no.08-05(end)

Am9:46 日曜日 【ミヤ】
「アンダーウォーカー又は、アンダーアンクルってさ、知ってる?」
唐突に、キミエがみんなに聞いてる。はて?と思っていると、あゆむがいつのまにかいて、ボソッと、
「英国の貴族専門の人身売買請負人。子供拐ってきて、相続人のいない家に売る人。」
どうも当たりらしい。へーアユム博学~
「小説の題材になったりしてるもんね。実は、今も存在するのよ。」
今は、誘拐してまで専業でやるほどではなく、孤児院の院長がしてたりする。ある程度合法的だが、戸籍の操作や、子供の今まで記憶の操作までサービスがいきとどいていると説明してる。
「ミヤの国籍をそこにいたことにする。でこの国の誰の養女に成るかなんだ。」
バサッと大量の書類がテーブルの上に、と同時に、柔和そうな眼鏡のスーツ姿の紳士が現れる。
「こちらの方は、英国での催眠術の第一人者。この人にミヤの記憶を操作してもらう。で、はい請求書!さ驚け!」
げっ!463万5250円って…あの五人よりたけー
「当たり前じゃない!将来なんの不安もなく、就職したり、結婚してもらいたいじゃん。ちゃんとした過去と、戸籍が欲しいじゃない?あの五人とは違うわよ。」
まー確かに。
「お金で解決出来るなら安いもんよ。後から要らん心配したり、揺すられたりしない……プロだからねこの人たちも。誰が払うか別にして誰が引き取る?」
「ハーイ」
あれ~…エリリンが、手挙げてる。
「私で良いよ。戸籍謄本と委任状、実印、印鑑証明…ホレ好きに使え。後金も出すよ。もう少しまからない?」
「私だって下手すりゃ足出るわよ。これ以上はダメです私は、暫く儲けなくて良つもりで仕事してるんだからね。又なぜ?」
「ママ言われるのも良いかなってさ、平日はマスターとみゆきさんにねー。名前だけママだけどね。後…独り身の公務員ナメるなよ!んなはした金、耳揃えて払ってやる。」
そんなこんなで、ミヤはキッチリ過去を作った。後、3人に1つだけ刷り込む。ミヤと抱き合ってキスしてる映像。なんでもこれ1つだけで普通に父性母性のある人は、その対象の保護欲…つまり家族としての感情が出来るらしい。大人は色んな経験をしてるから、これ1つだけで良いそうだ。単純なのは、大人の方……へー深いですね~その話題…
「えりまま~ドコ行ってち?」
「日本語能力は、変わらないのね♪ハイハイままはお仕事忙しいのさ。今日は後半日ずーっと遊べるぞ。何する?」
「タマバーとオニゴッコ」
「タマはお仕事中~……まだまだ暇そうだけどね。山仕事するか!」
ふん!そーですよまだ暇です。言いたげなカウンターの中のタマ。ニヤニヤと、我が子のせいちょう成長したのを見るように、マスターとみゆきさんはタマを眺めている。親離れは完了したみたいです。ミヤのおかげでしょう。
「何みてんのトキ?」
「"みゆきママ"ってなんで……」
言い終わらないうちに、奥歯を噛み締めて、私の右左のコメカミ近くの揉み上げ、外に向かって引っ張りながら……15㎝前に顔をせいたいして、顔はにこやかなのに声だけ凄んで丁寧に答える。
「イヤなの無理してるって感じで……仕方ないでしょ!どう見ても孫、バーバにしか見えないんだから。私が一番納得してないんだから聞くな!」
はー迫力です。でバーバでも、元気になって、前より若く見えるよ。と言ったらどうなるかわからないので、必死に飲み込んだ。
Pm12:58 日曜日 【Kaisya】
お客様だ。って言ってもね、親方と弟子。ガラス職人親子だ。花持ってくるな!の主張は少し効いているようだが、これ……高いよ~胡蝶蘭。色違いで同じくらいの大きさの鉢だ。祝も名前も入ってない。
「おう!おめでとう夕方やらせてもらうぜ!」
「……おめでとっす」
「この度は、おめでとうございます。いかがですか?あの子達は。良い仕事してますか?」
「この間は悪かった……!イテッ…何だよオヤジ……イテッ先日は~……失礼イタイタしました。うちの子はどうですか?」
4人とも、個性的である。特にガラス職人の息子……ヤンチャそうで楽しそうだ。
「ありがとー高かったでしょ♪初お客さん…親方!!仕事有るんだけど後で聞いてね。新太くんありがとーねぇ。水面さん、オヤジさんのはもう慣れたけど、息子さんのは…まだ安定しない。ちょっと後で見て。さて、初注文は?」
「したいけどね♪メニューは?」
「うちは、ありません。なんでも言ってみて下さい。和食はユウジ。その他は私が作ります。コーヒーは、ホットと、アイスのみです。酒類も大分入れました。もしうちに在庫がなかったら言ってください。入れますので。さて、何が良いですか?」
そうですね~山茶花のようです。マスターの仕事の流儀がタマによってこの地に来た。マスターは、何時ものように静かだが、ちょっと嬉しそう。今日は、私もウエイター。こんな日常もなかなか悪くないかもね。静かな時間と談笑。昔は毛嫌いしてた。今は、………

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?