【001】リカちゃん人形が好きだった僕

 僕は、物心ついた頃から、「女の子向け」の遊びが好きでした。
 「男の子向け」のものに、あまり興味が無かったのです。

 テレビ番組も、「美少女戦士セーラームーン」とか、いわゆる「女の子」向けのアニメなどが好きでした。
 仮面ライダーとか、「○○レンジャー」みたいな戦隊ヒーローものには、一切興味がなかったのです。

 一度、親戚のおじさんから、怪獣のソフビ人形をもらったことがあります。僕が、小学生低学年くらいのことでしょうか。
 恐らく、戦隊ものの敵キャラだったのだと思います。

 そのプレゼントは、全く嬉しくありませんでした。
 あまりの嬉しくなさに、今日まで記憶しているほどです。

 その時の困惑する気持ちも、同時に覚えています。
 何となくうっすらと、「男の子は、これをもらって喜ばなければいけないんじゃないか」と感じていた気がします。
 しかし、嬉しくないものは仕方がない。

 仲の良い幼馴染が女の子だった影響もあってか、おままごと遊びみたいなことも好きでした。

 リカちゃん人形も大好きで、小学生になる直前の誕生日には、リカちゃんキッチンを祖父母に買ってもらいました。

 ボタンを押すと小さな蛇口からお水が出たり、マジックテープでつながったお魚をオモチャの包丁で真ん中から切り離したりできるものでした。
 鍋をコンロにかけると、水がグツグツする仕組みにもなっていて、とても楽しいオモチャなのです。

 それをプレゼントされた時、祖母からは「(こういうおもちゃで遊ぶのは)小学校に上がるまでだからね」と言われました。

 どうしてそんなことを言われるのか、全く分かりませんでした。
 あまりの分からなさに、今日まで記憶しているほどです。

 どうやら、自分の好みと、周囲の期待がズレているらしいことを、この頃から少し感じていたような気がします。

 また、小学校低学年くらいの時でしょうか。近所の女の子と、シルバニアファミリーのお人形で遊ぼうとしたら、その家のお母さんから、「男の子は、そんなもので遊んじゃいけません!」と言われたこともありました。

 子どもというのは、そうやって周囲から呪いの言葉をかけられながら育つのだなと感じています。
 まぁ、呪いの言葉は無視して、中学生くらいまでは、妹とシルバニアファミリーのお人形さんやリカちゃん人形で遊んでいましたが(笑)。

 今でも、どうして男の子がお人形さん遊びをしてはいけないのか、全く理解できません。

 おままごとが好きな男の子もいれば、外で鬼ごっこするのが好きな女の子もいる。

 それぞれの子どもが、その子の興味や関心に従って、のびのびと成長できる社会になってほしいなと思います

 そもそも、性別を男・女で二分することに、無理があると思います。

 なお、念のために付言しておきますが、ゲイが皆、「女の子向け」の遊びを好きな訳ではありません(そういう傾向は、あるのかもしれませんが)。
 また、「女の子向け」の遊びが好きだからといって、自分の性別を女性であると認識している訳ではありません。
 しかし、お人形さん遊びが好きな男の子も居るということです。

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