過去に読んだ書籍を振りかえる
今回は
「人口が爆発する! 環境・資源・経済の視点から ポール・エーリック/アン・エーリック」
日本での初版第一版発行は1994年6月8日。
私が入手した書籍は初版第三版発行で1996年2月8日だ。
購入日は1996年6月8日だ。
もう30年近く前に買った本だが、この本の中身は現在の世界の人口問題を予想していた。
人口問題で有名な書籍はマルサスの「人口論」だ。
第一に、食料は人間の生存にとって不可欠である。
第二に、男女間の性欲は必然であり、ほぼ現状のまま存続する。
という前提で食料の生産と人口の増加を鑑み、悲観的な人口増加の運命を想像していたようだ。
この「人口が爆発する! 環境・資源・経済の視点から」は、更に悲観的な現実を記している。
現在の世界の総人口は80億人を突破している。
1930年代初期では、20億人に過ぎなかったそうだ。
この著書が出た1990年代には50億人に増加していたそうだ。
この当時の環境問題と言えば、オゾンホールの出現とか、スプレーのフロンガスの禁止等だった。
エルニーニョという言葉もこの頃に流行った気がする。
この書籍は
第一章 人口爆発の問題を誰も恐れず論じない
第二章 一度だけの宝庫
第三章 臨界点にある人口塊
第四章 食料-究極の資源
第五章 農業の生態学
第六章 地球生態の健康
第七章 人口と公衆衛生
第八章 人口・成長主義・国家の安全保障
第九章 大爆発・すすり泣き・代替案
第十章 関連と解決-1
第十一章 関連と解決-Ⅱ
第十二章 あなたに出来ること
附録 地球はいかにして作動しているか-その性状
の十三章からなる。
各章の内容は、30年前の状況での問題点と現状での危機感が無いことを訴えている。
30年経った現在は更に人口爆発は悪化の一途を辿っている。
マルサスの「人口論」でも食料の問題を重要視していたが、マルサスは産業革命後の食料生産の向上を知らなかった。
現在も30年前よりは資源や食料などの供給は完全ではないが、人類が飢餓状態になるまでにはなっていない。
この30年の間、世界各国では目立った人口抑制を行っているとは聞いていない。
1980年代にAIDSという感染症が問題視されていた。
性行為での粘膜感染するとか、治療が出来ないなどと当時は騒がれた感染症だ。
1990年代から統一国家(国連)の傘下組織のWHOはワクチンの定期接種を世界中に推奨してきた。
日本でも1990年代に子宮頸癌ワクチンが接種され始めた。
日本ではこの頃から不妊症とか、癌の保険が出来たりしたように思える。
この30年近くで日本では癌の発症率は50%になっている。
私が20代の頃は、癌などになる人は希だったのだが。
この書籍には唯一、データ表が記載されている。
統一国家(国連)が作成した「国連超長期世界人口推計」という表だ。
この表は1950年から2150年までの200年にも及ぶ世界の人口推移の予想を出している。
「国連超長期世界人口推計」に関する説明を以下に抜粋して記載する。
今後21世紀はどうか、国連推計では今後の増加率を90年~95年1.68%、95年~2000年1.57%、2020年~2025年1.02%と減速すると予測。
それでも21世紀半ばには100億人に達するとみている。
国連超長期推計のうち最も可能性の高いとみられる中位推計で、2150年に115.4億と予測。中-高位推計で207.7億、高位推計で280.3億とかなり幅がある。
驚くことに1983年~90年の出生率を以下一定として推計すると、2025年に既に100億を軽く突破、2100年に1094億、2150年に6942億という凄まじい爆発的数字が公表され、宇宙船地球号がこの趨勢を何処まで抑制しえるのかの課題に直面している事が明らかである。
気付いたかも知れないが、何故か2020年から2025年の人口増加率は減速すると予測されて居たのだ。
添付した表は中位推計だが、世界の総人口は正にこの数字の通りに増加している。
2019年から新型コロナウィルスのパンデミックが始まり、mRNAワクチンがマッチポンプと思わせるようなタイミングで開発。
世界中のパンデミックでの死者に加え、ワクチンの薬害で更に死亡する人々が増加した。
2014年のウクライナの内戦的な民族浄化が始まり、ウクライナのロシア系国民を虐殺から守るためにロシアの軍事介入が始まった。
何故かこの軍事介入を8年も沈黙していたNATO(北大西洋条約機構)、EUが2022年に騒ぎ出した。
イスラエルのパレスチナ虐殺も激しくなり、人口増加率停滞の時期に合わせるように戦争が始まっている。
「国連超長期世界人口推計」は予測とされているが、予定ではないのか。
30年以上も前から、計画されていた人口抑制の中に我我は当事者として生きているのかも知れない。
そんなことを思わせる一冊だ。