no.09-01

Am7:08 土曜日 【Kaisya】
はーここだけ時間が止まってるみたいだ。目の前を近所の中学生の自転車の集団が、走り去って行く。まあ、田舎だしお客がすぐつくとは思ってないし、大々的に宣伝した訳じゃないしどないし、……今要るのは、山のメンバー……朝御飯だ。当然お金はとってるけど、身内の行ってこい何だよな~
「んなため息つくな!まだ2週間だろ?」
こんな事言ってるのは、土曜日だからいるトキだ。ウエイターやってくれている。そのとうり。まだ2週間。ここは駅からも大分離れた国道沿い。でもね!近所の住民ちら見するだけなんだもん!なんか悔しい。見てるならコイヨー良いもん食わすよー
「そんなに気負うな。外そんな風に睨んでると、お客逃げるぞ。」
これはリョウジだ。一人商店の先輩。確かに、リョウジもこんな気持ちになってたころもあったのだろう。レストアなんてマニアックで、顧客も限定されている商売……でも今は、年商1000万位で、予約2年待ちの有名な、ビルダーになっている。
「わかってます!わかってるけど、山茶花の忙しさにいた私にとって、この暇さかげんは……」
あっ!やべ。皿を洗う手に力が…みしってイッテる白い皿。何でも…誰でも良いから、カウンに座ってくれ!もてなしてやる!私なりに…

