no.08-04

Am7:43 土曜日 【山にて】
「出来たんだってば。こんなオレにも。そりゃいろんな人に手を貸して貰ったけど。この家もそうだけど、CR-X出来たんだってば。♪」
こーふん状態のマナブ。左右両脇で左右の肩を叩かれている。カオリとローズだ。誰が一番の年長者なんだかね。
「やっと出来たね。良い音っぽいけど、アイドリングが、不安定かなぁ」
腕組みしてこの一部始終を見てるのは、私とイツキトとリョウジだ。
「ソーダね。昔のバイクのフルチューンのような音。危なそうな、はかなげな……」
「聞いて驚け!フライホイルノーマルの1/3だー。
アイドリング安定するわけ無いだろ?あとコレコレ、FCR4連、普通より少し抜けの悪いマフラーと、長いタコ足組んでちょっとは改善されてる。コンセプトは、踏めば即ついてくるエンジンさて暖まったみたいだから、オレラッピングで100㌔くらいはしってくる!午後から乗せてやるから、楽しみにしてな!今日奴居るかな?」
そうそう、奴とはこの地域の高機…白バイの隊長である。同期なんだって。マナブが、はじめてここに来たとき、バイク乗り回して、散々追いかけさせて合法的??にスピード違反したときに付き合わせた人だ。
「じゃあ、待っててね~」
危うげな、でも、メチャ早そうな音を出してCR-Xが、遠退いて行く。
「リョウジ~あれどう?」
「マナブの車だから、マナブが良いなら良いんじゃない?プロとして客に売ることは出来なそうだ既製品と、特注品の違いかな?さて、こっちはおとなしく、エレガントに参りましょう!うちも、117クーペ今日で上がりだ!」
あーうるさかったかな?ミヤがパジャマのままよろよろと、私に手を広げ近づいてくる。
「ン~ダッコ…」
「あーゴメンゴメン。一人にしたね。ここの人たち、勿論私も皆きみの仲間だよ!居なくならないから安心して。後、外に出るときは?」
「靴はく」
「そうでしょ?次からは履きなさい!」
「ン~……うわかった…ン~」
居なくて寂しいが先だって、靴忘れたンだろうな~左肩で、ヨダレ拭いてて、泥だらけの足は、ウエストらへんを綺麗に汚している。
「あー私のトキ~ヤッパリカッコいい~優しい!」
「ハイハイ、ローズ朝御飯にするよ。トキは…タマのところでしょ…イツキはどーする?」
すっかりお母さんのようなカオリである。イツキはローズの実験台になることとなった。
マスターとみゆきさんは、今日は店やって、明日来る予定。エリリンも明日来るらしい。キミエ呼ばれてるのだ。ミキの事で…で、先行して私とイツキトとマナブが山に来る時に連れ来たのだ。ここの子供たちとも遊べるし、たまにはねー♪店に二人っきりで話すこともあるだろうし♪
「タマ~ご飯にしようよ♪」
「ハイハイ、ありゃ、トキドシタその姿。幸せそうだけど、子供に振り回されてる良いパパみたいだよ。」
「ン~……悪くないんだこのシチュエーション。こーやって抱いてると、湯タンポのようにホッコリするんだ。ヌクヌクと気持ち良い。」
ソーダね。いつもはきれーにしてるもんな私。ボサボサ頭に、ヨダレとドロでデコレーションした姿、タマにも見せたこと無いな。
「そっか~予行練習じゃなくて、そろそろ計画しますか?私たちのジュニア……つまり…中に……」
「トキ~ご飯~、タマ~おはよー」
上手い!ナイスタイミング。子供が嫌いな訳ではない。自分の子供となると、チョイと考えちゃう。いつもの罪悪感と自己否定感とトラウマ。親知らない私が…あんだけ人殺してきた私が……未だに思うのだ、こんな私ってね。でもそれじゃタマや、ここの仲間に悪いしなんとなく明るめに過ごしている。
「なんだよ~急に難しい顔して。良いよ私はいつでも。でも30に成る前にハッキリして欲しいな♪子供好きでなつかれるくせに…何悩んでんだか。さて、食うぞ!て手洗ってきな!お二人さん。じゃないと食わせない!」
本当に何悩んでんだか……めんどくさい性格だ。生物なら本能で子供作ると言うのに、何でこんなになやう悩むんでしょ。まー飯にしよう。
「イタダキマス」
「いた……だき…ます!」
Pm0:47 土曜日 【"カオリ"の昼飯】
緊張する。ローズの作ったおかずが一品有るらしい。ここのルール。ローズのおかずに箸をつけたら、最後まで面倒見ること。困ったことに見ためジャーわからない。
「ホントに困った人だ。話は聞きましたよ。こないだの大暴れの件。この地域…イヤイヤこの国にとって、いいことしてくれたのに……走行にぼく巻き込まないで!」
サメザ泣いているのは、マナブ同期の愛弟子。今日は隊長休みらしい。
「師匠も師匠だ。"胸かしてもらえ"だって!皆さんどう思います?」
「シレン」
「ヤッパリやな人たちだ。ハモって言わないで!ブー!? なんだこの煮物!甘くて酸っぱい~」
「良かったね!当たりだよ!それはローズちゃんが心を込めて一生懸命間違えたおかずだ。最後まで食べること。じゃないと、半日この家族3人で、きみの耳元でおもいっきり泣いてやる。」
「アハ 草あったから、入れてみた!酸っぱくなっちゃった!」
「母さんが、カレー作るときにいれようと思ってたのに!後で買ってきてよ!レモングラス。良いわね!ローズ」
「ハーイ」
「サーガンバッテ食って、午後もこの二人追いかけてくれ!」
「グレテヤル……」
