no.10-02

Am7:46 日曜日 【Kaisya】
イヤー盛り上がった。結局終ったの2時位だっけ。左足にアザ有るんだけど……覚えてない。
「オハヨータマ。良いよね?年下だし」
今日もピンクのジャージだ ミミ。カウンターの下で静かにストップウォッチを押す。
「どうぞ。どう呼ばれても良いですよ。私はミミで良いですか?先輩!」
「歳、思い出すから、先輩は止めて!どうせ知らない人でも呼び捨てだもん、良いよミミで。うちらの名前って、呼び捨てされやすいよね。」
夕べは、リコの家に厄介になったらしい。
「やー呑んだねーあほみたいに。学生の以来だね。」
「ミミ先輩の学生時代……学長は、福沢諭吉!」
言いつつ、コーヒーを出す。まだ注文はない。
カランコロン
「モーニングね。オハヨーあっ、………ミミミミさん、おはおはようござりまづル。」
やっぱり昨日も、ホッピーをチビチビやってたイツキだ。何でも、ファンだと言うことだ。今日もまだ緊張してる。
「イツキさんオハヨー。ってか馴れてよ。ねータマ、この人カッコ良いけど、何屋さん?妙に私の前だけ、オドオドしてる。」
「新米刑事さん、いつもは突っ込み役で、上司の面倒見てるしっかり者だけど、おっちょこちょいで、度天然。人当たりが良くて、何でこの人が刑事?カッコいいって言ってるのに、自覚がない。今は、恋する中学生みたいに、ミミを気にしてる。こんなになるとは、見たことない。ここの道場の師範代だよ。」
「へー強いんだ。」
「そうね、強いはず、」
「何?その奥歯に何か残って、臭くなっ時みたいな言い淀み方は。」
「ここはね、結構ディープな人が多いのだ。うちのみたいなのとか、渡辺さんみたいのとか……」
「ちょっと待て。うちのって?何? 」
「トキは、今ところ私のだから。」
「ふーん だから私泊めてくれなかったんだ~何回したんだよ夕べは!」
ピピピ ピピピ
「はい!ミミの、朝定食決まり!むさしだ!1575円だぞ。」
「何それ。」
「ここ読みなさい。」
「なになに? 朝に限り、3分以内にオーダーしないと、自動的にむさしになりますって何これ?」
「パフェむさし63・4センチのフルーツパフェだよ。1575円になります。何苦い虫噛み締めて、親の仇を見つけたような顔で私を見てる。」
本当に、脚をバタバタさせて悔しがってる。いーなーこのストレートな所。
「イツキさん?だから挨拶より早く、注文したんだ、私のファンなら教えなさいよ。」
「……すいません……」
何の罰だか知らないけど、半額持たされて食べるの手伝ってる。謝りながら…でもちょっと嬉しそうだ。このあと道場にミミも見学することも決まった。押されっぱなしのイツキ……珍しい
Am9:30 日曜日 【道場】
「はい、組手初め!えーと、シュー相手して!」
胴着を着ると、カッコイイ×3だね。ちゃんと声出てるし。格闘技の選手とか、スパーリング見に行って、取材したことも有るので解ること。
強いぞマジで。
あの大人二人体が全然ぶれてない。
「はい、きゅーけーでみたいやつは見てろ。トキ!今日こそ、全部の手使わせてやる!」
げ、鼻血出そう。なになに?タマの好い人って良い男じゃん。これリアル薔薇族?お話からするに、トキが一番強いんだ。
30分位後
「残念でした。今日は右手右足封印してたよ。まだまだ修行が足りんのー」
畳の上で本当に、大の字。汗だくで、息を切らせているのは、イツキだ。トキは、たまに寸止めで攻撃してたが、基本受け流していたイツキの攻撃全て。すごい早さ!時々目が追い付かないくらい。へー強いんじゃないイツキ!
そうそう、動けないならちょうど良い。ちょっと確認。
「あり……が・とう……ございま…した。フーッヒーッあーもーセンターにないぺニスを直す体力もないぞ??なななに?ミミさん?」
イツキの胸に近づいて、深呼吸してるのだよ。胸というよりは、鎖骨まで5センチ位の距離。
「君、ごーかく!今からオトすから、彼氏に成りなさい。他に女要るなら、奪ってやる。何でこんな良い物件誰も手付けないかな?」
「ヒャなななに?そそそれ。ボクじゃ役不足…」
「じゃない。私は、惚れた。私の物にするためには手段は選ばない。」
胸に顔埋めて、抱きついているミミ。トキはニヤニヤしてるけど、他の物たちは時間が止まってる。ツヨシ何か泣きそうだ。
「何でボク?」
「人の中で、変えられないもののひとつ、匂いが好みだ。汗臭いが嫌じゃない。カッコいいと思えた。それじゃ不満か?これからもっと探すつもりだが。」
「会ったばかりじゃないですか。」
「会ったばかりで、惚れたら、懲役10~5年くらいになるのか?」
「……イヤ、まあ、貴方なら、他にも言い寄る男いる…」
「要るよ。私めんどくさい性格で、私から惚ないと、恋愛に発展しないのだ。」
「ミミさんは、超有名で、ボクは、しがないしがない公務員…」
「イツキは、仕事に順位つけてるのかアホか、私は好きでやってる。有名はまあそうだけど」
「だけど…」
「あーうっさい!」
………ミミは、顔を、静かに床方向に下ろして行く。と、イツキの唇にミミの唇が重なる。
「ん~やっぱり、いい香り。受け入れないと、何度でも口ふさいで、大人しくさせちゃうぞ。」
Pm12:09 日曜日 【Kaisya】
へっ?