Pm6:47 土曜日 【Kaisya】
ちゃんと宣言道理に親方と弟子は来てくれている。仕事終わりに。今日は内装業者と一緒だ。
「もーありがとー親方!初めましてオーナーのタマです。楽しんでいってください。」
へっ?って顔してる。まずは、おとーし!又へっ?って顔してる。見ためただの豆腐。薬味も醤油すらかかっていない。
「まー食えよ。わかるから。ここがどんな店か。」
下手だ。親方ウインクが……結局、両目閉じてますよ。ユウジは3人分の牡丹刺し作っている。その肩が揺れてます。
「ウソ!ピリ辛だ。うまー…豆腐の中味がついてる。でここ和食?非常に見事な盛り付けですが?」
「悪い癖だぞ。何でもジャンルに別けたがる。ウマけりゃ良いだろ?タマ、オレオムレツ。ほれ具の一杯入ったあれな。こいつには例の餃子。お前も好きなものなんでも言ってみな。ほとんど出てくるぞ。」
ポカーンと呆けてる。
「メニューは?」
「無いの!ホレ食いたいもん言ってみな?まさ自分の食いたいものわかんね~なんてことねーよな。な?そんなセンスの無い奴じゃねーよな?」
この業者さん、プーっとむくれている。が考えている。イタズラそうな目をして……ハイハイどーぞ!考えてください。
まず驚いてるのは、餃子!一個なのだ。しか~し、皿一杯の大きさの一個……オムレツは、ミラノ風?具が混ざったオムレツですが、透き通った餡がかかっている。で、内装業者さんは、漫画肉を注文してきた。ふふふ昔作っていてよかった。ドンと出したら、3人して驚いていた。
「……漫画肉って……」
始めてみた、驚いてる表情の弟子。この子非常に落ち着いていて、無口だから。
「あージェネレーションギャップ!親方はリアルタイムでしょ?ボクは再放送ですけどあのアニメ!」
「ハジメ人間ギャートルズ!」
アダルトな二人がハモって笑い転げている。キョトンとしてる弟子。
「マスターさア、若く見えるけど実は、50スギだったりして?」
「……実は、若返る良い薬が有るんですよ♪」
なんて馬鹿話してみたりしてガハハ笑ってる。
「まず聞きたいことが…私達は、この子…弟子君ね、酒もタバコも自由にさせてるけど、マスター違和感無いの?」
頼んだ人の特権、漫画肉の骨もってのかぶり付きをしてる内装業者さん。口の回りリップ要らずになってます。
「はい!てめえで稼いで、国の税金払って、生活出来てる奴は、年齢に関係なく大人扱いします。逆に、20才過ぎでも、親のすねかじってる奴には自由にさせません。これが私の考えです。」
ハハハと笑い会う親方と内装業者。のとなりで、顔赤くする弟子。
「イイネ~勿体ないね。職人になりませんか?」
「調理人っていう職人してますよ私は。後、私の事タマと読んでください。」
スコッチと黒ビール、軽めのカクテルで盛り上がるカウンター。
からんころん
ドアの鈴がなる。
「イラ…なんだ、ローズかーどした?」
気持ち悪い!あのローズ。なにか言いたそうでモジモジしてる。その姿を見た弟子君が、顔真っ赤にしている。ふーん弟子君のストライクゾーンなんだ~
と、ローズが素早く床に土下座している。何のパフォーマンス?何の悪巧み?思わず半歩後ろに後退り…
「タマ姉!御願いボクに料理教えて!……下さい。」
なんだなんだ?
「だってタマ……タマ姉みたいになりたいの。……」
何でも彼女が言うには、タマが一番子供っぽいそうだ。でそんなことが出来るのは、きっとキッチリ自分があるからなのだろうと分析したらしい。自分に自信があるから有りのままで居られるのだと…その強さはこの仕事とトキから来てるものだろうと
…強くなりたい。…
調理が向いてるかわからないけど、自信の持てるものが欲しい。とのこと
「まー暫くやってみれば。厳しくなく教えてあげよう。本気でやりたくなったらソコからマジでやればいいし」
てなわけで、見習いのお試しで、カウンターにはいるローズ。とっても手持ちぶさた。
「よーく見てね。今の時点でローズが出来ることで、気になることある?」
チラチラ物珍しそうにいろんな所を見ている。暫くするとポンと手を叩き洗い物を始めた。その様子をじっと見ていたのは、弟子君…ポヤーっと……
「その嬢ちゃんもタマも暫くはてーへんだ。精神的にな~」
ここはサ店又は、軽食屋のつもり。でも、出てくる料理は本格的で、酒類も充実。朝6時から夜7時までの営業だが………タマが調理を辞めて、飲みながら仕込み始めるだけの時間だ。クローズの看板出して、コーヒー会社の看板の電気消して、キッチンと、カウンターのダウンライトの灯りのみ。後は気分次第。仕込みしながら、ワイルドターキーを、ショットでチビチビ。それを見ながら、調理器具と、フキンのハイターを始めている新人ローズ。
私は、客席側の掃除中……カリラをチビチビ。カウンターの三人は、まだ盛り上がり中。こんな緩さは山茶花を引き継いだね。悪くない時間だけどね。
「店の者の夕飯の時間だ。ローズのもあるぞ!ボックス席で、そろって食べようゼ~ット!」
タマの賄い。ワンプレートの丼物と、サラダ。余った唐揚げチリソースで餡掛けしてそれをご飯の上に…うまー
「明日はユウジねヨロシク!」
ほほの赤いタマが宣う。ちょっと羨ましげに、さっきまでお客様だった3人が覗いてる。平日もこんな感じで緩くやるのだろう。明日は、2ヶ月に一度の宿直。このあと街に帰らねば。ふーっここの隣に職場あればいいのに……………
Pm6:36 日曜日 【Kaisya】
「ロールキャベツ作って!ラストオーダーで。ほれ例の……」
今回の一人称は、私…タマでお送りします。って誰に説明してるんでしょう。
例の…今ローズが、仕込み終わってるミンチのバットと、キャベツ一個、でかい寸胴を用意してる。7時キッチリには終わらんのー
キャベツの芯をくり貫く。でかい寸胴に入れ少しゆでる。一枚一枚に分けて水気を拭き取り又前と同じ、キャベツの形に組み上げる。
そのときに、葉と葉の間に、肉種を挟む。さっきの寸胴のお湯を半分捨て、材料がヒタヒタに浸るくらいにして固形コンソメを薄めに作りキャベツ投入。蓋をして煮れば終了。
つまり、丸ごと一個のロールしてないロールキャベツ。デーンとキャベツとでも申しますか……
注文主は、この店舗の隣に、もうひとつ建てて貰ってる元々は、宮大工の親方。今は、フリーで、何でも建てたり、創ったりしている地元の工務店の社長。隣には、男の子がちょこんと静に座っている。弟子君だ。
この社長の仲間が、今はお客の中心だ。今日は、サッシ屋と、左官屋が来ている。
私を見て驚き、出てくるもの見て驚き、いい気分になってる様だ。
因みに、隣の建物は、山のメンバー女子連によるパン屋になる予定。自然酵母での発酵に成功したんだって!食べたけど、スゲー美味かった。ので、生産するための工房と、店舗である。うちで出すパンも、これにする予定。
今は、五戸家の中で作ってるのを、ここで出している。なかなか好評を貰っている。
「ここの土地の酵母だから、ふるさとの味って感じよね~」
なんて、事言ったのをそのそのままポスターにして、目立つ場所に貼ってある。店建て中なので、"カミング スーン"とポスターの上に斜めに貼ってある。
デーン!
ふおおおーと、感嘆の声が聞こえる。一個のロールキャベツ。ナイフを、ホスト役の親方に渡して、取り分けてもらう。やれやれ今日は、これで終了……
からんころん
終わり直前にさ

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