偽書作家テストEP1 回答集

「最終考察 うみねこのなく頃に」はKEIYA氏による同作品の考察集。巻末にて、同好の士達に向けた問答集「偽書作家テスト」が掲載されていた。結論から言えば私の考察は氏と全く軸が違うために異論のある方もおられるだろうが、批判のテンプレ「とりあえず解答を言え」を優先することにしているため、「魔法」と呼ばれたトリックや「黄金郷」等の用語解説は後に譲る。

大前提として始まりの偽書であるEP1は伏せられた作者名「古戸ヱリカ」による彼女の推理と読者達に対する犯人指定誘導が主目的となる物語となっている。彼女が誰を犯人にしたがっているか、その背後で誰を庇っているかに辿りつくことがEP1読解の近道となるだろう。

「最終考察 うみねこのなく頃に」

設問01 右代宮真里亞の提示した薔薇に込められた意味と、消失の理由
A 意味:黄金の魔女の正体は「右代宮真里亞」
彼女の薔薇のエピソードがトリック「魔法」を作品内で実行したもの
魔法は魔女にしか使えない
A 消失の理由:「真里亞の母親」もまた黄金の魔女である
魔法は同じ黄金の魔女には通用しないから楼座は真里亞の魔法を看破できる 

[伏線]
「右代宮金蔵の碑文」より『その里にて二人が口にし岸を探れ』
本作EP8では「黄金郷の門は2人いないと閉じることができない」という記述がある。「無限の魔法」というトリックは2人の魔女が必要

注※物語に魔法が適用されている以上、この2人が右代宮楼座と真里亞母娘を指すとは限らない。何故なら本作の「真里亞」は巻末のボトルメール作者
を含めると2人存在していることになる
ため

設問02 右代宮真里亞が持っていた傘と手紙を渡したのは誰か?
A 使用人「熊沢チヨ」

先代の黄金の魔女ワルギリアを指す
注※魔法というギミック越しでは彼女もまた黄金の魔女ベアトリーチェ
詳細は「うみねこのなく頃に咲」内「我らの告白」における駒の魔女ピースの発言に注目されたし。彼女を右代宮理御や金蔵と表現可能な原理と同じ

設問03 右代宮夏妃の部屋の扉に不気味な汚れを残した人物とその理由
A 人物:右代宮絵羽
  理由:右代宮夏妃による絵羽殺害の可能性をEP1作者が疑った結果

注※当偽書は作者「古戸ヱリカ」による推理を盛った創作に過ぎない

[伏線] EP5第二夜で回収「右代宮夏妃と右代宮秀吉は共謀している」

EP7ウィルの発言より抜粋
「第1のゲーム、第二の晩。寄り添いし二人の骸は鎖で守られし密室に。」「幻は幻に。……幻の鎖は、幻しか閉じ込めない。」
幻の鎖とは夏妃の私室のドアノブに掛けられた真里亞の蠍座のペンダントを指し、チェーンロックされた客間ではない点に注意

設問04 「園芸倉庫内6人殺し」の犯人と犯行方法について
犯人:右代宮楼座と右代宮夏妃2人の共犯
方法:夏妃が子供達を人質とし、共犯者の楼座が大人達を脅迫、無力化

[伏線] EP5にて黄金の魔女が夏妃と右代宮家に忠誠を誓う描写
設問01の時点でこのEP1では楼座が黄金の魔女候補であることを触れた

リリース当時「狂人説」が囁かれた程度には子供達を引率する右代宮夏妃の精神状態破綻が作中で表現されている
「右代宮金蔵の碑文」より『第四の晩に、頭を抉りて殺せ

魔女の赤字「身元不明死体について、その身元を全て保証する。即ち、替え玉トリックは存在しない!」
逆説を取れば、身元確定死体であれば替え玉は可能であり、顔面を損傷していたにもかかわらず右代宮真里亞と譲治は遺体を判別できている
つまり楼座と紗音の遺体は替え玉、もしくは偽装死である可能性があった

EP7ウィルの発言より
「……始めから、危ういゲームだったな。……もしもあいつが、それでも死に顔を見たいと言って踏み入っていたなら、どうしていた」
遺体が楼座ではない、もしくは死んでいない事実に真里亞が気付く可能性

