頑張れ楽天:薬事法の問題点を考える

こんはんは。今日もお疲れ様です。

「頑張れ楽天」とタイトルに書いて、プロ野球チームのことと誤解されて
本文読んでみたら違ってたと、がっかりされると申し訳ないので、サブ
タイトルもつけました。
はい、今日は、薬事法についてちょっと考えてみたいと思います。

1.薬事法とは

私が生まれた年に制定されたのですが、その後、この法律でカバーされる
対象・領域が具体的に細かく制定され直されましたので、下記のような法律名になりました。

Wikipediaで「薬事法」と検索すると、自動的に上記のページに転送されます。

この法律の制定目的は、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医療品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ること」にある(1条)と定められていますが、お隣の国の大韓民国の同名の法律の第1条には、「国民の保健向上に寄与することを目的とした法律」と規定されているそうですので、どちらの法律の方が、より明確に国民に寄り添った法律なのか、一目瞭然であります。恥ずかしながら。

今日はその、日本の薬事法が、ちょっとずつボタンをかけ違っている、と
いう話をします。

2.楽天が敗訴

3月18日に判決が出まして、時事通信と日経で報道されました。

2014年施行の改正薬事法(現医薬品医療機器法)は、処方箋がいらない
「一般用医薬品(大衆薬)」のネット販売を解禁。一方で、処方薬から転用された「要指導医薬品」については薬剤師の対面販売が義務付けられ、転用から原則3年の安全評価期間が経過するまではネット販売できない。
訴訟では規制が「営業の自由」を保障する憲法に適合するかどうかが争われた。
第1小法廷は、規制は「国民の生命、健康に対する侵害を防ぐ目的があり、公共の福祉に合致する」と指摘。電話、メールなどで薬剤師が購入者に指導することは「理解を確実にする点で対面と劣るという評価は不合理とはいえない」と述べた。
処方箋なしで購入できる医薬品のうち、要指導医薬品のシェアは1%未満で、一定期間が過ぎると大衆薬に切り替わる事情も考慮し「(規制は)職業選択の自由に制限を加えるものではない」として合憲と判断した。裁判官
5人全員一致の意見。
厚生労働省によると、要指導医薬品は20年12月時点で8品目(劇薬を除く)が販売されている。
楽天は「医療分野のデジタル化が進むなか、現在の法制度は時代にそぐわないものと考えており、今回の判決結果は遺憾だ」とコメントした。

実際には、劇薬を除き現状たった8品目ですし、3年経ったらそれらもネットで販売できるようになる訳ですから、そう角を立てる必要もないのでは、という声も聞こえてきそうですが。

判決文はこちら。

でも、私は楽天の主張する、「医療分野のデジタル化が進むなか、現在の法制度は時代にそぐわない」はその通りだと思いますし、「転用から原則3年の安全評価期間」というのも大雑把過ぎです。

どのような評価をしたら安全と言えるのか、明確な基準を作って、それに
合致した薬品は3年を待たずしてネット販売解禁する、というのが合理的なやり方ではないでしょうか。

3.対面指導の問題点

以下、私個人が体験した話を書きます。

このブログでもご報告しましたが、先月と今月、眼科手術を受けまして、
現在点眼薬を6種類使ってます。
そのうちの1本が、たまたま急に中身がなくなって使えなくなり、
よく見たら液漏れしていたので調剤薬局に行って交換要求しました。

眼圧を下げるために使ってる薬ですので、使わないでいると失明の危険性があるやつです。

たまたま、気付いたのが朝一番で、調剤薬局があくのが10時、処方箋を出してくれる大学病院は朝8時30分に受付してもらえます。
薬事法の絡みで、調剤薬局ですんなり交換に応じてくれない可能性もありますので、まずは大学病院に向かいました。

あいにく主治医の先生は不在の日でしたが、交代の先生が処方箋を出してくれました。処方箋代が430円。往復交通費が360円。
1月末に2本分処方してもらい、最初の1本は1か月以上もったのですが、次の2本目が、20日間を待たずしてなくなってしまった計算になることを、診察履歴からその先生と確認しました。

次に向かった調剤薬局では、応対に出た薬剤師さんが、勝手に交換できないとか訳の判らない理屈をこねてました。案の定です。
これはメーカー責任でしょと強くクレームして、MRに連絡とってもらいました。
ただ、まだ早い時間なのでいつ連絡がつくかは保証できないとも言って、
一生懸命言い訳作りに余念のない感じでした。
「すみませんが、もしお時間あったら大学病院に行って、念のため処方箋ももらってきてください」と言い出しました。
「もうとっくにもらってきたよ。これから仕事に行かなきゃいけないので、後で取りに来ますから」と言って処方箋を渡し、テレワークなので自宅に
戻りました。

テレワークの上に、フレックス制度なので、朝一番で病院と薬局を回ることができましたが、普通のサラリーマンは、こんな訳にいきませんよね。

昼休みに取りに行ったら、MRと無事連絡がついたそうで、結局交換に
応じてくれましたが、その点眼薬は、使用後に液が排出口の部分に残ることがあるので、トントンと机の上で振って戻さないといけないとのことでした。
そんなの、処方してもらったときには何も説明してもらってませんでした。

この薬、1本900円もします。容器とかに不備があるのなら、たまったもの
ではありません。
(2021年3月23日追記:「900円」というのは本人3割負担部分ですので、売価としては1本3,000円もします、が正確でした。1本3,000円ですよ。)

しかし、自宅に戻って良く見ると、私が使っている眼圧を抑えるための点眼薬は、どれも排出口は同じ形状をしています。
もし、液が残るというなら、どれも同じく使用後にトントンと振って液を
戻さないとダメですよね。

画像2

画像1

真ん中の、アイラミド配合懸濁性点眼、というのが液漏れを起こしたものと同じ薬です。

あいにく、液漏れを起こしたボトルは調剤薬局に返してしまい、撮影を
しませんでした。
もしかすると、液漏れしたのは何か別の原因があったかも知れません。
MRさんが知りたい情報があれば、電話して構わないと、調剤薬局には伝えてあります。

さて、いずれが原因にしても、対面販売だって、こんな不備が発生します。

もし、トントンと液を戻す必要があるのなら、薬の説明署にちゃんと記載
しておけば確実です。

テレワーク中で、会社がフレックス制度を導入していたから、すぐに調剤
薬局に行けましたが、会社に出勤してたら調剤薬局の営業時間内に行けなかったかも知れません。
また、営業時間に間に合ったとしても、MRとは連絡がつかない時間帯に
なっているかも知れません。

この出来事は、判決の内容とは直接関係ありませんが、こんな不備だらけの制度が一向に改善されないのは、本当に忸怩たる思いがします。

この法律の制定の目的をより明確にし、国民に寄り添ったものに改正すべきだと思います。
楽天にも、我が国のデジタル化の促進のためにも、引き続き頑張って頂きたい。

では、また。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?