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日銀が公開した議事録の内容の衝撃度

こんばんは。今日もお疲れ様です。

金子洋一元参議院議員の怒り

元民主党参議院議員の金子洋一先生が、怒ってます。

日本銀行(以下日銀)が、2010年1~6月の金融政策決定会合の議事録を公表したのですが、当時の日銀副総裁、西村清彦・政策研究大学院大学特別教授がインタビューに応じ、デフレ脱却へ追加緩和を求める声が強まる中、「もっと果断にやるべきだった」と語ったそうです。

金子先生は、「いまさらそんなことを言っても遅すぎる。われわれ民主党デフレ脱却議連が金融緩和せよと何回詰め寄ってもなんの反応もしなかったではないか!人間として無責任極まりない。」とお怒りです。

民主党デフレ脱却議連

「民主党デフレ脱却議連」とは、民主党国会議員有志で構成された、正式名称「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」で、デフレ脱却のための政策を考える、純粋に政策検討して提言を出していく組織です。
金子先生は、デフレ脱却議連の事務局長を務めていました。
提言のたたき台も、ご自身で作っておられました。

そのあたりの経緯は、上記日銀の議事録が作られた頃の金子先生のブログで確認がとれます。

このブログに書いてある通り、民主党は参院選挙で惨敗し、議席の過半数をぎりぎりですが自公に取られてしまう一歩寸前までいきます。
そしてその後、自民党は個別の議員への工作に成功して、維新系の議員の取り込みに成功し、過半数を1人超えるまでになります。
ちょうど時を同じくして、オーストラリアでも工作ではなく自主的に鞍替えした議員が一人居て、与野党の勢力が逆転する事態になりました。
日本では、当時の与党であった民主党的にはねじれが生じてしまった状態ですが、当時野に下っていた自民党からしてみれば、これで政権奪還への足掛かりをつかんだことになります。

日銀幹部が準官僚として取ったスタンス

思うに、日銀幹部の間では、霞が関以上に霞が関的発想で、民主党を既に見限っていたのではないでしょうか。
このため、民主党デフレ脱却議連の会合(参議院議員会館か衆議院議員会館で開催されてた筈)に西村副総裁を何度も呼びつけたけれども、何の反応もしなかった、いや正確には見せなかった、ということでしょう。

こういう人達を操るのは、自民党の方が一枚も二枚も上手です。
民主党は、ともかく理詰めでやれば、人は動かせると思ってたフシがあります。

2010年当時の日銀総裁は白川方明氏でしたが、「第2次安倍政権発足直後の13年1月、日銀は政府と政策協定を締結。デフレ脱却に向けて2%の物価目標を共有し、4月には黒田東彦総裁の下で「異次元の大規模緩和」を実施しました。

自民党政権には、発足前から水面下で準備があり、政権発足直後に中央銀行としては異例の共同歩調を取った訳です。

「異次元の大規模緩和」はご存知の通りアベノミクスの第一の矢でしたが、結局効果は出なかった割りに国民にとっては深刻なリスクが増したという認識です。

安倍政権が目指したデフレ脱却の顛末

なお、デフレ脱却議連も安倍政権も、デフレ脱却を経済における最優先課題にしておりましたが、民主党政権下で内閣府審議官を勤めていた水野和夫さんの説によれば、先進国でデフレ脱却はそもそも不可能、別の政策を考えなければいけない、という主張があり、民主党政権として経済政策、景気対策が一本化されている訳ではありませんでした。

では、何をすべきかという点については、具体案を出す前に政権が倒れてしまいました。
全然ダメでしたね。
水野さんの主張点には下記のような批判がなされており、私はこれは間違ってないと思います。

党内に2つ以上の異なる主張点がある以上、日銀としてはともかく自分達に影響が出る政策の方に対しての接し方を見極める必要性が生じ、その必要性に対してどう対処していくか、というスタンスを生んでしまいます。

繰り返しになりますが、自民党は伝統的手法で日銀に金融政策を丸投げし、日銀総裁(今度は黒田さん)に再び表舞台に立ってもらった訳です。

日銀にしてみたら、黒田新総裁の下で世間の注目を浴びながら仕事が出来るようになって、職員のモチベーションも大いに向上したことでしょう。

そして、昨年から最低労働賃金も僅かですが少しあがり、この4月から派遣労働者に対して交通費も支給しろ、ということになったので、社会の最底辺に居る人達へのベーシックインカムの上昇は、少しはましになりました。

ですが、コロナ禍で過去8年の試みは水泡に帰してしまうことは、もう間違いないでしょう。残念ですが。

結論

民主党政権時代から含めて10年超に及ぶ政策の失敗を、どうやって挽回するかですが、今日の趣旨の日銀の議事録の話に戻しますと、

10年前以降の議事録も、直ちに公開してください。

に尽きます。
今後とも、10年経たないと公開しない議事録に価値があると日銀が思っていることが、私的にはとても衝撃的でしたw

日銀の2大役割である物価の安定と金融システムの安定については、おそらく合格点をあげていいであろうことは、たぶんそれらの議事録から明確に表出されるかと思います。

なので問題点は、日銀がその役割を忠実に果たしていても、国民の幸福に寄与する部分は実は少ない、という点に対して、じゃあ政府は何を実行していくべきなのか、それを提示していくべきだ、ということです。

もちろん、政権を担う気概と能力があるのなら、政府に代わって野党が提示してもいいでしょう。

いい加減、黒田総裁が記者会見して、バズーカの号砲が轟いた、なんて報道は虚飾に満ちてるだけなので、もう止めましょう。

では、また明日。



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