no.10-05(end)

Am6:46 土曜日 【Kaisya】
落ち着く。とうとうこの店も馴染みつつあるようだ。
カウンターの向こうには、タマ。60°右を見ると、ユウジが白い割烹着で、和食の準備してる。
ユウジと、山茶花のマスターは、繋がりがある。同じ料亭で修行したそうだ。歳は離れてるけど、1年マスターの方が先輩になるらしい。
「あっしの甥っ子…って感じだねタマは。この子の包さばき見てるとさ、基本はあの料亭だけど西園寺さんが進化させて、タマがまた自己流進化させて…こうやって、継承されるんでさーね。あっしも育てないと、一人前じゃあないよな~」
等と言ってた。
いつもの親方と、弟子。ワルガキだった5人組の母連も、父連を含む地元消防団や、団員兼地元役場の人がいて、その繋がりで役場の人々………何て最近常連が増えつつある。田舎は馴染むまでは、排他的だが、一度馴染むと、トコトンお付き合いをする。
移住組の新人さんは、安東さん家だ。ミミのリコへのインタビューに、動向するふりして、ここに潜り込んで、私と、リョウジに散々ダメだししといて、ここのトータルプロデューサーに強引に就任した世界的に有名な建築家だ。
奥さんと、娘さんがいる。
前妻と死別してから何年もしてから、去年娘より若い妻をもらった。安東は、モテないわけではない。金は困らない程度に有るし、明るいし、少しお腹出たけど容姿は、悪くない。そんな男がこんなに長い間相手が居なかったのは。前妻との間の娘さんことでだそうだ。
20歳の時の交通事故で、車椅子生活……心臓は動いているが、微笑のまま固まったように彼女の意志では動かないのだ。20年近く経つのに、20歳のまま止まっている、肌艶、髪の毛。この世の中には、どうしようもない事があると、体現するかのように、優しい微笑が、張り付いている。
彼、安東は隠さない。そう決めるまでは、苦悩があったりしたろう。
「同情するような記事を書く?去れ!私達は今まで道理だ!少しハンデを背負ったそんな感じだ。」
と、いい放った時は、胸がすーっとした。私はあの 24時間やってるチャリティー番組が大嫌いだ。
お涙頂戴の演出、健常者と、お同事させて、必ず成功させて、健常者が喜んでる。これって、人権侵害、人種差別でしょハンデを持った人は、その人にしか出来ないこと、有るんです。喩え仕事じゃあ発揮できない人でも、有るんです。それが健常者と同じ事するのがすばらしい……この考え方が大嫌いだ。特に、しんしょう身障者に、インタビューするときのあの態度。憐れみに満ちてるよな。健常者にあんな聞き方したら、
「馬鹿にしてるのか?」
って怒られそうだ。目線同じにして、にこやかに、子供諭すように……アホじゃ。
普通にすればいい。車椅子の人に、
「乗り心地っていいの?」
とか聞いても、別車椅子の人は傷つかない。それより、異常に親切にされる方が、疎外感感じるだろう。本当に、この国の福祉には信じられないことが多い。
で、安東の考え方好きだ。隠さない。ちょっとしたハンデ。又は、個性という考え。
当然、この子がいて、大変だろうな……と思ってしまったが、2・3日すると、"ミライの容姿は、これ"って、車椅子とそれを押す両親、ワンセットでというのが定着した。
可哀想
それ事態、すでに上から目線だし。確かに、個性のために、出来ないこと多いけど、出来ることもたくさん有るだろ?少しの微笑……間違いなく、この笑顔のために、仁もユウコも力を貰ってると、だから私達もミライとして扱う。付き合う。
「らっしゃい!なんにします棟梁と娘さん?」
「なろータマは~うちのが、温泉旅行で3日開けてて私が飯作れない。…弱味に漬け込んでモーニング!気まぐれなやつ!ミライには、いつものスムージーな」
この地で初めてあの宮大工の親方と、顔合わせたのは、ほんの3日ぐらい前のこのカウンターだったらしい。
「ムービー回しとけばよかった……」
とタマに言わせるほどの1時間30分位のバトルだったそうだ。よくもまあいろんな言葉が出てくるって…でも、始めましてで、そこまで、ケンカできるって、メッチャ気が合う証拠かも……そんなん目撃してるタマは、安東からかうとき、棟梁と呼ぶ事にしたそうだ苦噛み潰したような顔になる。それが面白いらしい。
カランコロン
「モーニング!3つ!」
「おはよー皆さま」