設問05 「チェーン密室・絵羽&秀吉殺し」の犯人と犯行方法について
犯人:右代宮夏妃
方法:絵羽は設問03にて、秀吉は客間に呼び出し待ち伏せて銃殺

[伏線] EP5第二夜で回収 クローゼットに隠れる右代宮夏妃の描写
秀吉と逢瀬を重ねていたのは絵羽ではなく夏妃だった。所謂色仕掛け後の秀吉を浴室で銃殺している
注※後の玄関ホールでの夏妃の遺体と秀吉の遺体は同じ位置に銃痕がある
秀吉のみならず夏妃も同じ現場で真犯人に殺害されていた可能性を考慮
何故ならEP5第二夜では秀吉を襲った人物の正体が描かれていないため夏妃自身も口封じされていたと捉えることも可能

真犯人の推測 右代宮譲治或いは右代宮朱志香
譲治の母親或いは朱志香の父親が作中指定の人物ではない可能性がある
あくまでEP1作者の推理上「18年前の赤ん坊」でしかない点に注意

金蔵に碑文より
「第六の晩に、腹を抉りて殺せ」(子供による尊属殺人の示唆
「第七の晩に、膝を抉りて殺せ」(ベッド上の色仕掛けの示唆

設問06 「ボイラー室・嘉音殺し」の犯人と方法について
犯人:右代宮金蔵
方法:嘉音に次代金蔵の座を譲った結果であり、命を奪ったわけではない

嘉音は「金蔵という存在に生まれ変わった」という意味で死んではいない
赤字「 つまり、島の如何なる人間にも死者にも、嘉音は殺せなかった!」
ここで言う「死者」はボイラー室で頭部を焼かれた金蔵を指している

EP1でボイラー室に入った痕跡のある人物はボヤ騒動の金蔵のみである
ノックス8条 提示されない手掛かりでの解決を禁ず。

嘉音殺害時刻は「作中アイキャッチで描かれた時点より12時間前
作中事件は全てアイキャッチの時計に合わせ進行しているかのように見えるが、それが昼夜のいずれか前日、翌日のことかを示す根拠は存在しない
[伏線回収] EP1の作者古戸ヱリカがEP5第一夜の犯人として夏妃を追求した際にも同じトリックを使っている

注※上記時点で嘉音(入れ替わった紗音)が金蔵を殺害し、工作した可能性がある点にも注意。要は「魔法」で犯人と被害者を入れ換えている可能性
EP1作者は「嘉音は死んでいない」「金蔵が殺された」2点を隠蔽している

右代宮金蔵の碑文より「第五の晩に、胸を抉りて殺せ」
心を殺して金蔵として生きるの意味)

設問07 金蔵の書斎内に手紙を置いた人物は誰か? その方法について
人物:右代宮夏妃
方法:自作自演

分散の魔法陣は「仲間割れ乃至離反」の意味で用いられている
夏妃が共犯者楼座のために熊沢に軟禁された真里亞(設問02)を引き離し
楼座による襲撃の機会を作るためと推定

EP1では楼座が黄金の魔女指定(設問01)されるために「我が名を讃えよ」の文面を用いる。要は次の事件は楼座の強襲である事前予告
注※あくまでEP1作者古戸ヱリカの推理による創作に過ぎず、夏妃と楼座が犯人集団から離反したという心境変化のみが必要とされるシーン

設問08 「客間での源次と熊沢、南條殺害」の犯人と方法について
犯人:右代宮楼座
方法:南條を買収、開場させた後、夏妃の仲間を装って不意討

該当シーンはEP2楼座乱舞としても処理されているため
現場が室内ではなかった』可能性がある
EP7ウィルの発言より抜粋
「幻は幻に。……盲目なる少女が歌うは幻。密室幻想。」

右代宮金蔵の碑文より
「第八の晩に、足を抉りて殺せ」(逃亡できぬよう捕縛、監禁せよの意味)
とあるためにEP1作者古戸ヱリカが密室事件に創作しただけと考えられる

EP2楼座「黄金の夢を見せてやるよ(買収金なんて与えないよ)」発言、
及びEP4南條の遺族の口座入金発言から南條買収要素を特定可能
またEP3譲治のTIPS内容から買収者は右代宮譲治と推定される

『07151129 唱えれば、小さな黄金郷が開かれる』

注※数値の実態は「右代宮理御と右代宮戦人の誕生日」の併記
EP7の最後の描写で右代宮金蔵に迫られる長男家の長子右代宮理御の描写があり、右代宮戦人はEP5で「金蔵の死体を提示する」と赤字宣言する人物
金蔵の遺体現場に直接居合わせた人物と判断できる
且つ、古戸ヱリカは設問06で金蔵と次代金蔵である嘉音の死の真相を隠蔽していると触れた。この部分が彼女の「黄金郷」に直結していることは最早疑う余地が無い