「タマ~おすすめのパスタセット、2種類ね!イツキ!ボックス席行くよ。」
「ふぁーい、ミミさん」
「さん?」
「……ミミ……」
「ん~良くできました。」
良いのか?あれで……イツキには良いけど……トキがシューをつれて入ってくる。
「あーあれ?。ミミの浴びせ押しだね。破壊力抜群の……"適当ランチセット"2つね。」
はー豪快っていっていうか、何て言いますか。
カランコロン
「"適当ランチセット"3つってあの景色何?」
マサシが、コンビニの調査員を連れてやって来た。もう一人は、安東だ。系列会社なのだが、調査はないといけないらしい。ついでに安東がめんどくさいこと言ってるし。
「山の珍事。3つねー。ちょっと待っててね。っておい見習い!ローズ!なぜそこにいる。手伝え?!」
「いーじゃん、トキの胸の匂いで充電中なの~後10秒ほっといて!」
トキの長い足の中に入り正面から抱きついて、胸に顔埋めてる。人の彼氏に何してる!じゃなく、忙しい昼時に何してる!
「私は、変えてみたいんだ。とくにここは田舎。集客力としての店舗。今までと同じ、無機質な四角い建物だったら何処にでも有るだろ?」
はー迫力。こんな風に説得してきたんだ。調査員も、どうも部長クラスが、派遣されているようだ。マサシと安東の相手、意見を曲げない…揺るぎない人。って感じ…
「何処にでもある。それは、お客様の安心に繋がります。はい。このような、奇抜………失礼…撤回します。興味を惹く建物は……」
つい見えてしまった、崖にトンネル掘ってその中から飛び出てきた電車のような店舗のパース図。快速電車の、ダブルデッカーのようにも見える。外装がステンレス。そりゃ見たことも聞いたこともない店舗だ。この人、コンクリート造形の魔術師じゃなかったっけ?ボックス席のパスタセットと、トキ達の適当ランチセットは出来た。さて、後3つ
「追加の金なら払ってもいい。来るのが楽しみなコンビニがあっても良いじゃないか。もうサービスは、し尽くしたろ。これから集客力だ。ビック3に追い付き、追い越したく無いのか?」
その一言に、少し揺らぐ担当さん。そうだな~住民票取れるコンビニまで有るものね。
「俺も、こずかいだすよ。折角面白い土地に出すんだから、冒険しようぜ。」
マサシが何か言うと、硬化するらしい。業績がズドーンと落ちたとき。コンビニを負債ごと買ったのが、五戸だ。親会社だし見ようによれば、助けられた感じなのだが、感情論では、整理がついてないのだろう。
「悪い。マーシー黙ってて。いつまでも、コンビニ=7じゃないだろ?サービスそうは変わらないんだから、ほか探さなきゃ。私は、建築家だから、こうした方が面白いとてーあんするのだ。君がいる会社は成長より守りたいのか?良く考えなさい。あの歌舞伎でさえ、新進気鋭の舞台監督とかに演出頼んでるのだぞ。新しい風を、吹かせるのは大変だろうが、君が、会社を救ってみろ。今のままなら、筋肉も頭も固くなって動脈硬化して、動脈瘤破裂で、滅びるぞ」
スゲー言いくるめ方。さすがの調査員も引き込まれそうになってるヨーク聞くと、何処にも実はない。流石、数々プレゼンしてきた人だ。
「ま..まあ、検討は..してみますが。」
「やんないなら、これ俺もらう。友達に売ってくる。こんなアホな意見大好きだもん。友達って?イオンの会長~あそこ系列でミニなんとかってコンビニあ有ったよね。」
「自分の系列会社脅してどーすんですか。」
「実の無い反発ばっかりして、ユーこと聞かないじゃない?いい加減頭全部すげ替えたローか。スゲ外から見てて歯痒いんだよ。折角トントンになってきたのに、伸びきれないってのはさ。内部で変わるのがいいと思ってる。革命起こそうぜ。」
グーの音もでないらしい。
「……持って帰って、考えます。2週間以内にはご返事致します。安東さんの事も、五戸さんの事も……しかし、コーヒー好みです。何でこんなにスッキリしてるんでしょう?」
「あんな大きい水出しコーヒーの器具見えないの?視野狭くしてるのは何かな?」
はっ?!っと気が付く顔って有るんだね。何か憑き物が落ちたような顔で、
「狭かったな。店主は?どうしてスッキリしてるの?」
私の出番?はいはい、説明しましょう。あっちのボックス席見てらんないもん。イツキお人形さんみたい。ミミの言いなりで、後ろからきキュっと抱かせたり、膝枕しあったり、何かあると、頭イイコいいこしてるし……つまり、バカップル。ミミってベタな恋愛好きなのね。しかし、あの顔……イツキの……イツキも好きだったんだ。ベタな恋愛……

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