「オバヨニ~ミナマサ。」
通訳するに、"おはよう、皆さま"と、言いたかったしい。マナブ、イツキ、ミヤが、どやどヤ入ってくる。
海外遠征のカオリ、地方の仕事で、居ないミミ。ってことで、ご飯はここ?ハ~
「おはようございます。あんたたち、自分で作ろうとは思わないの?」
「タマは、儲けようとは思わないの?」
「解った。1食、億単位にしてやる。DHCの会長にでも、メールで借金申し込め!」
「そんなにもーけろとは……ジジネタ挟むね~」
「じゃあ、オーイローズ!この三人に飯作ったれ。1つ出来るのアンだろ?」
瞬していない。驚いてるらしい。言葉に表すと"へっ"って感じ。
「良いの?良いの?ホントに?」
「ローズのところの家族だろ?命懸けの毒味してもらえ。」
「ひゃっほー!!バーガー作るね!バーガーあの、限定バンズの。」
浮かれてるローズと、心配気味の昨日まで確かケンカしてた上司と、新米生意気盛り部下。ミヤは訳もわからずローズにつられ浮かれている。
「なーイツキ、」
「なんですか?先輩」
「辞めろ先輩は~いつも"マナブさん"とか、"このオヤジ"とかじゃねーか。まだかたくな君なのか?」
「別に……先輩様の立場もよくわかりますし。でも、ボクは簡単には折れませんから。やり方変えずに、時間内に納めればいいんでしょ?やりますよ!やります。やってやる!」
プーっット吹き出しそうだった。堅くな君ねーマナブは、首降って、手を挙げ滑稽に、御手上げポーズしてしてる。
ローズは、聴いてるか聴いてないか……聴いてないと思うほどユックリ、テイネイにキレイに盛り付けている。だってさパティ捏ねるのと、焼き具合、盛り付け位だから……後は用意されてるので。?あれ、色が違うドレッシング?オレンジ色?イヤ、ピンクに近いかも……
「はいどーぞ!私の初のプロのお仕事よ。不味い言うたら、シバくドー」
「余計なこと言わない!調理までは、作り手のものだけど、テーブルに乗ったら、お金を払うお客のものだ。」
「はーい。」
カランコロン
「良いこと言うね!出来て提供したものは、お客の所有物だよな。なのによー自分のデザインとかいって雑誌に載せまくってる、建築家っているよなー?あー安東さんおはよう。ミライ君も今日も綺麗だね!」
「あー親方おはよう。まだ続きしたいのかね?」
「ちぃーと待て。もーにんぐ2つなータマ。」
「2人、むさし被害者の会の会員?気の毒に。ちゃんと見渡せば解るだろうに。建築に携わものにとって、その注意力の無さはどうかね!」
………始まった………どうにか頼んで、ボックス席に行って貰った。プー賑やかでいいけど、ねー、紛争の場所が多いね。私、ウエイタとしてやくに……
「たってない!!いるだけで良いのだ。」
はーたってませんか。たまに、電気自動車のように、私の胸にくっついて、エネルギ~充電してる。居ないときはどうするんでしょう。
Pm6:37 土曜日 【Kaisya】
いつからこーなったのだろう。持ちよりで、宴会が、始まっている。こういうの得意なのは、消防団。後、母連。ここに、親方と弟子君。山の人々も。タマは、注文されたものを、作っている。寄れば口喧嘩の親方と、安東さんは、やっぱり隣同士だ。当然バトルだが、酒がまだ進んでいないのか、静かに言い争いをしてる。弟子君はマジバトルの一言一句聴き逃すまいと、すぐ側に居る。
地元の消防団も、山の人々も、ごっちゃで盛り上がってる。珍しく土曜日に、ここに居るリコも、今では女優ではなく、"リコ"として皆が見ているそれが嬉しくて、ハシャいでいる。熱高まっている。
大人に比べとてもクールな、未成年グループ。ボックス席1つ陣取って、ジュースと食事で、大人の所業を見ている。
「ねーテツ兄。この盛り上がりって、何処から出るの?大人って、いつもつまらない常識で私達を叱るのに……」
「さてね、いつも押さえてるから、……ほら、バネって押さえつければ、外れた瞬間、飛んでいくじゃん!あれと同じに見える。」
「ハ~テツ兄頭いい……」
と言いつつ、テツの胸に顔埋めてモゴモゴしてるのは、五戸家のミキだ。ホントにテツラブなんだ~テツは、特に、反応するわけでもなく拒否するわけでもなく、したいようにさせている。妹のように、思ってるみたいだ。
この光景を心よく思わないのは、父のマサシと、弟のタツミだ。奥歯がすり減りそうなぐらい、ぐーっと噛み締めている。