設問01でも触れたが「魔法」のトリックは魔女にしか使えず破れない
EP1作者古戸ヱリカが「ボトルメール作者の真里亞」であると判断する
設問08で密室内に軟禁されていたのも真里亞だった
この真里亞が本当は古戸ヱリカだった可能性を考える必要がある
だろう

設問09 「玄関ホールでの夏妃殺害」の犯人と方法について
犯人:右代宮譲治又は朱志香
方法:設問05の時点で殺害済

物語終盤以前に夏妃は死んでいたことになるため、誰かが物語中夏妃に
なり済ましていたか、EP1作者が隠蔽していた可能性が高くなる
ここで設問04に関する魔女の赤字に注目する
魔女の赤字「身元不明死体について、その身元を全て保証する。即ち、替え玉トリックは存在しない!」
ところで設問08の犯人右代宮楼座はどこに潜んでいたのだろう? 何故夏妃は設問07の時点で彼女の襲撃を予告できたのか? 言うまでもない、
EP1作者古戸ヱリカが設問08で軟禁されていたために、夏妃と楼座がとっくに入れ替わっていたことに気付けなかった、或いは隠蔽したかったかの何れかだ

[伏線回収] EP3の六連密室時にはEP1設問04の夏妃と入れ替わるように精神を恐慌化させた楼座が子供達を引率する描写がある。本作はボトルメールを根拠としたビジュアルノベルに過ぎず、楼座と夏妃の作品上の容姿描写は正確とは限らない

注※設問02で古戸ヱリカを浚った熊沢が楼座に排除されたものの、依然真里亞は譲治と朱志香に軟禁され続けている状況にある
夏妃が黄金の魔女に姿を見せろと叫ぶシーンは、設問01を引用することで、「軟禁された真里亞を探し呼び掛ける楼座の声」だったと変換可能
或いは楼座と夏妃を騙し続けた古戸ヱリカへの恫喝とも受け取れる

[伏線回収] EP1最後に魔女の肖像画の前にいた戦人の背後に現れたのも真里亞を探す楼座だった。EP5第一夜ゲストハウス1階でも深夜に戦人と楼座が出会うシーンが存在する。楼座の魔女指定は設問01で既に触れた。EP1とEP5の作者が異なるために5W1Hにずれが発生しているだけで、戦人と楼座の邂逅及び協力関係の成立がこのシーンの真実となるだろう。全ては真犯人達に浚われた右代宮真里亞を救うために。

ここで冒頭を繰り返す
古戸ヱリカが誰を犯人にしたがっているか、その背後で誰を庇っているかに辿りつくことがEP1読解の近道となる

設問10  EP1のゲーム盤の真相は?
EP1作者の正体は「古戸ヱリカ」、本編の「右代宮真里亞」に該当
 真里亞は本編に2人存在し、1人は序盤花壇付近で浚われている
 実際真里亞と魔女化した真里亞は別人のように振舞うことが大半
 EP2でベアトリーチェは2人登場する 別人だから

 漫画版EP8ヱリカの発言「わたしは嘉音さんと面識がありません」
 からシーンによっては使用人嘉音としても登場している節がある
 本編EP5では朱志香以外の長男家と折り合いが良く次代金蔵絡み
 の人物となる伏線は存在 実際戦人と金蔵の碑文を解いていた

②EP1の使用人紗音の本名は「右代宮理御」
 ヱリカが彼女の次代金蔵の立場を取り上げた結果使用人嘉音化
 紗音=嘉音説の実態の一つとなる あくまでEP1の話

EP1とEP5は時間軸上連続している物語となっている
 EP1の第九夜がEP5の第一夜に相当する
 EP5第一夜で多数の死者が出るギミックは時間差トリックによるもの
 であり、EP5ゲーム開始時点で、事件開始から12時間以上経過済

真犯人を「右代宮朱志香」と指定する(あくまでEP1時点)
 古戸ヱリカが夏妃を追求することで彼女を守ろうとしているため

   [伏線回収] EP5の裁判シーンにて黒山羊装束を脱いだ朱志香
   EP1/EP5は別作者であり、後者には朱志香を保護する意図は無い
  ため真犯人を右代宮朱志香であると指定している
  既に設問解説した通り、EP5作者は逆に右代宮楼座と協調して
  尊厳を否定された夏妃を守ろうと対決姿勢を見せる


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