午後からは、私とイツキだからそんな長く走らないよ。見つかっちゃったのが、今日の貴方の敗因…最後まで付き合わないと…あの人、機嫌悪くしたらどんな報復に出るか……と説明したけど、話し半分で、ローズの
おかず泣きながら平らげていた。本当にあの人グレちゃうかも……
CR-X…カートかと思うほどドンガラの中身に、ロールゲージ。11点らしい徹底的ですね。リアウインドアクリル&FRP、ドアのガラスもアクリルだ。Fフェンダー左右と、ボンネット、ドライじゃないけど、カーボンだ。車高は、ソコソコ落ちてる。それより何このアンダーカバー。レーサー並にまっ平。3分割構造ですか。リアバンパーも穴空き少しカットしてディフューザーの形状になってる。
エンジンは、Vテックのキャブ仕様。はかなげな音が気にかかる。物凄くレスポンス良さそうだ。負荷かからない状態で、タコメーターと、足の動きが連動してる。異常なフケあがりですね。レーサーのバイクのようだ。クラッチは、重い。。。左足鍛えられそうだ。
「~えーっと…お願いしますで良いのかな?」
「ま・マジで逮捕してやる。若い公務員をナメるな!」
「私も公務員ですが…」
「知るもんか!真剣勝負だ」
ひーマナブの腹いせに私?まー能力を使えば……
「もーやー……追い付いたと思うと、コーナーでリードされ、リードされ……追い付きそうで追い付けんし~……オイ…君もやるのか?」
非常に冷たい目で、イツキを睨んでいる。
「イエイエ!ボクは、交通ルールを守って乗りますですはい!追わないでくださいですはい。」
やんないんだ…そういえば、キャンピングとか、ワゴン車系と乗ってるし、バイクもオフロード好きだし、オンロードの速さ自信ないのかな?
「さて我が子の感想は?」
「じゃじゃ馬。人見知り。ツンデレ。」
ハモらせた。当然打合せして。あー鬱陶しい白バイ隊員は私のすぐ隣で、ずーっと"おかしい、あのコーナーリングの立ち上がりの速さは、絶対おかしい。"とささやいておる。そりゃそうでしょ。だってコーナーで、時間止めて、私だけ少しだけ移動したところで、時間を動かす。そんなこしてたんだもん。彼は、本当に速いよ。山で敵うのは、マナブとカオリだけでしょ。
「なんだそれ?」
「自分中心で…ってかマナブの車だから良いんだけど、マナブ仕様でしょこれ。のりずらい車……楽しいけど疲れる。人選ぶし、美味しい回転数意外は、めっちゃやる気無さそうなエンジン。ヤル気ないときこの足回りはオーバークオリティでしょ。バンバンハネル。普段は固すぎ!まだ言って欲しい?」
手をあげてる。でも、未だににやけている顔。
「好みって出るんだろうな。だってさ、カオリが、オレのパートナーなんだぜ!」
その時、CR-Xに乗ったカオリと、白バイが帰ってきた。
「イヤー良い勉強になりました。」
妙に落ち着いている隊員。さっきまでのグレ方が嘘のよう。
「そーね、自分のリズムは崩さない。君は、訓練して隊員になれたんでしょ?あの訓練ってねすごい凄い理にかなってるのよ早く走るだけならアクセル開けりゃ、度胸さえあれば誰でも早く走れる。低速で丁寧想いどうりに動かす事こそ限界のスピードの時に生きるのよ。君は、君が思ってるよ、良い乗り手だよ。」
あーまた一人ファン増やしちゃった。手を握って離さない隊員を、ひっぺがそうとするマナブ。まーCR-Xもこれだ貰えれば嬉しいでしょう。
「まだ速くしてってさ。じゃじゃ馬だ。この子…」
ボソッ、シンナーの一斗缶を運ぶリョウジが一言。本当に聞こえるのかね?
Am8:49 日曜日 【タマの城"Kaisya"】
めでたくオープン!まーこっちの知り合い殆ど居ないので。特に賑わってもいない。花も小さなのが……棟梁とか、家具職人、ガラス職人、店と契約した問屋の方々等々、……タマが、大きな花はイヤ!とさきに言っていたようだ。ヒッソリ始めたかったらしい。しかし…Kaisyaってさ、会社でしょ?
「だってさ、お客がどっかに電話して場所説明する時…面白くない?」
………アホ…………
南側、扉が全開になってテラスと繋がっている今日の様にいい天気の日は、メチャ気持ちいい。でも、店の中のボックス席には、非常に冷静な弁護士キミエが資料、書類等々抱えゆっくり座る最中だった。
ミヤは、マスターとみゆきさん、エリリンにタマ、私に行ってきますのキスをして、五戸家と、響家についていった。山の上の方までピクニック&山仕事。凄い良い笑顔してたね。そのミヤの今後の話だ。
「まずは、エリリンに頼まれたこと。あの五人の戸籍はこれ。出所は聞くなよ農業交換留学ということで、半年、この国居られるようになっている。留学先はここだ。」
「ハイーッ?」
「良いだろ?奴ら監視できるし、教育できるし、山茶花壊した奴らなんだから、ただ働きさせていいから引き受けろ!」
誰とも目を会わせずに、ロイヤルミルクティを飲み干しお代わり要求のエリリンのありがたいお言葉でした。
「それは一件落着ということで、はい請求書ねーねぇ~」
「?私に渡すつもりか?……高くねーか?キミエよく調べちゃうぞ!」
胸ポケットからSDカードのレコーダー。きっちりエリリンからキミエへの依頼の言葉が……
「わかりました。公費でなんとかひねり出しましょう。で?」
本題……ミヤの件……


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