複雑な光景………
そろそろ、Pm7:00……タマの仕事の上がる時間だ。
「あー終わり。追い付くぞ!」
って、ワイルドターキーあおってる。
「いくぞ~」
独身の、若い消防団員が、そわそわしてる。
「こないだ胸だったろ?位置変われ!先輩命令」
「あれは、偶然です。今回も偶然、……ま怪我しないように、皆で受け止めるだけですッテバ」
次の瞬間タマが空を飛ぶ!で、5・6人で受け止める。ロックコンサートのダイブかよ!はしゃいでます。
「ワリーローズ。今やってるの、明日の仕込みだろ?」
「そう思うなら、ホレ、ここに、1つ頂戴、今なら見てない。」
唇を尖らしてる。それを避けて、おでこに……
「もー真面目だね。それが良いところだけどね。タマ~充電30秒いい?」
「おお、いいぞ!」
「お許し出た。ホレ腕回して……ぎゅーって、」
この二人は、私の事を、なんだと思ってるんでしょう……てか、育ってる。胸とか括れとか、後、化粧の臭いが少なく、成長ホルモムンムンで、頭の匂いがキツイ。でも、心地いい……保護者欲?それとも……
「まったく、もうちょっち遅く産まれてりゃ、良かったのにさ!あー今日はヨロシク可愛がって。」
照れてるのにそれ見られるのが嫌で、強がってる。昔あった事件のせいで、sexがないと、体と心がおかしくなるのだ。ここに来たときは、3日に1回だったのが、1週間になり、2週間……で、今は1ヶ月に1回に、なってきた段々よくなってるとは思うのだが……しかし、この時期の女の子は毎日変わる。可愛い……スレンダーで、手足が長い…ストレートの黒髪。ここまでタマと一緒。
「な…なに見てんの?……あーホレたのか?タマから奪えるのか?」
「ンな分けない。私は、タマしかいないのだ。」
「ハイハイ、奪おうなんて少しか思ってない。まー助けて貰った時から好きなのは、解ってるんだろうけど、"タマを好きなトキ"が、好きなんだ。だから非常に複雑なのだよ!園 トキオ君。」
笑いながら、左目の目尻が少し濡れてる。もういっかい、キツク抱き締める。
「30秒延長だ。そこで拭きな。良いから。」
…………
30分位に1回は、ダイブしてるタマ。見た目よりは酔ってない。店主ですからね!当然でしょ。しかし、この人は……
「私も~たしもー…ヒッグ!※※どうすればいいの?タマああ」
あれ?リコが壊れてる。飛ぶのは危なそうだったので、胴上げすることに、……ここでも男どもが、マジで位置取りしてる。あー安東さんと親方、マサシも混じって、
「んだ?マーシー、親方、アンドーワタシ触れないんだ!触りたくないんだ!後で体育館裏な」
「違う違う。そうじゃそうじゃなーい♪リコさんに怪我してもらいたく…… 」
「ほほ~私は、いいんだ!怪我しても!」
3人と、タマの、バトルしてるうちに、脚先と頭の先しか入る場所が無くなった。ブーブー言ってる。
「ひゃーくすぐったい!でも、飛んでる!ねータマ気持ちいい~」
満足してます。次回からダイブ女子は3人になりそうだ。今ここに居ないミミも当然メンバーだ。
…………
微笑ましい。テツの胸のなかで、ミキが寝てる。
「ホントモテモテだなぁ。知ってるか?オレ等のクラスの女共、テツ派とのノゾミ派に別れているようだぜ。なのによーロリに走るのか?」
「ツヨシ……俺な今は恋愛したいって、あんまり思わないんだ。バイク面白くて。でも、こんな慕ってくれる女の子無下に出来ないだろ?若くても、年食ってても、恋は恋。人が人を好きな笑えないだろ?マジで来てるなら、ちゃんと答えねーとな。」
非常に真面目な顔で、ツヨシの、襟首掴んで、鼻と鼻、アト5㎜で触れそうな距離で穏やかに言ってる。最近落ち着いてきて、殺気や闘気が、表に出ない。内に秘めている。それはそれで、迫力が増している。
「……悪かったテツ!言うとーり!モテてない男のひがみですよ。テツさ……いい男になってるよ。」
「そーかな?それもドーでも…ただ速く走りたい。だけのバカだろう?」
実は、起きてるでしょ~ミキ。だってさ、ここからで解る……顔真っ赤だぞ。解ってないのは、童貞5人組だ。しかし、あの年から女なんだね。どこに反応したのかは,解らない。後でタマに聞こう。

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