調整
: 訓練生の選抜
: 契約書(Host Country AgreementやLetter of Agreement)に関する調整
: Opening/Closing Remarksの調整
: 評価指標や引用するBudgetの登録

訓練中
:広報用の写真撮影、出欠確認、スライド資料の調整
:
当該国の関連機関への訪問日程調整

訓練後
:Post Course Surveyの作成/収集/分析
:Certificationの作成、送付
:After action reviewの実施
:Project reportの作成
:通訳、支援業者の評価書作成

:Invoiceの登録

太字の部分が主にインターンが関われる部分ですが、調整を進めるための会議での議事録やトレーニング中発生する出来事への対応も重要な役割です。Program Officerは現地に出張するため、開始前になるべく多くの背景情報を聞き出し、プロジェクト全体の流れを理解することが大切だと感じました。

★国連事務次長の会議・外交サポート
DOSのトップである国連事務次長やDirectorクラスの職員は、年間通して多くの国際会議に参加し、世界中を飛び回ります。彼らの出席する会議に関するTalking Point(主張すべきポイント、想定される質問に対するAnswerなど)とBackground Note(過去のやりとりの流れ、相手側出席者の情報など)の作成は、各チームで役割が分担され、共同編集で作成していきます。インターンとして貢献が期待される部分は過去の会議や各国のPledgeでの発言をピックアップしてまとめることです。

General AssemblyやPeacekeeping Ministerialなどの大きな会議では文書のファイリングや各国代表団との会議スケジュールの調整、進行中の会議の要約などのタスクも任されます。各国各機関の歴史的背景、直近の外交における関係性などアカデミックな専門性が問われるタスクで、インターンとは言えども国際政治における重要な意思決定の場に責任感や終わった時の充実感も味わえます。また、事務次長が関わった各国閣僚の人員配置転換や不幸があった場合のOfficial Letterや季節ごとのあいさつ文などの作成業務もピンポイントに入ってくるので、日常的に国際政治のニュースに対してアンテナを張っておく必要があります。

★予算獲得やプロジェクト計画のための各国代表部との調整
先述の国際会議などでの宣言や決議があった後、各国の国連代表部があるニューヨークでは動きが活発になります。平和維持活動への資金的・技術的・マンパワーの貢献に関する発言があった国に対しては(あるいはその国から)すぐにアプローチを行い、具体的な協力体制の議論やプロジェクト計画へとフェーズが移ります。うまくいけば、翌年以降に実際に予算がプロジェクトに紐づき、2年後3年後に実際に実行に至る流れです。日時や場所の調整は基本的には、チーム長であるSenior managerと代表部とのやり取りになりますが、当日のセッティングや資料準備、議事録などがインターンの仕事になります。普通に働いていても絶対に会えないレベルの方々にお会いできる点、プロジェクトや政策が誕生する瞬間を見られる点はこのタスクの醍醐味であり、ニューヨークならではの経験ともいえるでしょう。年末になると特に関係性が深い国の代表部や領事からbriefingに招待されることがあり、私も実際にいくつかの機会をいただき、豪華な食事と絢爛な建物を堪能しました。限られた招待客とそのパートナーが正装で立食パーティを行う様子は、まるで映画のような光景でした。

★チームマネジメントのためのサポート
各チーム7~10人くらいの数で構成されており、たくさん出張が入るため全員が揃うことは少ないですが、毎週進捗報告と中長期的戦略(対外的に公表されるFactsheetやFramework Document)のアップデートに関する会議がそれぞれ週1回あります。その他にもインターチームでの会議やDOS全体での会議も月単位で行われ、それらの資料作成や議事録をインターンが任されます。これらの機会に担当の上司以外の職員や他チーム他機関の方々との関係性を構築することは、将来のキャリア戦略において重要な機会であり、新たなタスクをもらえるチャンスにもなります。年間カレンダーの作成やWebサイトの更新、プロジェクト進捗表の出力・編集などのタスクを通して、タスクが振られる前にどのようなサポートができるかを把握することは、信頼を勝ち取るためにも重要な動きです。Microsoftの各ツール(Planner:進捗管理/Power BI:データ分析/Forms:アンケート収集) を使いこなし、Webやスライドのデザイン作成ができるとこれらの業務は楽になります

★他部署や他機関の方とのネットワーキング
インターンもニューヨーク国連日本人職員会に参加することが可能で、食事会や休日のイベントを通じてたくさんの方と知り合えます。代表部の方も含めると200名前後の日本人が勤務しており、公開される名簿を通じて個人的にメッセージのやり取りも行えます。職務内容はもちろん、ニューヨーク生活やキャリアに関する情報を得られる貴重な機会で、比較的年齢が近いJPO派遣の人たちとは特によくCoffee breakやlunch meetingを通して相談に乗ってもらっています。外務省や防衛省、JICAなどの出身者が割合的には多い印象があり、実際国連に出入りしていても、日本は国連に多くの資金を提供しているため、日本人として資金調達における交渉役としての役割を期待され、その内情を知るバックグラウンドの方々が強いのも納得できます。いろんなお話を聞いた中でも、国連職員として採用される方には強力な根拠があり、性別・出身地・年齢・専門性といったチーム内バランスにプラスして、任される業務内容と関わるステークホルダーとの関係性の強さが総合的に判断されるという点は共通している部分でした。

まとめ:携わる業務の社会的意義の大きさ、それらをこなす同僚の方々のレベルの高さ、競争の厳しさ、組織内外の政治の複雑さ、日々感じる成長と実力不足、、すべてリアルで、実際飛び込んだからこそ得られることで、今後の強力なモチベーションになりうる出来事です。未熟な部分がありながらもこの機会を与えてくれた方々、忙しい中時間を割いて教えてくれる同僚、期待してくれる仲間の存在への感謝が深まります。

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