201891上野山家_結婚式_180904_0169

会社を辞めて2年が経って、結婚式で前職の社長に会ったときのこと。

前職の出版社を退社したのが2016年8月。そして、独立したのが9月。あれから2年が経った。

先週末、前職時代の後輩の結婚式に呼んでもらい、行った。そこには懐かしい後輩の面々がいた。そしてもちろん、社長もいた。
受付前、ぼくがエレベーターを待っていると、後ろから「ワッ」と驚かされた。社長だった。

式が始まった。細やかな気配りが特徴だった彼女らしい、丁寧できちんとした、とても良い結婚式だった。

招待状が届く前、彼女と食事をしたとき、言われた。「先輩は絶対来てほしいんですけど、社長にもやっぱり来てもらいたくて・・・大丈夫ですか?」。いらない心配をさせて申し訳なかったと思う。

独立の際、決して、いい辞め方ではなかった。事業部長のぼくが辞めるという事実は、たくさんの人に迷惑をかけた。

会社として初めての新卒1期生。社長直属で手塩にかけて7年間育てあげた人材。突然の独立。そこに投資した時間とお金は、たった数ヶ月で回収不能となった。事業の売上予算は立てられなくなった。
傷つけた人もいた。まだ誤解が解けないままの人もいる。ひどい言葉を言う人もいたし、でもそこで弱い自分を見せてはいけないから強い態度で跳ね返してしまったときもあった。

辞める、と言ってから辞めるまで(2ヶ月ほど)に、ストレスで5Kgやせた。一緒に創業した営業マンの奥さんに「大丈夫?」と心配された。でも、その2ヶ月の間、いろんなことを言ってくる人がいたけれど、社長だけはネガティブなことは何も言わなかった。

「資金繰りは思ってるより難しいぞ。ちゃんとやれるのか?」「戻ってくる気はないのか? 今からでもみんなに一緒に頭を下げにいこう」「でもやっぱり、ぼくがお前以上の未来を見せてあげれんかったからやめるんやな」

経営的にもいちばん苦しかったはずなのに、いちばんぼくの行動をなんとか理解しようとしてくれた。

それから2年が経ち、結婚式場で会った社長は、いきなり笑顔でぼくをおどかしてくれた。そして、後輩たちが余興のために席を立ったとき、隣に呼んでくれた。

「調子はどうなん?」「うまくいってるんか!よかったな!」「出版業界を盛り上げてな!」「世界を変える本をつくってな!」

相変わらずの超ポジティブな社長だった。笑顔がとても懐かしかった。

この日の主役である新婦(後輩)が言っていた。

「あの会社があったから、出会えた人がいる。出会えた今がある。社長があの会社をつくってくれたからなんですよ。だから、社長に来てほしい」

ライツ社は、もうすぐ3年目を迎える。

会社として、人として、なんてまだまだ(というか一生)社長には遠く及ばないだろうけれど。

「あの本があったから、出会えた人がある。出会えた今がある。」そう言ってもらえる本をつくることなら、自分にできる。そんな本を1冊でも多くつくっていこうと思う。

そして、あの社長がこれからもずっと変わらずに超ポジティブでいてくれることを、心から願っている。

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