ヤンデレぽいワンシーン

「ん…」そう言って彼女は、ぬらりと赤く艶めく唇を突き出した
僕は為す術もないまま、柔らかな感触を受け入れる。
その瞬間、脳を電流が駆け巡り、酔いしれていると、今度は交わりの時のように力強く、彼女が舌をねじ込んできた。
僕は「ん」とも「あ」ともならない声が思わず漏れる。
口腔内をねっとりとまさぐられる感覚、舌と舌をひたひたと絡め合い、お互いを味わう。
そして、ふいに彼女の口から舌を伝って、コロリと何か固いものが転がってくる。
キスの時から感じていた鉄の味、それが一層濃くなってきた。
僕は今、
『 さきほど彼女に噛みちぎられた左薬指の残り』
を口移しされたのだ。
まだ疼く左手と呼応するように心臓がさらに高鳴る。
僕はもう、すっかり支配されてしまったようだ。
たまらない高揚感に当てられていると、彼女はゆっくりと舌を抜き、口と口が離れ、糸を引く。
それを気にする素振りもなく、悪魔のような笑顔で
「…食べて?」
と呟くのだった。

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