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寄り道と道草の大事さ

2021年5月4日
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第4回
【講師】キュレーター/@J代表 鈴木潤子さん


プロフィール

東京都出身。時事通信社、森美術館、日本科学未来館で通算約20年間の勤務を経て独立。2011年より無印良品有楽町店内のギャラリースペース・ATELIER MUJIにてキュレーターとして8年間で約50件の展覧会とその関連イベントを企画運営した。

2019年4月に開店した無印良品銀座店6階ATELIER MUJI GINZAにて展覧会やイベントのキュレーションを行い現在に至る。

同時並行でフリーランスとしてこれまでの経験を活かした個人事務所@Jを立ち上げ、アートやデザインを中心に、幅広い分野でPRやキュレーション、文化施設の立ち上げに携わる。

<参照>
https://schoo.jp/teacher/2775


キュレーターとは?

本題に入る前にキュレーターについて記載します。
(お恥ずかしながらキュレーターという仕事を知りませんでした、、)

以下のWEBサイトによると、以下の記載がありました。


美術館など特定の場所に限らず、「アート作品を展示してほしい」という依頼に答えて、展覧会を企画する人=「キュレーター」です。

「展覧会はいろいろな人と関わって、つくっていきます。デザインの業界でたとえると、ひとつのポスターをつくるとき、アートディレクターが指揮を執って内容や方向性を決めます。それを元にして、デザイナー、カメラマン、コピーライターなどいろんな人をまとめながら、一緒にポスターをつくっていきます。そんなアートディレクターの仕事内容に、キュレーターがしていることは似ています」。

展示会の企画からアートの収集、イベントのプロジェクトマネジメントまで担うというイメージでしょうか、、なかなかハードそうな仕事です。

鈴木さんも「キュレーターは自分の言い出したことに最後まで責任を取らないといけない」とおっしゃられていましたが、相当のエネルギーと覚悟が必要な仕事と想像します。


鈴木さんのキャリア

時事通信社
→ 日本科学未来館(広報)
→ 森美術館(PRマネージャー)
→ 日本科学未来館(広報室長/国際渉外室長)
→ フリーランス(キュレーター/執筆活動等)

鈴木さんはファーストキャリアとして時事通信社に入社されました。
同社で10年働いた後、「コンテンツを作る側になりたい」という理由で日本科学未来館の広報に転職されたとのことです。

その後、科学館→美術館→科学館を経て、個人事業主として独立されたそうです。独立された後も、東京五輪招致の広報アドバイザー(2012-2013)あいちトリエンナーレPR オフィサー(2012-2013)など、有名なイベントの広報や、ATELIER MUJIのシニアキュレーター(2011-2020)を務められました。

自分の関心を持っている領域にどんどん挑戦しているキャリアで、ずっと一つの会社で働いている自分にとっては胸を打つものがありました。鈴木さんが「好きなことをやっていてもなんとか食べていけてます」とおっしゃられていましたが、その言葉で自分のキャリアについても考えてしまいました。勇気をいただいた気がします。


キュレーターの仕事

そんな鈴木さんが現在手がけられているのが、新潟県上越市の直江津地区を舞台に開かれる現代アートイベント「なおえつ うみまちアート」です。
(鈴木さんと関係のある無印良品(良品計画)も、企画・運営に協力するそうです。)今年の8月1日~9月26日期間で開催されます。

詳細は明かしていただけませんでしたが、町の自然を利用したアートを作ろうとされているそうです。組んでいるのは「GELCHOP」というアーティスト集団です。面白いプロダクトを作られており、今後チェックしたいと思います。

<GELCHOP HPより>
2000年に結成。
モリカワ リョウタ、
オザワ テツヤ、
タカハシ リョウヘイ、
3人の工作好きによって活動を続ける3D造形グループ。
ハンドワークで、イメージと現実の世界をつなぐ、
立体というカテゴリーのもと、多岐に渡って活動。
パブリックスペースのアートワーク、オリジナルプロダクト、
はたまた、玩具、農作物、車、建築、エネルギー、コミュニティーにいたるまで、
”つくる”ということを"D.I.Y."精神をもって探り、
手を汚す日々を過ごす。

現在の状況ですが、スケジュールも間に合うかもわからないし、お金も足りるかわからないという状態のようですが、「やるしかないんですよね」とおっしゃられていました。また、期間中は「アート作品の横に住む」ともおっしゃられており、キュレーターとしての覚悟を感じます。

ビジネスでも熱意を持って企画を通し、それを責任感を持ってやり抜くというのは非常に重要なことだと思いますが、鈴木さん程の情熱を持ってそれができる方は非常に少ないと思います。

好きなこと・興味のあることをしている」というパワーが大きいのではないかと推察しました。鈴木さんは大学もファーストキャリアもアートは関係ない分野でしたが、ご自身の関心のあるアート関係の仕事がやりたくて、会社も辞めて今の道を突き進んでいったようです。

自分の好きなこと・関心のあることって何だろうか・・・?考えさせられます。

好きで得意なことを仕事にしてみたら、嫌なことや苦手なことがセットだった・・あなたならどうする?


質問コーナーでこのような質問が鈴木さんから投げかけられました。
自分の答えは、「逃げずに取り組んで、周りの人の力も借りながら何とかやり抜く」というものです。ただ、そのためには情熱やビジョン、そもそもの人間力等さまざまな要素が必要になると思います。

一言でいえばリーダーシップということでしょうか。鈴木さんの情熱を参考にさせていただきながら、リーダーシップを磨いていきたいです。


所感・まとめ

今回は自分のキャリアや人生を大きく振り返る機会をいただいたと思います。特に「寄り道と道草が肥料になる」という言葉が一番印象に残っています。スティーブ・ジョブズのConneciting the dotsに通ずるものがあるかと思いますが、一見無駄だと思えることでも自分の好きなこと・関心のあることを突き詰めていけば、いずれ肥料になって何かの役に立つということだと認識しました。

自分を鑑みると、仕事を上手くできればそれでいい、とこの数年思っており、仕事に役立つスキルをとにかく身につけるんだ、無駄なことはしなくて良い、という人生になっていたのではないかと反省しました。

自分の好きなこと・関心のあることを改めて考え直して、自分は何をしたいのかを考えていきたいと今回のお話しをお聞きしながら感じました。


以上

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