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その言葉は、選び取る力を与える

ミルトン・エリクソンの催眠療法入門 第Ⅰ章 解決志向誘導の原則

許容的で力を与える言葉

パッケージ・ワード packaged words

 相手の行動を真似し、あるいは、同時に反応し、その状態をありのままに伝えることで、注意集中の焦点を狭くする。そうしてトランスという状態に引き入れていく。

 それだけではダメで、その後、その相手が、自分の本当に進みたい方向に進んでいく手伝いをしなければなりません。そこで必要になってくるのが、相手にとって許容的で進む力を与える言葉。

 その一つがパッケージ・ワード。これは、その人自身の体験に関心を向けた言葉とされます。例として、その人の”お部屋”に届けられた荷物のラベル。

ラベルに使う言葉

 これは、曖昧でありつつ、ある程度特定でき、その人の体験を変え、ある方向に連想を導く言葉とされます。うーん、ちょっと難しいですね。

 荷物についてラベルという所がヒントになりそうです。例えば、ラベルに、「荷物」とだけ書かれていたら曖昧すぎる…。一方で、「お母さんが、◯◯スーパーで買ったタートルネックのセーター」とか書かれていたら具体的すぎる。そうですね、「冬物衣類」とかその程度でしょうか。そうすると、開けるときに、「ああ、私は、冬物衣類が入った箱を開けようとしている」という自然な方向性が生まれる。

 心理療法の中での例だとすると、「なんか違いますか?」だと曖昧すぎる、でも、「なんだか手のひらが温かくなって、ジワーと胸が熱くなるような感じですか?」は具体的すぎて、抵抗を生む。「少し温かくなるような感じでしょうか」ぐらいですかね。もちろん、これは相手を観察しながら。

対置と負荷疑問文

 あとは、その荷物を数個準備するようにする対置という方法。

 例えば、「手が温かい、あるいは、重たい」とか、「温かさも、重さも、感じる」など。あれかな?それかな?という感じですな。

 負荷疑問文も似ています。本書では、肯定の中に否定を入れる、と表現されていました。「◯◯ですね。違いますか?」など。「手が温かい。違いますか?」といった感じでしょうか。

 エリクソンは、この負荷疑問文を多く使ったそうです。そうすると、相手の中に、「そうそう」あるいは、「いや違うかな」という方向性が生まれる。

 エリクソンの用いる言葉は、相手の中の真実を言い当てるようなことではなく、その人の本来進むべき方向性に推進力を与えるエネルギーのような感じなのかもしれません。

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